『秘密の花園』を一部だけ公開してみたり

2009年7月 1日

6月27日、久しぶりに、読者の皆さんとのお茶会「サロン・ド・タカヤマ」を開くことができたわ。なんと福岡からいらした方もいて、アタシ思わず「ダメよ、そんな無駄遣い!」なんて叫んでしまったりもしたけれど、3時間、「エロ」から「自分との向き合い方」まで、皆さんとさまざまな話ができて、アタシはとっても充実した時間を過ごせたと思っているわ。参加してくださった方々も別れ際に「楽しかった」「素敵な時間だった」とおっしゃってくださったけれど、まあ、本人目の前にして「つまらなかった」とか「どうにも内容薄かった」とか「代金返して」とか、思ってても言えないわよね。うふふ。

 ちなみに当日のアタシのカッコは以下のとおり。上着は、遠目から見ると単なる白いジャケットなんだけど、実はブラックジーンズ生地の上から白いペンキを塗っている……という素材のアン・ドゥムルメステール。白のVネックのTシャツとパンツはドルガバ、首にはターコイズの2連のネックレス。足元は、お友達の誘いで韓国旅行をおごってもらった際、現地のショップで「これもおごって」と巻き上げたパイソンのアンクルブーツ。自分ではかなりいい感じにまとまったと思ったし、参加してくださった方々からもお褒めの言葉を頂戴したけれど、まあ、本人目の前にして「やりすぎ」とか「だせえ」とか「ブランドもの揃えたって、着てる人がねえ」とか、思ってても言えないわよね。っていうか、当日は30度を超える暑さで、アタシったらちょっと歩くだけで大汗。なのにジャケット脱げなかったんですけどね。Tシャツ1枚になった瞬間、ムチムチにも程がある体型が露わになってしまうから。

あの場所で交わされた会話は、基本的に参加してくださった方のものだと思っているので、何もかも原稿にするつもりはないけれど、ひとつだけ、このエッセイをお読みの方に「何かを感じていただけるかも」と思い、ここにご紹介させていただこうと思います。会話を録音していたわけではないので、多少の誤差はあるでしょうし、このエッセイをお読みくださる方のために多少補足をしていますが、参加してくださった皆さん、そこはご了承くださいね。

