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魔法にかけられて
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「魔法にかけられて」

監督:ケヴィン・リマ

出演:スーザン・サランドン/エイミー・アダムス他

おとぎの国からニューヨークに「落とされた」プリンセスの物語。ディズニーは、現代のプリンセスをどう料理したのでしょう?! 

この映画について話したのは、ヒラリー・クリントンがまだオバマと、大統領候補者席を争っている最中でした。少々、話が「古く」なってしまっている箇所もあります。


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北原みのり:第三弾、ディズニープリンセスの話だ。

坂井恵理:はい。「魔法にかけられて」。ざくっと言えば、おとぎの国のプリンセスが悪い魔女に魔法をかけられて、ニューヨークに落とされるという話。おとぎの国のシーンはアニメで、NYのシーンは実写で作られてる。

北原みのり:ディズニーランドに行くたび、私はアメリカのフェミニストはどうしてんだとか思ってたけど。

坂井恵理:トゥーンタウンのミッキーやミニーのおうちなんか、ホントに性別役割みたいな感じでね。

北原みのり:ミニーはミッキーのおうちの半分以下の小さな家に住んでるんだよ。ミッキーの部屋のコルクボードにはミニーからの手紙が張ってあって、そこには「あなたが忙しいのはわかってるけど、ディナーの約束だけは忘れないでね!」とか書いてあるの。ミッキーは世界的に忙しい映画監督でさ、書棚にはヘミングウェイとかあってさ、ラジオでは株式情報とかが流れててさ、洗濯機はあったけど、台所はない。

坂井恵理:ミニーちゃんちにはもちろん台所があって、可愛らしいソファの上に、ビクトリアン・シークレット風の下着カタログが置いてある。

北原みのり:ミッキーなんていなくなればいい。

坂井恵理:ぬはは。何で?

北原みのり:だって、ミニーちゃんを搾取するから。あんな男はやだ。

坂井恵理:でも、ウォルト・ディズニーが生きてた頃の、古い白黒のミッキーは結構好きなんだけど。ミニーちゃんも今と結構違うよね?

北原みのり:全然違う!

坂井恵理:ミニーちゃんガニマタだったりするしさ。

北原みのり:しかもミッキーはさ、ウォルト・ディズニーの心の友だったって感じがしない?

坂井恵理:僕の親友みたいな。

北原みのり:貧しい屋根裏部屋でウォルトがマンガ描いている時に、支えていたんだよね。小さい時、本で読んだよ。

坂井恵理:ホントにいたんだろうね、心の中に。

北原みのり:それに比べて、今のミッキーは駄目だよ。

高橋フミコ:成金だ。株で儲けて。

北原みのり:そうだよ。ヘミングウェイなんて読んじゃってさ。でね、だから今のディズニーはフェミの敵かと思っていたが・・・私、この映画で、ディズニーが好きになりました! よくできた映画だったな。

高橋フミコ:変わり身早いな。

北原みのり:うん。ディズニーばんざい!(爆)


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坂井恵理:ディズニーっていうとプリンセスものってイメージあるけど、プリンセスものって実は、そんなに作られていないの。まず、1937年に「白雪姫」が作られて、その後20年間で有名なアニメといえば、「バンビ」に「ダンボ」に「ピノキオ」。プリンセスものはひとつもなし。で、1957年に「シンデレラ」、1959年に「眠れる森の美女」が制作されてる。

北原みのり:「バンビ」とか「ダンボ」のとき、日本は戦争まっさかりだ。竹槍とか学校で持っていた時、アメリカの子供は「バンビ」を観てたんだね。

坂井恵理:その後、1989年の「リトル・マーメイド」までプリンセスものってのはないんだよね。わたし達の世代って、生まれた時は東京ディズニーランドもまだないし、ビデオデッキもなかったから、こういうディズニーアニメって逆に観たことないんじゃない?

