久しぶりに大風邪をひきました。今年の風邪が厄介なだけなのか、身体の老化を本気で考えなくてはいけないステージに突入したのかの判断は、永遠に先送りにしたほうが面白いに決まってますが、それにしたって医者に行って薬をもらってきちんと服薬しているにも関わらず、1週間たっても完治しないのもおかしなものね。
こういう体調のまま休日を迎えたら、引きこもって過ごすに限るわね。友人が貸してくれたDVDのことはブログにも書いたけれど、今回は、マンガをひとつご紹介させていただくわ。ゲイコミュニティの中でも、特に、幸か不幸かオカマセンスが発達しちゃった人たち(アタシを含む)の間では、「ブス」とか「ババア」とか「場末」といった言葉はすでに挨拶代わりの文句になっていたり自己紹介の一部として機能していたりするので、本来の意味が非常に弱いものとなっているんだけど、アタシが知る限り、「ブス」というものをここまで真っ向から描ききったギャグ系漫画はないんじゃないか、という傑作を友人からプレゼントしてもらったの。それが、小日向さんという方がお描きになった『アグリっ娘』(「あぐりっこ」と読むはず)。アヅサとテルミという、超絶ブスのゲイ2人が主人公の、恋(というか、恋に対する自意識)と友情を描いた作品よ。
もともとゲイ雑誌は、友人のドラァグクイーン、ブルボンヌやエスムラルダが手がけたページだけ目を通していたアタシですが、3年ほど前、『Badi』というゲイ雑誌に読みきりで掲載された小日向さんの『MY PRECIOUS』という短編に度肝を抜かれて以来、その名前はずっと覚えていたの。『MY PRECIOUS』は、どブスなカップルがメンオンリーのゲイバーで人目もはばからずイチャつき、それをイケメンゲイに唾棄されるもまったく負けず、客観的な自己採点能力が完全に欠落しているという“短所”ゆえにさらに練り上げられたボキャブラリーをもって、イケメンゲイに刃のような言葉を浴びせていく、すさまじいばかりの展開。しかもそのブスの、怒涛の「寄り切りアティテュード」に、店の中にいた別のイケメンゲイが大きなインスピレーションを受けるの。ほんの16ページの中に、「イケメンに対する批評性」とか「シニカルで笑えるボキャブラリー」とか「自分も周りも見えていないブスを“ウザかわいい”ものとして解釈する」とか、そういった“センス”を叩き込んだ快作だった。それがこの『アグリっ娘』に収録されていて、アタシ思わず叫んでしまったわ。
さて、『アグリっ娘』本編ですが。単行本の裏表紙のコピーもあまりにもふるっていたので、そのまま紹介させていただきます。
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ブス…それは生きることに必死な現代のボヘミアン。
ただひたすらにしあわせと夢を求め愛を乞う人。
そんな「ブス」で「ゲイ」のアヅサとテルミは親友。
ふたりは助け合い、ときに裏切りながら刹那に輝く。
生きるとはなにか、愛するとはなにかを、笑いと涙でお届けする究極のブス系ラブコメディここに登場!
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ブスならではの自己卑下と戦いながらも真っ直ぐな性格のアヅサと、ウザいブスすぎて目が離せなくなる(モード系に走るあたりも完璧)テルミ、そしてイケメンなんだけどどうにもペラく描かれている他の登場人物たち。恋は結局「見た目」なのか、という問題は、ゲイたちの間ではもしかしたらノンケ男女のそれよりも重い問題として蔓延っているのですが(ノンケと同じように、若いうちは特に)、そんな重い命題を扱いながらもギャグ漫画として成立しているのも素晴らしいわ。当然ながら、やおいとかBLの作品の数万倍リアルなゲイおよびオネエの姿があるしね。そして、そのリアルな姿は、実際にリアルな恋愛市場で戦わざるをえないオンナたちにも、かなり思い当たる節があるんじゃないかしら。
ときどき、かなりリアルなセックス描写があるから、すべてのオンナたちにオススメできないかもしれないけれど、ま、推定6人のアタシの読者であれば大丈夫でしょう。数ページに1回は、猛烈に共感してしまう自分をも笑いながら、秋の夜長を楽しんでみて。いつくかのネット書店では通販しているみたいよ。