 参加してくださった方のおひとりが、アタシのカッコを見ながら、ご自身のことを話されたの。以下は、彼女とアタシの会話ね。

「自分を好きになる、というか、自分にOKを出すのって、自分にとっては難しいんです。高山さんのようにファッションセンスがあるわけでもないし」
「褒めてもらうのは嬉しいけれど、アタシの場合は“センスがある”というよりは“ブランド組み合わせてるだけの、わかりやすくて俗なカッコ”だと思うわよ。○○さんだって、可愛いチェックのシャツ着てるじゃない」
「でも、これ10年前のものなんです」
「ちょっと待って! それってスゴいじゃない! 10年経ってもおかしくないものを選ぶセンスはアタシにはないもの。アタシ、“ベーシック”を選ぶセンスはゼロよ。しかもアタシ、買ったものを大切にしないから、3年以内には洋服はクッタクタになってゴミになっちゃうの」
「そうなんですか?」
「そうよ。だから“手元に残らない高い服”を永久に買い続けるような、わかりやすいファッションヴィクティムになるわけ。そのシャツが10年前のものなんて信じられない。状態もいいし、デザインだって古くない。何よりスゴいのは、10年前の体型を維持していることよ。アタシにはそれがいちばん無理だわ。今日だってアタシ、ベスト体重より12キロ多いのよ。油断すると、ジャケットの前ボタンは間違いなくはじけ飛ぶわね」
「(笑いながら)そういう考え方もあるんですね」
「そうなの。それにね、いまアタシが、“10年後も着られるベーシックを選べるなんて素敵”とか、“10年前のものを新品同様にキープしている生活のスタイルが素敵”とか“10年間、体型を維持しているのが素敵”とか言っていたとき、アナタ以外の皆さんが、一様に頷いていらしたのは気づいてた?」
「いいえ……」
「皆さん、アタシが言ったことを“本当にそうだ”と思ったから、頷きながらお聞きになっていたのよね?(皆さん、頷く) ね、そういうことよ。アナタだって素晴らしいセンスを持っている。ただ、アタシのセンスとアナタのセンスが違うだけなのよ」
「(頷きながら聞いている)」
「アナタは単に、自分にOKを出す視点を持てなかっただけ。ガンガン自信持っちゃっていいわよ」
「いいんですか?」
「もちろんよ。どんどん自分にゲタ履かせちゃっていいと思うわ。アタシ、誰彼かまわずこういうことを言ってるわけじゃないわよ。でも、アタシの読者には言っちゃうわ」
「それはどうしてですか?」
「アタシの書いたものに反応してくださる方は、自分への評価が低くなりがちな人が多い、とアタシが思っているから。もっと正確に言うなら、“この社会で『オンナ』として生きていく自分に、どことなしに座りの悪さを感じている”人が多い、と思っているから。オンナであることを心から楽しめて、ときに無根拠とすら言えそうなほど“オンナである自分”に自信満々な人は、ほかのエッセイストのファンになると思う。アタシは、“オトコでいなければいけない自分”にどうにも座りの悪さを感じて、どんより暗い時期を過ごして、そんな壁をぶち破ったり風穴を開けるための試行錯誤を繰り返し、で、その一部始終をエッセイにしてきたつもり。アタシもね、最初は自分にゲタ履かせまくったわよ。“ゲタを履かせる”という表現がズルしてるような感じなら、そうねぇ、思いっきり爪先立ちしてたわ」
「それって、つらくならないですか?」
「もちろん、特に最初はね。でも通過儀礼としては仕方ないの。ポアントをものにするまでのバレリーナの苦闘と同じよ! 爪は割れるわ血まみれになるわ……(皆さん、笑顔に)。でもね、どこかで取り掛からなくちゃいけないことだと思うの。ポアントができるようになったときが、自分の精神的な背丈が伸びるときだと思うわ。アタシの書いたものを読んで、“こんな考え方があったんだ”とか“こんな風に自分を見つめる方法があったんだ”と思ってくれていたのなら、それはスゴく嬉しい。で、僭越を承知で言わせていただけば、“じゃあ、自分はどんな新しい見方で自分自身を見られるだろうか”と考えていただきたいの。この3時間では、アタシは“センス”に関する新しい視点しか提供できなかった。でもね、アナタ自身のファッションは変わっていないのに、評価のコインが裏返っただけで、ポジティブなイメージを与えることはできるのよ。ほかの分野に関しては、アナタが、自分で獲得していくのよ。自分で考え、自分で向き合い……。もし、アタシの書いたものが、その“触媒”になれば、アタシはもっと嬉しいわ」

 ……と、「サロン・ド・タカヤマ」はこんな感じで進行しているのです。もちろん、エロだのエロだのエロだのも満載ですけどね。「出会い系ではケータイのサブアドは必須」とか「オトコ運とチンコ運は別なのよ、とサラッと言ってのけるオンナ友達がアタシは大好き」とか。次回は9月に行いたいと思っています。過去3回のお茶会はすべて土曜日に開催していたのだけれど、週末に仕事を持っている方もいらっしゃるだろうから、今度はたぶん、金曜日の夜になると思います。詳細は8月1日にアップするこのエッセイで。オンナとオカマの濃密なおしゃべり、アタシもますます楽しみにしています。


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高山 真(たかやま まこと)プロフィール

高山 真高山 真(たかやま まこと)プロフィール

編集者・ライター
高山さんへのメールは taka52you@hotmail.comまで。
初の著書『こんなオトコの子の落としかた、アナタ知らなかったでしょ』 を、LPCでは直筆サイン&メッセージカードつきで発売中。
本人似顔絵イラスト by わた


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