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2001/12/27〜2002/12/25
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| 第09回 『海を渡る老女』になるのに、30年も待てないわ!
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アタシの手元には、永久保存版とも言える1本のビデオがあるの。5年以上前かしら、CBSドキュメント(TBS深夜)で放映された、アタシのアイドル、ジャンヌ・モローのインタビューがそれ。もう何度見返したことか。CBSのやり手キャスター(50代オトコ)の意地悪な質問を余裕でやり込め、話のペースを自分の思いのままに進めるサマにアタシったらマジ濡れ。もう身体中の穴という穴から様々な液を放出させてしまう始末よ(やや誇大表現あり)。今週は、そのやりとりをいくつか紹介させていただくわ。
●アメリカ人の映画監督、ウィリアム・フリードキンとの結婚が1年ちょっとで終わったことに関し、「アメリカでの生活が居心地悪かったのですか?」と聞かれ……
「アメリカは大好きよ。何度も来ているし、友達もたくさんいる。居心地が悪かったのは“結婚”ね。ミセス・ウィリアム・フリードキンって響きが、私には奇妙で奇妙で。ジャンヌ・モローはどこなのよ、って感じよね。無理だったわ。私も間違っていたけれど、彼も、私を自分に従わせようとしたのは間違いよ。私は誰のギフトにもならないわ」
●「誰かと付き合ったとき、捨てるほうか、捨てられるほうか」と聞かれ……
「私が離れていくほうね。後に残されてしまうのが怖いのかしら。でも、アタシにもわからないのに、誰がそんなことわかるというの?」
●「同時代の大スター、マレーネ・ディートリッヒは、晩年は姿を消し、取材にも応じなかった。彼女が亡くなったとき、多くの人がそのことを残念に思った」との話に……
「マレーネは、あの時代のすべてのスターと同じように、犠牲者だったと思うの。スターは永遠の若さを保っていなくてはいけない、というイメージの……。あの当時、スターが気にするのは、頬や首筋のシワばかり。馬鹿げているわ」
●「どうしてあなたは違うのか? 虚栄心はないのか?」と続けられて……
「そういう種類の虚栄心は、ないわね。どうして他人に自分の人生を限定されなくちゃいけないの? 冗談じゃない。他人からの、そういった押し付けを受け入れることが“老いる”ということよ。シワが何本増えたとか、そんなことは問題じゃないの。私は自分の人生に情熱を抱き続けているわ。アーティストに“リタイア”なんて概念はないのよ」
こんな言葉がテレビから流れてきたら、涙どころですむはずがないわよね。あれは確かに、当時25くらいだったアタシの、「業も煩悩も知性も深いババアになれれば、怖いものナシかも」というおぼろげな考えにお墨付きが与えられた瞬間だった。世間じゃいまだに“ババア”って言葉を人をけなすために使ってるお間抜けちゃんがたくさんいるようだけど、アタシにいわせれば、そんな輩は自分のバカを露呈させてるだけよ。他人を貶めるつもりで自分を貶めて。ホント「天に唾」とはよく言ったもんだわね。そういえば、その番組で司会しているピーター・バラカンも言ってたわ。「若い頃、セクシー女優の代名詞だった彼女がこういう姿になってしまったのを見るのは…」みたいなこと。オンナの知性と貫禄のオーラを感じとれない、あるいは認めたくない“知性派”ねえ。うふふ。こういうところでボロが出ちゃうものなのね。他人事として流さずに、アタシも気をつけなくちゃね。
若いうちに「若さは武器にはならない。仮になっても、命は短い」と気づけて、アタシは本当にラッキーだった。若いうちは、何やったって大目に見てもらえてしまう。それどころか、未熟だったり思慮が足りなかったり頭が足りなかったりすることを“逆に”チヤホヤされてしまいがちよね。でも、そんなことに甘えていたら、頭打ちはあっという間にやってきてしまうでしょ。“美人である”ことがウリになってる危うさと同じね。自分の武器だと思っていたものが、実は自分の一番の足かせになる、という点で。ま、アタシは大して美人じゃなかったから、そちらのワナにはハマらずにすんだんだけど。
以前、本で読んだのだけれど、ジャンヌったら取材記者に「オトコに求めるものは?」と聞かれて「美。以上」と答えたこともあるそうよ。で、記者が「知性教養、財力、包容力、決断力などは必要ないのですか?」と聞いたら、「そういったものは私が全部持ってるわ」と言い切ったんですって。素敵!! アタシもいつか、そう言ってみたいものね!
もちろん、以前このコラムで「誰かに完全なモデルを提示してもらうつもりはない」と書いた言葉にウソはないわ。だから、彼女を参考にしながらも、アタシはアタシなりのババアっぷりで世の中渡っていくつもり。こう考えると、ホントこれからが楽しみで仕方ないの。「頭を鍛えなきゃ」と決めている人にとって、年をとっていくことはプレゼントにほかならないんだもの。ふふふ、誰か「そんなの負け惜しみだ」なんて、アタシに向かって噛みついてくれないかしら。エサがほしいのよ、エサが!(ここらへんがまだ青いわね)
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