『自由の代償』に殺されるべき? アタシのために「ふざけないで」と答えるわ!
2011年9月 2日地デジに変わったのを機に、家のテレビはDVDを映すモニターになっているのだけれど、困ったことに、こういう決断をしたときに限って何やら大変不穏で美味しそうなドラマがやっていたりするものね。友人から聞いたそのドラマとは、『それでも、生きてゆく』という作品。「大竹しのぶがすさまじい」「久々にヤツが本気になった」と、友人の熱のこもった絶賛に影響され、ちょっと公式HPをチェックしてみたら、あら素敵、満島ひかりがヒロインをやっているのね。そして、ビックリしたことに、安藤サクラも出演! きゃああっ! DVDが出たら絶対に借りなくちゃ!
アタシが安藤サクラを初めて見たのは、満島ひかりが主演した『愛のむきだし』という映画。あえてハッキリ言ってしまえば「ブス」の範疇に入れてもおかしくないルックスながら、安藤サクラの表情、声音、体から出てくる「何か」(この「何か」は、カトリーヌ・ドヌーブが「女優に必要なもの? 存在感。演技力は副次的なものよ」と言い放った言葉そのものの「存在感」というものだと思う)に圧倒されてしまって、4時間の上映時間の間、ずっとゾクゾクしっぱなしだったの。
気になったアタシはその後、仕事のついでにちょっと安藤サクラのことを調べてたの。そしたら彼女、奥田瑛二と安藤和津の娘だというから、アタシったら腰が抜けるほど驚いたわ。だってアナタ、奥田瑛二と安藤和津よ! アタシからすれば「鼻持ちならない」「おしゃれ気取ってるのに間抜け」を全身で体現する2人。マイナスとマイナス掛け合わせたらプラスになったみたいなもんよ。
そして、安藤サクラを語るうえで、アタシがもっとも外せない映画だと思っているのは、『すべては海になる』という映画(ウチの近くのTSUTAYAでは、いつの間にか扱いがなくなってしまっていたのが寂しいわ)。主演の佐藤江梨子は書店員で、映画の中では重要な小説として『小島小鳥の冒険』という作品が出てくるの。この映画内小説『小島小鳥の冒険』の主人公として出てくるのが、安藤サクラなのね。
『小島小鳥の冒険』の主人公・小鳥は、日本ではブスと言われてまったくモテなかったのを逆手に取り、世界を股にかけるヤリマンになったのね。そしてHIVの陽性者になって帰国し、日本でずっと小鳥のことを待っていた男の腕の中で、「本当の愛」を感じながら死んでいくの。が、佐藤江梨子演じる夏樹は、このラストがどうにも不満で、著者である野原コイーヌ(村上淳)にそのことを問いただす。
「自由に生きている女が罰を受けて死ぬみたいだ」と。
するとコイーヌは「あのラストは出版社に書き換えを命じられた。本当は、小鳥が死なずに旅を続ける話だった」と明かすのよ。友人に勧められてなんとなく見たこの映画の中で、このシーンがもっとも心に残ったわ。「自由に生きている女が罰を受けて死ぬみたい」というセリフは、たぶん原作者・監督の山田あかね氏の本音に近いものだと思うけれど、このセリフを言うときの佐藤江梨子が、本当によかったのよね。
で、この場面に花を添えるのが、「日本じゃブス。だから世界に出てヤリマンへと華麗な変貌を遂げる」という小鳥のキャラを安藤サクラが短い時間で寓話的に演じるほんの数分間。けれど、その数分が素晴らしかったの。アタシ的には、かなり頑張っていた佐藤江梨子が霞んだね。だって、小鳥を演じた安藤サクラ、底抜けに楽しそうだったんだもの。「ブス」が「モテて」、本当に楽しそうだったんだもの。――この映画を見た後なのよ、安藤サクラが奥田&安藤の娘と知って腰が抜けたのは。
歌舞伎役者の家に生まれ、しかしオンナだったらから、「舞台に立つ人」としては期待されなかったルサンチマンが、異様な迫力で花開いた寺島しのぶが、アタシは30代の日本女優ではダントツだと思っているのだけれど、安藤サクラは20代の日本女優でアタシがこれからもっとも注目する一人なの。これからも、ブスのポテンシャルを見せつけ続けてくれるだろう彼女に大きな期待を寄せているわ。あ、もちろん和津には昔も今もこれっぽっちも期待していませんが。うふふ。
高山 真(たかやま まこと)プロフィール
高山 真(たかやま まこと)プロフィール
編集者・ライター
高山さんへのメールは taka52you@hotmail.comまで。
初の著書『こんなオトコの子の落としかた、アナタ知らなかったでしょ』 を、LPCでは直筆サイン&メッセージカードつきで発売中。
本人似顔絵イラスト by わた
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