似顔絵
2001/12/27〜2002/12/25
オトコは顔 私は技 高山真
profile

第06回 『24人のビリー・ミリガン』も、ある意味では当然でしょ
ハート 年末からの仕事がなんとか終わって、ようやく先週、3日ほど帰省したの。まとまった休みにはなるべく帰るようにしているんだけど、意味合いとしては、パパンやおばあちゃまへの顔見世興行みたいなものかしら。“結婚して家を継ぐ”みたいな田舎の長男の“義務”に高校生の段階で「イ・ヤ」って言ってる分、アタシにできる範囲での家族孝行を、って感じね。あ、アタシはホントに父親をパパンと呼ぶの。アタシは愛情表現のつもりなんだけど、パパンはいつも微妙な表情。愛情っていつもお互いに一方通行ね。うふふ。

にしてもパパンったら、帰るといまだに「結婚結婚」って言う姿も可愛いわ。っていうか、もうカミングアウトの必要もないほどバレバレだろうに、とも思うんだけど。「息子がゲイかも」ってこと、考えたこともないのかもね。親に限らず、40代以上の多くの人って、人間の分類の仕方がやたらシンプルで、かつ強固よね。「男」は「男」でしかないし、「女」は「女」でしかないの。「息子」「娘」とかもそう。イヤだ、ハジかれる人だらけ! その世代で、ハジかれる恐怖に息を詰めて周りに合わせてた人って、アタシが想像する以上に多いのかもしれない・・・。なーんて殊勝に思ってるそばから、妹と「え、おにいも妻夫木聡が好きなの?」「そうよ、あの可愛さは別格ね!」とか、小学生みたいな話題で盛り上がってるんだけど。ええ、妹は早くから知っていて、姉妹仲はよくなる一方よ!

さて、いつも導入部ばかりが長くなるあたりが、アタシの思い切りの悪さと構成力のなさを端的に物語るこのコラム。言い訳がましいのは百も承知だけど、実はこのお仕事をお引き受けして初めて知ったことがあるの。自分のセックスのことを語るのが、こんなに難しいだなんて思ってもみなかったわ。恥ずかしいというわけではないの。アタシも賢さには程遠い人間だとはいえ、自分が性愛に求めるものが決して一般的ではないことくらいは知ってるから、「オトコってこういうものよね」とか「アタシを見習うべきよ」みたいな書き方にはならないよう、普段めったに遣わない気を遣うのね。まあ筆の進みが遅いこと! でも、確かにアタシは傲慢極まりない人間だけど、そのことを自覚している程度には謙虚でいたいのよ(こういうこと書いちゃう時点で計算高いのも承知済みなのだけれど)。

少なくともアタシは、こと恋愛とかセックスに関して、誰かに完全なモデルを提示してほしいとも思っていないし、ましてやアタシをモデルにしてほしいなんて、その1万倍は思っていない。恋愛指南書みたいな本が腐るほど本屋には並んでいるけれど、アタシにはそれが不思議でならないの。「恋愛とは○×だ」なんて書かれていたら、アタシなんか真っ先に「アンタにしたり顔されるとは思わなかったわね」とか言っちゃいそうで。「恋愛」や「性愛」を理想論や一般論に押し込めて、そこで分類を止めてしまう必要もないでしょ? 大ざっぱな分類は“単純”ってことだし、単純なものから得られる喜びは、アタシの場合、ほとんどすべてが極端なほど短命なの。欲しいものは人それぞれに、もっと細分化されてしかるべきだとも思うし。アタシがラブピースクラブのお仕事に共感しているのも、まさにその部分よ。ま、もっとぶっちゃけると、「中谷彰宏とか秋元康あたりの戯言に本気でうなずいてる時点でダメよ!」ってことなんですけどね。そうよ、もう実名でいくわ。ゲイ友・Hからの叱咤メールの通りよ。小さくまとまるなんてアタシらしくないじゃないの!

アタシが本当に自分らしく(この“自分らしさ”って言葉も甘いとは思うけど、他にいい言葉が浮かばないの。怠慢だわね)いるためには、可能な限り思考のスパンを広げ、分類を続けていくしかないのよね。友達は「世界を分かることは、分けること」と表現したけれど。で、その網目状を描いた分類表の中の、どこに自分を置くかは、それこそ一瞬ごとに変わっていく。オトコを選ぶアタシもいるし、ゲイを選ぶアタシもいる。一言でゲイといっても、そのフィールドでさらに分類は続いていくしね。別のフィールドでは孝行息子を選ぶアタシ、ライターとしてのアタシ、他人にも自分にもツッコミ入れまくることにドーパミン大量放出してるアタシ、「分類を細かくしていくことが生きること」と思っているアタシ・・・。それらすべてが同時進行し、一瞬ごとに、それぞれのパーセンテージが変わることで、あるいは、あるフィールドから別のフィールドへと飛び移ったり、いくつかのフィールドをまたぐことで、そのときのアタシが形作られているわ。その柔軟性があるからこそ、アタシ(たち)は、いつでもひとりを選べるし、まったく同時に、多くの世界や人に対してリンクしている感覚を持つことができるんじゃないかしら。

ま、スパンを広げようとすると、必ず外からの圧力やら攻撃もかかるから、痛いことは痛いけど、それはアタシにとっては必要経費ね。肛門拡張と一緒だわ。キャー、ごめんなさい! キレイなまま終われないのよ。それも業。

コラムのINDEXへ▼
△このコラムのindexへ ▼LPCライブラリー一覧へ戻る ▲up