高橋フミコ:あたしの世代は、テレビでディズニーアワーがあったんだよね。白黒の「ミッキーマウス」とかやってた。

北原みのり:へー! ディズニーアワー! そうか、じゃあ今30代中盤くらいが最もディズニーに無関係な幼少時代を送ったってことだね。私は姪が赤ちゃんの時に見た、「リトルマーメイド」が初めてのプリンセス映画。アンデルセンの親族はあの映画を訴えないのでしょうか。

高橋フミコ:結ばれちゃうんでしょ、王子と。

北原みのり:そう、かわりに魔女が死ぬ。魔女がそんなに悪いかって話だよ。

高橋フミコ:原作の人魚姫は思いを遂げずに死んでいくのに。びっくりしたよ!そこまで変えちゃうなんて。欲望丸出しのご都合主義って感じで。金さえあればなんでもできる、アメリカの成金力!子供の頃結構好きだったディズニーから遠ざかってしまったよ。

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坂井恵理:プリンセスものはだいたいそう。クラシック・ディズニーって呼ばれる「白雪姫」とか「シンデレラ」とか「眠れる森の美女」とか、お姫様はただ顔と性格がいいだけ。白雪姫の小人はジジイのくせにさ、白雪姫におでこにキスされて喜んで。ちょっと、気持悪いんだよね。自分のキスがご褒美だって、信じて疑わない女ってどういうこと、とかさ。で、「リトル・マーメイド」のヒットのおかげか、立て続けに91年に「美女と野獣」、92年に「アラジン」が作られてる。

高橋フミコ:へー。プリンセス全盛期だね。

坂井恵理:「美女と野獣」のときに、本を読むのが好きなプリンセスってのが今までになかったということで、「現代を反映してる」って公開当時騒がれてた。

北原みのり:本を読んでいるってだけで(笑)!?

坂井恵理:知的な現代女性(笑)!

高橋フミコ:「美女と野獣」では、イケメンでオレはモテるぜってタイプの男はすっかり 悪役で、最後に谷底に落ちて死んでたけど。

坂井恵理:最後は見た目は悪くても心の優しい野獣と結ばれるんだよね。これまではプリンセスと王子は一目惚れで「運命の愛」とか歌ってたけど、この頃からプリンセスと王子が交流するようになってるんだね。

高橋フミコ:そう、でも、野獣も最初はDV男。プリンセスの優しさを受けてだんだん心 がほぐされていくんだ。父親を助けようとしたりさ、活躍するプリンセスだよね。まあ、優しさとかの女らしさを発揮してってことだけど。

坂井恵理:当時、アダルト・チルドレンとかやたら言われてたからかな? あと、90年代に「シンデレラ」の続編が2本作られていて、「シンデレラ2」では城の中のしきたりにシンデレラが悩んだりする。キスして結婚した後をきちんと描いていておどろいた。別の話では、シンデレラがブサイクな義姉に「男を落とすにはまず見た目。結婚したけりゃ中身もみがけ」なんて歌ってたりして、計算高い女の一面も見せてて笑えます。最初の「シンデレラ」より現代の女の子が共感できる話も作ってるんだよね。ディズニーは。 

北原みのり:シンデレラで2作も創るなんて、商売上手だね、ディズニー。

高橋フミコ:時代の流れを入れて創っているんだね。

坂井恵理:少し離れて98年の「ムーラン」で主人公が男装するプリンセスになった。これは舞台が中国で、病気の父の代わりにムーランが男装して戦争に行くって話。ところが「ムーラン」はコケちゃった。絵柄が地味ってこともあったかもしれないけど、女の子って戦争に行きたいわけじゃないじゃない? 強くなりたいとは思っても、戦争したいわけじゃない。しかも父親の代わりになんて。

北原高橋フミコ:うんうん。

坂井恵理:それ以降10年、プリンセスものは作られず。21世紀になって、地に足の付いた、現代の女の子が観ておもしろいものということで「魔法にかけられて」になったのかなって思った。

北原みのり:なるほどね。もうプリンセスもの出し切ったあとに、そろそろ新しいプリンセス出すかっていう、新しいヒロインなんだよね、きっとね。


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北原みのり:この映画のみどころの一つは最初の10分間。目が離せませんでした。プリンセスが脈絡なく「ララララ〜」と歌いだし、鹿やリスが集まり、「夢にでてきた王子様はどこにいるの」とかハーモニー。で、唐突に王子と出会い「結婚しようラララ〜あした結婚式だわ〜」 白雪姫とか眠りの森の美女とかなんだか色んなものをゴッチャにしてつくっただけのシーン。


