前回のGilは小便くさくってまいったが、小便くさいといえば、Johnにもまいった。Johnは、20代の若い青年であるが、一年ほど前に車の事故に遭遇し、それ以来、車いすの生活を強いられるようになった。事故のせいで、ガールフレンドにはふられ、仕事もままならなくなり、お兄さん夫婦のところで居候をしていると言う。
その事故以来、小便がうまくコントロールできなくなり、普段は、ペニスに管をあてがい、溲瓶のようなものに流れていくようにしている。要するにたれながし状態である。最初はおとなしくしていたJohn も、プレイが盛り上がって来ると、その管をはずし、フェラをしてくれと言い出した。もちろん、こっちはコンドームをつけてフェラするが、そうしている間も、おしっこは少しずつ流れでてくる。不潔だが、仕方ない。せいぜいJohn にはいい思いをしてもらおうと懸命にやった。
懸命にやったといえば、John との2時間は、重労働だった。というのも、John はベッドにうつぶせになると、自由になるのは、手と顔だけで動けないからだった。動くのは全て、こっちということになる。フェラをするのはもちろん、馬乗りになって挿入しても、動かすのはこっちだった。こっちだけが動かすというのは大変な作業だった。
John は自分がフェラをするのも大好きだった。Aiはフェラをされるのが好きなのでは、これは大歓迎だったのだが、ポジションを作るがすべてこっちというのには、疲労困憊してしまった。枕元にたてひざになったり、中腰になったりして、相手のしゃぶりやすい状況を作る。John は一度しゃぶりだしたら、ずーっとしゃぶり続ける。15分ぐらいは平気である。この間、こちらは枕元で体勢をつくるのだから、たまったものではない。
ところで、このJohn 、口紅と味つきローションが大好きであった。そもそも、電話で話している時から、口紅をもってこいというぐらいである。プレイの途中でも、時々、口紅をつけ直してくれという。そして、こちらがつけ直すと、その唇をなめるようにキスしてくる。これにはまいった。(Aiは、客から口にキスされるのはあまり好きではない。途中から、口キス禁止令をひいたが、これはその前のことであった。)
また、John がフェラをする時には、味付けローションをたっぷりつけていた。Aiはあの甘ったるい匂いも味も好きではない。が、John にはたまらないらしい。そして、いったんAiのペニスに食いつくと、おいそれとは解放してくれなかった。世の中には、いろんなことに欲情する人がいるものである。
John は、時々、恨み節を吐いた。もう人生あきらめている、誰も相手にしてくれない、などと悲観なことを口にした。Aiは、そういう話を聞く度に、そんなことないよ、と熱っぽく反論したのを覚えている。
というのも、Ai は、身体障害をかかえながらも、一生懸命生きている人、それに、楽しいセックス・ライフを送っている人に出会ったことがあったからだ。それは、Aiが受講した、セクシュアリティに関するワークショップでの出来事だった。このクラスでは、車いすで生活しているゲストが招かれ、自分たちが他の人と同じように、セックス・ライフを欲していること、それにもかかわらず、看護者やまわりの人は、「身体障害者のくせにセックスをしたがるなんてとんでもない」という態度で接することを訴えた。そして、身体に障害があっても、実際にセックスはできるし、それを楽しむことは可能であることを、ビデオで実例を示しながら、力強く語ってくれた。
このゲストは、自分の体験を本にまとめて出版までおこなっていた。人生に果敢に立ち向かっている、そして、それを楽しんでいるゲスト・スピーカーの勇気ある態度には、大きな刺激を受けたものだった。Ai は、このゲストや、そのクラスで聞いた話をJohn に話した。そして、インターネットを通じて、仲間を作ることをすすめた。きっと新しいガールフレンドも見つかるよと言った。John は随分、元気になって帰っていった。
John はその後も、何度かAi に会った。その度に、励まし、外へ出て行くように勧めたが、積極的な態度をもつのは、それほど簡単なことではなかったようだ。もちろん、性的欲求不満がたまった時、セックスワークの頼るのは悪いことではない。しかし、John には、それで満足してもらいたくはなかった。お金を払わなくても、セックスをしてくれる相手を見つけていってほしいと願った。今頃、John はどうしているのだろうか?自分の仲間やガールフレンドを見つけることができただろうか? そうであっていてほしいと、つくづく思う。