「エル・ワード」

三日ほどかけて、「Lの世界」というアメリカのTVドラマシリーズのシーズン1を見ました。原題は「the L word」で、「Lの言葉」ということなので、「エル・ワード」と書くことにします。ツタヤでDVDを借りました。
プレイヤーのリモコンがみつからなくて設定が思うようにできず、最初の四話まで吹き替えで見ました。私は吹き替えの日本語が苦手です。本当はもっと低音で低温でしゃべっているはずとか、語尾はいつもそんなに色っぽくないはずとか、疑いが出てきてドラマに集中しにくくなるからです。

リモコンがみつかって五話目から無事、英語で台詞を聞くことが出来るようになりました。意外と違和感のなかった人たちもいました。マリーナとシェーンの低音ボイスは日本語の時とつながっていたような気がします。
そう、低音ボイスだけではなく、私はマリーナとシェーンという登場人物が好きです。

マリーナ・・知的な会話と情熱的な恋愛を好むイタリア人。
シェーン・・恋愛はしない主義の二十五歳のプレイガール。

雰囲気のないものねだりかしら、と思いながら、今、マリーナの「上から目線」とシェーンの猫背を毎日の生活で真似しています。が、杉本彩と中島美嘉にだぶりそうです。

ということで、「エル・ワード」おもしろく見ています。でもマリーナはシーズン2からもう出てこないそうです、残念です。
ネタバレになりますが、ちょっとマリーナについて書いてしまいます。

マリーナはレズビアンたちが毎日集うカフェのオーナーです。そこへジェニーという可愛いノンケ女子が現れ、マリーナは、「知的な会話と情熱的なアプローチ」で彼女をオトしてしまいます。で、あれこれあって、最終的にジェニーに振られたマリーナはストーキングぽいことをするようになっていきます。ジェニーを惹きつけていたマリーナが追いすがる人にかわっていくのです。けれど、どうにもならなくて、マリーナがジェニーの前から姿を消した後、周りのひとたちは、マリーナがただのカフェのオーナーではなくイタリアの伯爵夫人だったことを知らされます。
常に安全地帯があってこその「上から目線」だったわけです。優しい設定だわ、と思いました。

私の周囲でもこのドラマにハマっている人たちがいます。一人は長い付き合いのノンケ女子で、もう一人はゲイバーで会うゲイ男性です。NちゃんとAさんにします。

Nちゃんは三年くらい前から、本業以外にフェミ関係のイベントを手伝うようになり、そこからセクシュアルマイノリティー関連に流れていきました。
あるイベントのさいに自己紹介をする場面があり、周囲のひとたちが名前とセクシュアリティーをはっきりと述べていくさまに気後れして、「私はN、ヘテロです」とは言えなかった、と嘆いていたことがありました。

「だってわからないでしょう、この先オンナを好きになるかもしれないし」

と嘆いた後に少し嬉しそうに言いました。そんな彼女が「エル・ワード」にハマったのは、マリーナにオトされたあとのジェニーの、「私はレズビアンかもしれない」という揺らぎを身近に感じるせいかもしれません。

「エル・ワード」は、男の裸があまり出てこないしゲイ男性も端役でしか出てこないせいか、私が行く二丁目のゲイバーでは、「sex and the city」や「デスパレードな妻たち」にくらべるとあまり話題になっていない感じがします。

ゲイ男性のAさんは、男の視点で描かれていないから見ていておもしろい、と言います。そこにはゲイの視点というよりフェミが入っているようです。

ゲイ男子はゲイであることを黙っていても出世できたりするが、ゲイ女子は黙っていても出世できるわけではない。

というようなことをAさんは言って、「エル・ワード」に出てくる女たちのサバイバルに共感しています。

NちゃんとAさんでは共感の仕方は違いますが、対ヘテロ(アンチ強制異性愛?)という点では共通しているように思います。

私は、ドラマの中でリサという自称レズビアンの男性が登場した時に、ドキっとしました。これは私か、と思ったのです。私は自分のことをレズビアンだとは思いませんが、周囲のひとには、私はリサに見えるかもしれない、という気がしたのです。

フェミを語る男子、ゲイ業界に身を寄せるゲイじゃない人、「エル・ワード」にハマるビアンじゃない人・・私の場合は、対ヘテロではなく、そんな寄生虫のような感じで、むしろヘテロの視線で見ているのかもしれない、と思いました。

昨夜ひさしぶりに会ったレズビアンのカップルは、「エル・ワード」は見たけどハマっていないと言いました。

L・Aの金持ちの話で、出てくる女はみんな美人でオシャレだから共感できない。

というのがその理由でした。

まあ、テレビドラマだから・・と思いましたが、たしかに、私が好きになったマリーナの設定はベタかもしれない、とそこにひと言添えてみました。


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