坂井恵理:ディズニーが自分たちをパロディにしているんだよね。


北原みのり:あのシーンで、この映画、一気に好きになったもん。


坂井恵理:ニューヨークに落とされた後も、ジゼルは自分のやり方を変えない。例えばおとぎの国では、かわいいリスとか鹿とかが自分の代わりにお掃除してくれたのが、ニューヨークでは鳩とドブネズミとゴキブリ。


北原みのり:ラララ〜


坂井恵理:でも、ちゃんとゴキブリも差別せず愛でるのよね。博愛ってそういうことだよなって思ったよ!ゴキブリを3匹指に乗せて歌ってたからね。


北原みのり:完全なセルフ・パロディ。パロディの笑いに勝る笑いってなかなかないわ。


坂井恵理:ディズニーっていうと、ミッキーの画像をブログで使うだけでもNGだって聞くのに、自分の会社でやる分にはここまでできるんだね。


北原みのり:懐の深さを感じました。


坂井恵理:でも、この映画の一番の見所は、おとぎの国からやって来る王子様。


高橋フミコ:見所の一つですね!


北原みのり:いやーもう、それを見るだけでもすごい映画だから。私、最近思うんだけど、バカ男を時代は求めて

いるのではないかと。自分をバカだとは思っていない、ブッシュとは違うよ。そういうんじゃなくてね、イケメンで、純粋なバカ!


坂井恵理:いいバカね。


北原みのり:が、どんだけ、求められているかっていうことが、わたしこれでわかったよ。「安宅家の人々」観てた?


高橋フミコ:何それ?ドラマ?


北原みのり:うん。吉屋信子の原作。もう終っちゃったけど。あたしはそれで、バカ男の威力をみたよ。知的障がいの男性が出てくるのね。PC的には言ってはいけない言い方でしょうが、描かれ方としては「ただただひたすらに純粋なオバカなイケメン」でした。彼は、女の人に「セックスしたい」と押し倒されそうになりながら、「え? セックスっ!」と目をまん丸くさせるわけ。テレビとしてもギリギリの表現で、驚くことだらけだった。


坂井・高橋フミコ:あははははは!


北原みのり:演技も、ちょっとすごい。手をピシっとのばして、キョーツケの姿勢で「ぼく、○○さんが好きでぇす!」。優しくて、花が好きで、美しい顔で、ピュアで、男らしい肉欲はないのだけど、女が求めればセックスもする。ピュアなオバカとして演出されてた。


高橋フミコ:それって、「魔法にかけられて」のプリンスじゃん! 


北原みのり:そう。ある意味、そっくりなのよ! やっぱ、これ、時代のキーワードだよ!


坂井恵理:おバカイケメントリオの「羞恥心」がオリコン1位とる時代だしね。つるの剛史はたしかにバカなんだけどさ、「赤ちゃんの泣き方で、赤ちゃんが何を求めているかを当てろ!」ってクイズで、ちゃんとミルクの泣き方とおむつの泣き方を聞き分けてたよ!


高橋フミコ:そっか、今までの王子様のパロディとして描いてると思ったけど、あれは新しい王子様像だったんだ。


北原みのり:男に求めるものが、リーダーシップとか、逞しさとか、決断力とかじゃなく、やさしさとやわらかさとピュアさと柔軟さと思いやりと美しさ・・・という風に変わっている、と言い切っておきましょうか。


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北原みのり下男の描かれ方も秀逸だと思った。下男のナサニエルは女王である魔女が好きで、魔女に愛されたくて頑張っちゃうんだよね。でも、魔女に見くびられていることも、同時に知っている。女との関係でものすごく葛藤するんだよね。


