“Club Ai” というのは、Aiのホームページの名前だ。この名前は、Aiの親愛なる友人であり、プレイボーイ・アイドルだったKelly(仮名)のサイト、”Club Kelly”にあやかっていた。Kellyとは、あるセックス関係のワークショップで知り合ったのだが、その出会いは実に不思議なものだった。
一週間にわたるこのワークショップには、全米各地から実にさまざまな人が、30人ほど集まっていた。その中に一人、Aiの目を引く人がいた。特に美形というわけではなかったが、バランスのよい顔立ちだった。そこには、包容力のありそうなふっくら感と、少し陰のある感じが同居していた。なんだか、どこかで見たことあるような、知っている誰かに似ているのか、なつかしい感じもした。そして、そのやわらかな顔立ちからは、妙に子供じみた「みゃーみゃー声」が発せられる。Aiはとても魅力的な声だと思ったので、「なんか素敵な声ね」と話しかけると、「その変な声なんとかしろって、みんなに言われるの。でも、こういう声だから仕方ないのよねー」とKellyは答えた。これが、AiとKellyの最初の会話だった。
ワークショップのさまざまなアクティビティを通して、Ai はKelly と随分仲良くなった。と同時に、「この人とは、もっともっと親密になりたい」という恋愛感情のようなものも湧いてきた。相手のことをそんなによく知ったわけではなかったが、このまま別れてしまうのは惜しいと思い、ワークショプが終わった後、思い切って気持ちを打ち明けることにした。といっても、Kellyはロサンジェルス近郊に住んでいるというし、「つきあって欲しい」というようなはっきりした意図があったわけではない。AiはKellyをとても素敵な人だと思った、そのことをとにかく別れる前に伝えたかった。
帰り際に二人になった時、「実は・・・」と気持ちを伝えると、「ありがとう!」とさわやかな返事が返ってきた。向こうはAiとどうこうするつもりはなさそうだが、かといって、Aiを拒絶する様子はない。話をしているうちに、Kelly が宿泊してきるホテルに着いた。決死の覚悟で告白じみたことをしたわりには、あまりにも反応がさわやかなので、肩すかしを食った感じだった。もう少し手応えがないと、このままでは別れられないと思ったので、「空港まで送っていっていい?」ときくと、「あ、いいわよ」という返事。結局、ホテルでしばらく話をしたあと、空港へのシャトル(乗り合いタクシー)にいっしょに乗ることになった。
シャトルの中ではAiも「友達モード」にもどっていた。他意もなく「仕事何しているの?」と聞くと「ケーブルテレビの番組にやったり・・・」という返事がかえってきた。「へえ・・・」とAiはまだ事情がよくわかっていない。が、しばらく話を続けていると、Kellyどうやらプレイボーイ・チャンネルの番組に出演していることがわかってきた。住んでいるところがロス近郊のハリウッド。ということは、この人有名人???と考えをはりめぐらしていると、突然、「ハッ」とした。Aiは以前、Kellyをテレビで見たことがある。しかも、ビデオにとって何度も!
実は、数年前に、ケーブルテレビ会社が、有料チャンネルの顧客を増やすために、2時間無料で好きな有料番組を見せるというプロモーションをやっていたことがあった。Aiはせっかくならと、プレイボーイ・チャンネルをつけてみることにした。たまにしか見られないんだからと、ビデオにまで録画するという念の入れようだった^^:。 そこで、たまたまやっていた番組に、Kelly は出演していた。その時も、このKellyには特別に惹かれる何かを感じた。実際、その後、何度も録画したビデオを再生し、Kelly を見ては、マスターベーションをしていた^^;。あの時の、遠い世界の「憧れの人」が、自分の目の前にいる。しかも、友達になって仲良く話しをしている!!!もうびっくりだった。
後でワークショップに参加していた他の友人にそのことを話すと、「え、知らなかったの?」という返事がかえってきた。なぜかAiだけが、そのことを知らなかった。が、もしかすると、Aiはそれを知らず、ふつうにKellyと接していたから、向こうもいっしょにいて居心地がよかったのかもしれない。もし、そんな有名人だと知っていたら、こちらも構えてしまって、うまく人間関係を作ることができなかったかもしれない。この辺の「抜け加減」が、Aiの人徳かもしれないなあ、なんて今にして思う。Kelly とはその後もしばらく、メールのやりとりが続いた。Aiが落ち込んで悩んでいる時、“Let it go!” (身をまかせろ)という本を紹介して励ましてくれたこともあった。
Kellyは、それまで多くのアダルト・ビデオに出演し、ヒットを飛ばしてきた。プレイボーイ・チャンネルの人気テレビ番組のホステスをつとめるぐらいなんだから、ファンも全米にたくさんいる。そして、そのファンのためのホームページがClub Kellyだった。もちろん、プロが作っている洗練された、もりだくさんのサイトだったが、そこには、Kelly の書いた文章がふんだんに載っていた。そこには、セレブを気取らない、Kellyの人となりがとてもよくあらわれていた。プロが作っているけど、手作り感がある、そんな素敵なサイトだった。
Aiが自分のホームページを作る時、こういうサイトにしたいと思った。そこで、Club Aiと命名し、Kelly の素敵なサイトを目指したのだった。Kellyと連絡を取らなくなってから、数年がたつ。Kellyは元気でやっているのだろうか? いつかまた会いたいと思う。