ヴァギナモノローグ ちょっとバブル
やらはた騒動記
2017.11.14
by 昌浩子
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わたしが初めてセックスしたのは周りの友人に比べて遅く、20歳だった。

中高時代、自分のヴァギナに何かが入るなんてちょっと想像がつかなかった。

いや、怖かった。
自分ではない人のものを、
自分の体内に、しかも内側中の内側に入れるなんて!
わたしのテリトリーを侵されるみたいで嫌だったし怖かった。

小説の中でも、
処女喪失について、
イヤッホー!超気持ちいいーっ!ちんこ入って極楽!
なぁんて描写は皆無(笑)

だいたいは痛み、血、我慢、そして女になる的な。

高校時代、まわりはセックスしていた。
もしくは、「早く処女を捨てたい!」と息巻いていた。

「浩子も早く捨てたいよね?」
う、うんもちろん!
高校生にありがちな同調をしつつも、
わたしは臆病だから同意しかねていた。

そして大学に入り、
女子が複数集まると決まって話される耳慣れない言葉。

【やらはた】。

この言葉を聞き、なんとなく苦笑してしまう方はわたしと同世代(笑)

【(セックスを)ヤラずにハタチ】を迎えることの略。
80年代の死語だよな、でも一応…とwikiったら、立派に解説が存在していることに驚いた。
ほぅ、1982年のプレイボーイの記事に登場した言葉だったんだな。

しかしこの言葉が持つ呪縛のパワーはすごかった!

「やらたはなっちゃう!ヤバい!」
「やらたはだったら終わってるよね!」
「やらたはだけは絶対避ける!もう相手は誰でもいいわ!」
こんな会話が日常的で。
兎にも角にも、早く処女喪失するのが善、そんな風潮だった80年代後半。

急いでいた。
みんなが急いでいた。
臆病だったわたしも、
やらはた回避の濁流(笑)激流に飲み込まれ、
処女を捨てることを考え始めた。
臆病のままではやらはたになっちゃう。
やらはただと人間失格だと思われちゃう。
そんな強迫観念に支配されていった。

ある日、大好きだった先輩と、
脱やらはたのチャンスが巡って来た。

一人暮らしの先輩の家。
ママゴトみたいな家デートをし、
「泊まって行くか?」の台詞いただきましたーっ!
シャワーの後、先輩がパジャマの下だけ着て、その上だけをわたしが着る。
なんだなんだこの甘酸っぱいシチュエイションはっ!

キスして、
押し倒され、
パジャマ脱がされ、
胸揉まれて、
まんこ触られ!
なんだなんだこの正統派な流れはっ!

他人に初めて触られたまんこ。
オナニーと違う感触に、焦らされることを知る。
初めて入ってきた他人の指に、恐怖感マックスだったけれど、へぇこんな感じ?と拍子抜け。
いろんな部分を撫でられさすられ揺すられて、
体液も気持ちも溢れていた。

そして先輩のちんこを握らされ、
勃起の硬さに、ちんこの造形に、
ただただ人体の不思議を感じ、
さあいよいよ挿入か!
やらはた回避に間に合った!19歳浩子!

その時。

「浩子はひとり娘で大切に育てられたから、大切にするよ。だから今日はここまで」

はあああああ?
なんですかあ?
寸止めっすか?

まんこ濡れてるのに、
ちんこガチガチなのに、
このまま川の字で寝るんですか?

寝た。

否、眠った。
濡れたまんこと勃ったちんこ、そのままで。

結局、やらないままその先輩とはハイさようなら。
今でも不思議だが、あれは一体何だったんだろうか?
「わたしの処女を捧げたんだから責任とって結婚して!」とでも言われるかと思ったのだろうか?
迷宮入り【やらはた続行セックス未遂事件】だ。

そして、男を取っ替え引っ替えしながらもセックスには至らないまま、ヤらずにハタチを迎えたわたし。

これは一つの挫折経験だったかもしれない。
やらはたになってしまうと、投げやりないかばかりか気持ちも荒んでいた。

ハタチから何ヶ月か過ぎた頃、付き合った実家住まいの年下男子と生まれて初めての挿入セックスをした。

どうせわたしはやらはたさ。
腐った魚みたいなもんよ。
ハタチを過ぎた処女にメモリアル初体験なんていうロマンチックさなんか皆無だった。
だから、まったくもって記憶がほとんど無い。

覚えているのは、
実家で階下に親が居り、声を殺してセックスしたこと。
男子がへこへこ腰を動かす姿がとても滑稽だと思ったこと。
翌日、股に丸太が挟まったかに感じたこと。
これだけ。

以後、わたしにとってセックスはアトラクションとなり、様々なひとやシチュエイションを体験することになる。

一度この記憶から消し去っていたハタチ周辺の時代を考えねばと思っていたからいい機会だった。

「捧げる」「宝物」などと男への供物扱いでもある処女喪失も根強く残る。
ここに、やらはたという変な価値観が入ってきたからさあ大変!

自分を捧げてもいいくらい好きな相手を見つけて、ハタチ前に愛のあるセックスしてめでたしめでたし…
アホみたいなシナリオだな全く。
これに振り回されたおかげて、
要らぬ挫折感を得たじゃ無いか。

とはいえ、やらはた一連のおかげで、セックスへの恐怖心は無くなり、臆病から積極派へ大きく舵を切ることができ、
こうしてネタにさせてもらっているから良しとするか(笑)

しかし、都市伝説みたいなくだらない価値観、
その人の人生までも変えてしまうから恐ろしい。

あれから二十余年、
厚労省の調査で【未婚で性経験が無い女性の割合】
2005年 2010年
18〜19歳 62.5% 68.1%
20〜24歳 36.3% 40.1%

これが現実。

プロフィール
昌浩子
昌浩子(まさ・ひろこ)
バブルのしっぽの時代に青春を謳歌。パーティコンパニオン/家庭教師/スナックのホステスのアルバイトのおかげで財布の中には常に30万円が入っていた学生時代を経て、テレビディレクターとして仕事に人生を捧げたものの、福島原発の事故により人生観がガラリと変わり、エシカルやオーガニックな世界に身をおくべく日々奔走中。東方神起とシャンパンと飛行機をこよなく愛する札幌在住の三碧木星天秤座。

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