高橋フミコ:あー。王子様とお姫様の関係では表現できない、屈折した愛だ。面白かったな、ラジオの悩み相談に出ちゃったりして。


北原みのり:大抵の男はさ、女と葛藤することを嫌がるじゃん。面倒くさいこと言うなら別れる、みたいなさ。


高橋フミコ:そうだね、お前、おとぎの国に住んでるつもりかって。


北原みのり:だけど、この召使はちゃんと女との間で葛藤して、それを乗り越えて新しい世界を拓いていく。


高橋フミコ:ちゃんと悩んで、結論出して、自分を見つけていくんだ。


北原みのり:ナサニエルはさ、そんな卑屈な自分がいやで、王子様にさ、「王子、あなたは自分のことが好きですか?」って聞くんだよね。


高橋フミコ:その時の王子の顔がすごい!満面の笑顔で、一瞬考えて、笑顔がフリーズするんだけど。


坂井恵理:質問の意味が解んないで考えてるんだよね。


北原みのり:そう。そんなこと考えたことないから。


坂井恵理:で、「当然だろ!」ニカッ!キラリーン!って、歯が光る。


高橋フミコ:あはあはあは!


北原みのり:プリンセスを追ってニューヨークに来た後も、ニューヨークの自由の女神の帽子かぶって「いつまで

デートは続くんのぉ? 早くおとぎの国に帰りたいよー」とか言って。いやー、仰天の新しい男像。


高橋フミコ:あなたの心にも一人。


北原みのり:そう、あの王子様心に一人いたら、それだけで生きていけそうな気がしない? プリンスを演じた俳優も言ってたよ。演じるのが難しかったって。そうか、と思った。モデルがないのよ。ヒーローの演技はモデルがいっぱいあるけれど、ただ性格のいい、ピュアで、バカなプリンスのモデルは・・・。


坂井恵理:ひゃー、ふふ。


北原みのり:フーサンは本当にバカな男かと思ったって言ってたね。


高橋フミコ:うわっはははは!そう!ホンモノにしか見えなかった


北原みのり:演技してたのか、とか言っちゃってたし。


坂井恵理:そんな奴はハリウッド俳優になれないよ!


高橋フミコ:あはーあはーはー!すっかりやられちゃったってわけだ。


北原みのり:でもそのぐらい凄い。アカデミー賞もんだよね、この。でも結局プリンセスは王子をフリ、ニュー

ヨークで出会った弁護士の男の方を好きになる。それがこの映画の不思議なところでもあり、考えどころよね。色々と謎かけが多い気がするよね。この映画。


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北原みのり:プリンセスが恋に落ちる「現実の男」。どうだった? あのプリンスに比べて、よかった?


坂井恵理:おじさんだったよね。でも彼は弁護士で、金も地位もある。現代の王子様っていうの? それに一応フェミ男だよ。娘に空手を習わせて、「世界の偉い女の人」みたいな本を娘にプレゼントして。「一目惚れなんか信じないで、デートして会話しろ!」ってプリンセスに言ってたし。


北原みのり:ああそうだったね。でも、女の子に空手とかキュリー夫人とか・・・一昔前っぽいベタなフェミニストを男が引き受けてたね。


高橋フミコ:いいなーと思ったのはさ、プリンセスが怒るじゃん。


坂井恵理:弁護士の男が彼女に対して、あれもするなこれもするなって、ノーノーノーノー言ってたら、プリンセスが、「アイム、アイム、アイムアングリー!」って叫ぶ。その後の一言がいいよね。「あら? すっきりしたわ」って。そんなプリンセス、今までいないよね?


高橋フミコ:今まで笑ってばかりいたプリンセスが初めて味わった感情なんだよね。


北原みのり:女の「怒り」を全肯定したもんね。さらに、アニメでは絶対に女がさらわれて、男が救う、という定番があるけれど、今回マヌケにもさらわれるのは、弁護士の男。さらうのは、スーザンサランドン演じる魔女だしね。


高橋フミコ:プリンスは屋根から落ちてくる弁護士を抱きとめる。刀をもって助けに行く。


北原みのり:そう。そしてまた、現実の国にいる弁護士の元フィアンセもなかなかよかった。最後はプリンスと結婚するんだけど、プリンスを抱きかかえるようにしてキスするしね。そういう一つ一つの動作に、けっこうこだわっている感じがしたよね。ああいうのは、女性の大統領の出現を意識したりしてんの?


