どっかで聞いたこの訛り、わけのわからなさ・・・「そうだ、Leeだ!」。みなさんは覚えているだろうか?Aiに一番最初に電話をしてきた、そして、Aiが移動途中でミーティングをキャンセルした、あの寿司職人のLeeから再び電話だ。「今度は、ドタキャンなしですよ」と念を押す。今度は、予約が日曜の昼だということもあって、遠くコンコルドまで出かけることにしぶしぶ承知した。
駅を出てしばらく待っていると、イタリアのスポーツカーらしき車がやってくる。なんとLeeだった。電話の冴えない話ぶりからは想像だにしなかった。そして連れていかれたのは、なんと、結構な豪邸ではないか。作りはモダンで洒落ている。大きな窓ガラスや、ホールのように広々としたリビング。ただ、あまり掃除はしていないらしく、部屋は散らかっていた。
お茶をすすめられることもなく、会話らしい会話もないまま、プレイが開始される。それにしても味もそっけもない。おまけに、Leeは、いきなり、目の前のビッグスクリーンTVにスイッチを入れると、プレイを撮影すると言い出す。鏡ならともかく、カメラ撮影には驚いた。が、プレイを録画されて、どこかで流されてはたまらない。「録画はしないよね」と確認。これもself-defenseである。
自分たちのプレイが、ビッグスクリーンTVに映し出される。Leeはカメラにうまく映っているかばかりを気にしている様子。肝心のプレイに身が入らない。これでは全然盛り上がらないと、半ばあきれていると、「あれを挿入してくれ」と私がもってきたバイブを指差す。「もちろん」とLee の肛門に挿入を開始するが、いっこうに感じない様子。しばらくすると、「もっと大きいのでないと感じない」と言い出し、自分がもっている巨大なディルドーを持ち出した。もちろん、挿入することはやぶさかではないが、結果は目に見えている。
Lee はまったく自分の体が受ける刺激を従順に受け入れようとしていない。カメラや他のことで頭はいっぱい。これでは、絶対に気持ちよくなるはずがない。こんなの無駄だと思っていると、Lee の携帯電話がなる。プレイの最中だというのに、驚いたことに、Leeはその電話を取った。私は、唖然としていた。Lee は、何事もなかったように、その電話に対応している。ああ、もうだめだ。これ以上何をやっても、こいつは気持ちよくならない。
後は完全な消化試合だった。時間がくるまで、とりあえず、Leeがやりたいようにやらす。でも、そこには「官能」も「快楽」も何もない。不思議なぐらい、Lee は私が何を考えているかに無関心だった。私が気持ちよくなるとか、私が楽しくなるということには、微塵の関心も示さなかった。しかも、自分の「快楽」を得るためには、執拗に強い刺激を課すよう私に求める。これでは、お金を払わない限り、Leeは誰ともセックスをしてもらえないのだろうと確信した。
セックスで気持ちよくなるためには、まず何よりも、今ここで行われていることに集中しなくてはならない。そして、自分の受けている刺激に対して従順にならなくては・・・。Let it go! (身を委ねること)ができなければ、快楽は得られない。これは、セックスの基本である。Lee には、いろいろ提案してみたが、まったく無駄だった。イライラしながら家に着く。もらえるお金はもらったんだから、いいか。でも、Leeは、これからも勘違いして、過剰な刺激を求めるのだろうと思うと、人ごととはいえ、やるせない気持ちになった。