坂井恵理:でも、ディズニー・プリンセスが大統領になるにはまた10年必要じゃない。まだ、女の子が好きな職業に就くまでだもん。


北原みのり:そうね、デザイナーとかね。


坂井恵理:ジゼルは現実の世界で、デザイナーになる。しかもプリンセスっぽいフリルでピンクなお洋服のブランドで。一応職業について、自立はするけど、女の子っぽい職業。


北原みのり:カリスマ主婦と一緒だね。子育てもウキウキです。夫とはいつもラブラブです。家事はカンペキです! 


高橋フミコ:ディズニーの提案する女の子の夢。あと10年で大統領が登場したら面白いね。


坂井恵理:で、夫がイケメンで無職とかになってるかも。さらにバカっぽくていい人で。


北原みのり:それって、やっぱりクリントンじゃない? あの人、今・・・無職じゃないの?


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北原みのり:最後、プリンセスは現実の世界に留まり、話ができる弁護士の男と結婚しする。


高橋フミコ:セックスしていないのに、子どもを持てた、というところがプリンセスの話っぽいよね。


坂井恵理:赤ちゃんはコウノトリが運んでくるんだもん。


北原みのり:プリンセスはセックスしないでも家族ができる。


高橋フミコ:聖プリンセスだ。すごいね。


坂井恵理:でも、最後、王子と結婚するキャリアウーマンは、おとぎの国にセックスを持ち込むんだよ。(元フィアンセが、プリンスと恋に落ち、おとぎの国で結婚式をあげるのだ)


北原みのり:あー、そうだ! あの人が創ってくんだ! 今度、おとぎの国の世界を。思えば最後の結婚式のシーン、激しいキスシーンも、二人がものすごく激しいセックスをする・・・というような予感に見えるよね。


高橋フミコ:アハハハハー!!


坂井恵理:そうだよ! そしたら今は、王子にはペニスもないかもしれないけど、魔女にペニスを作ってもらってさ、それでフェラチオとかされたら、あのバカ王子メロメロじゃない。


北原みのり:はあ!! 毎日フェラチオだー!


坂井恵理:「もう一回して〜」


高橋フミコ:アハ!アハ!アハ!


北原みのり:「ずっとして〜」


高橋フミコ:ハッハッハ!ヒー!ヒー!


坂井恵理:おとぎの国には仕事もないし、他にやることないんだから、あの二人。


高橋フミコ:ひひ。(やっと笑いがおさまってきた様子)


北原みのり:子だくさんだわ。おとぎ話にこそ、セックスと子づくりの「次の話」が必要だったのね! 


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北原みのり:ところで「プリンセス」に憧れるっていう感覚、みなさん、子ども時代に持ってた?


高橋フミコ:そういうの、日本の文化じゃないよね。そもそもそういう物語がない。


坂井恵理:玉の輿に乗るのは「鉢かつぎ姫」くらい? それ以外思いつかないなー。「かぐや姫」なんて結婚もしないしね。


高橋フミコ:最後は天皇までふって、月に飛んでっちゃうし。


北原みのり:男と結婚して幸せになりました・・・なんて日本昔話・・・あったっけなー。思い出せないなー。たいてい、お金持ちになりました、ちゃんちゃん、って感じじゃなかった!?


坂井恵理:屁こき女房とか。


高橋フミコ:あと日本の姫というとー「安寿と厨子王」!


北原みのり:かなしー! 悲しい話だよね。


高橋フミコ:姫っていったら、悲しい感じだよね。女の伝説ってみんな悲しいじゃん。八 百屋お七とかお岩さんとか娘道成寺とか、みんな結ばれないね。鉢かつぎ姫とかいるけど、あれも哀しいナー、最後はよかったよかったかもしれないけど、わけも解らず鉢を担がされてた青春を返して!って感じしない?王子様とか出てこないし。


北原みのり:結ばれちゃいけないんだね、きっと。


坂井恵理:悲恋が好きなのかな。でも、現実にさ、ダイアナさんとか、雅子さんとかじゃなく、幸せになったプリンセスって、いるの?


高橋フミコ:知らなーい。グレース・ケリーとか?でも最後は交通事故で死んじゃったよね。


坂井恵理:みんな、薄々、お城の中は大変なんじゃないかって思ってるからね。だったら、そこそこの金持ちと結婚する方が楽じゃないかしらって思うよね。


高橋フミコ:金持ちが多様化したから。


坂井恵理:だったら、結婚式で一日だけプリンセスになれればそれでいいんじゃないの。


北原みのり:あ、そうか。結婚式って一日プリンセスなんだね。


坂井恵理:だって、有り得ないよね。ドレス着て人前でチューするしね。


北原みのり:ちょっとわたしはやってみたい。


高橋フミコ:そうか、あれ、一日プリンセスだったんだ。そう思うと許せるかも。


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北原みのり:「魔法にかけられて」で素晴らしいのは女優。日本だと女優って本当に若い人しか使わないんだけど、これは違うもんね。


坂井恵理:まさか、プリンセス役が三十代って。


北原みのり:そう。ちゃんとキャリアを積んだ女優を起用してる。安定感があったよね。


高橋フミコ:あるある。 北原みのり:さらにこのパロディ感! これも日本にはなかなかないもんね。ジブリが宮崎アニメをパロディにする、みたいなもんじゃん。ジブリのパロディって見てみたいね。


坂井恵理:ジブリの女の子たちもみんな戦う女の子なんだけど、なんか、こういう感じじゃないよね。


北原みのり:「魔法にかけられて」では、一つ一つの記号みたいなものを、意識的に入れ替えてるってことがちゃんとわかる良質なパロディー。


高橋フミコ:なんで日本のはいやなんだろ。「ゲド戦記」の戦う女の子なんかも、原作ではもっと複雑な人物で、冷静で勇敢さを心に秘めてていいかんじなのに、宮崎アニメになると途端に日本アニメっぽさにからめとられて、パターン化してて、なんかイヤイヤしたり、男の子に手を引かれちゃったりして、もう、みてられない。女の子は例え勇気があってもさ、その勇気自体が守られるべきなことにされてるっていうか何ていうか。ジレンマ感じるんだよねー。


坂井恵理:この間も話したけど、日本の女の子キャラって、トラウマとかないと駄目だよね。ジゼルみたいに底抜けに明るくて前向きってのは痛快だけどリアリティは感じない。日本で女に生まれたら、傷ついてないわけないし。


北原みのり:そうだよね。


坂井恵理:あ、でも最近の萌え系アニメだと、明るいだけのノーテンキな女キャラもいるか。でもジゼルには日本のアニメのようなロリコン性は感じないね。アニメパートにしても、みんな顔長くて、目ェ釣りあがってるしさ。


北原みのり:全然感じないね!女優が年いってるってこともあって、全然感じない。しかも弁護士の娘も不細工だしさ。あの子供の不細工ぶりもいいよね。


坂井恵理:ナウシカとかは怒ったりもするけど、愛した男や親しいおっさん達には怒らないような気がするの。


北原みのり:うんうん。黙っちゃう感じだよね。世界とは戦うけど、身近な人間関係で傷ついたりするのは避けるよね。


坂井恵理:男を恐がらせちゃいけない感じ。


北原みのり:威嚇してもいけない。励まして、応援する役割だけね。ジゼルはぶつかるもんね、男と。


坂井恵理:浮気なんかしたら徹底的に怒りそう。


北原みのり:人間関係で葛藤する女主人公はいいなぁ。もっと自己中な女の話、観たいなぁ。


坂井恵理:男には、何でも自己中でいくヒーロー像みたいなのもあるよね。


北原みのり:確かに。そういうヒーロー像に自らはまって酔ってる感じの男、多いよね。私、オバマがいまいち好きになれないのは、そういうヒーローっぽい自我を背負ってる感じのところ。イヤダイヤダ。


坂井恵理:大きく闘う前に、まず身近な人と戦おうだね。


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北原みのり:魔女役のスーザン・サランドン、悪者だけど、かっこよかった。本人も、この映画について絶賛してるよね。


高橋フミコ:ものすごいロンドンブーツ履いて。


北原みのり:グレン・クローズが「101」に無自覚に出ちゃったのとちょっと違う感じするよね。


高橋フミコ:西洋のお姫様ストーリーって、女の子の出世物語みたいなとこもあんじゃ ん。階級逆転劇みたいな。よくわかんないんだ、そういうお姫様ストーリーって。物語りをつくった庶民たちは、お姫様に何を託してきたんだろうって考えちゃうわけです。


北原みのり:一発逆転? 


高橋フミコ:で、アメリカで階級逆転っていうか、貴族のいないアメリカで、新しい支配 者階級になるってのがアメリカン・ドリームなら、新しいアメリカのプリンセス像を創っていく必要もあったんだろうって考えた。ディズニーのプリンセスってさ60年代の金持ち主婦っぽいじゃん。家電に囲まれて、お掃除を楽しくやっててさ。きれいに着飾ってさ。愛してるわン、マイ・ダーリンみたいな感じで。


北原みのり:たしかにそうだ。嬉々として掃除してるもんね。


高橋フミコ:それがまた、フェミニズムが起こって理想の女性像も変わっていって、で、結局、アメリカン・ドリームのプリンセスは、社会進出して、キャリアを積んでしまったっていう、資本主義の歴史を感じるわけです。どんどん変わってっちゃう。変わっていく国はいいね。


北原みのり:どういうこと?


高橋フミコ:日本も変わんないかなって思って。


北原みのり:そうだね。物語りの中で、女の変化が象徴的に現れてるね。そういう物語り、日本でも観たいものです。わたしホントにヒラリーに勝ってほしいんだけどさ。ヒラリーですらさ、女性差別について言い出したじゃん。


坂井恵理:ヒラリーがもし男だったら、同じこと言ってても、きっと楽勝だったんだよね。オバマの笑顔ってあの

バカ王子みたいじゃない? 


北原みのり:うん、ピュアでいい人っぽい。でもあの人は、バカ王子じゃない。だいたい改革とか言ってる男いいわけないじゃん。


高橋フミコ:小泉といっしょ、みたいな。


北原みのり:ほんとだよー。もういい加減に。駄目だよ絶対。


高橋フミコ:最近はヒラリー語録みたいなのさ、朝日新聞でも、ヒラリーがこう言いましたっていうの載せてるね。うーんと、今日だったかな、オクラホマかなんか、「ロッキー」の舞台のところで、「わたしはロッキーなの」って言ったんだって。「不屈の闘志。最後まで諦めない」って。そしたらインタビューで「ロッキーは最後負けましたけど」って突っ込まれてたらしいんだけど。それで何て答えたかは、載ってなかったんだけど、ヒラリーが何ていったのか面白がられてる。それだけでも、結果はどうあれ、いいかなって。


北原みのり:それだけでも?


高橋フミコ:そう負けちゃうかもしれないけど。


北原みのり:きっと言葉が面白いんだろうね。この前、ホントに負けるかもしれないときあったじゃん、前の日にバラエティ番組に出演してるの。そのときに、だいたいこんな時にこんな番組出てていいんですか?って司会者が意地悪い質問するのよ。そのときのヒラリーの切り返しが、すごい見事でさ、「うん、そうなの、惨めでしょ」って言ったの。


坂井恵理:あは!


北原みのり:はは。それで、ぐんと支持率があがったとか。女性差別、人種差別、どっちを取るか、という話になるのはいやだけれど、ヒラリーははっきり言ってたよ。自分が大統領になることで、一番影響があるのは、自分の娘とか孫娘の世代だって。その世代の女の子たちに、って。


坂井恵理:泣ける


高橋フミコ:ヒラリーだって、アメリカのプリンセスみたいな、ファーストレディだったわけだしね。

北原みのり:そうだよね。クリントン、バカみたいだしさ。今の時代を象徴するカップルよ、きっと。純粋なバカの男と、向上心のある女。女は、世界を救う、彼女はヒラリー。ディズニーはたぶん、ヒラリーを応援してるんだと思う。


高橋・坂井恵理:まさか(笑)


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魔法にかけられて
[2008/03/04]
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