2000/9/12〜2001/6/1
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VOL.06 ●ものを創っていくってことは‥‥
月曜日と金曜日の夜2時間、スタジオを借りている。
家に居たら、電話と目の前に広がっている書類ペーパーの対応で、作品を考えること など出来ない。スタジオへ行く。
出かけようとしたそのとき、電話。
英語でなにやら忙しく急いた声。展覧会に参加することになっているパキスタン人の アーティストの声だ。
ロンドンの日本大使館にいて、ビザの申請をしているところだが、すんなり出してく れない、係り官に話してくれというものだ。
予期していたことだけれどと、語調が激しい。

パキスタンでは現代アートをし、しかも女がアートをやり続けることは難しいんだ、 だからドバイに住んでいると聞いていた。
そして、日本に来るためのビザをロンドンでとったほうが取りやすいとも聞いていた。
さらに彼女は、私に大使館宛の手紙を、このように出してと、だいぶ前に私に申し出 て、念には念をいれていた。
そして、3週間前に、ビザのことは大丈夫だし、航空券のこともそれによって解決する からとメールが届いていた。

それなのに!!
大使館に電話をして係り官と話した。
あの手紙の内容では就労扱い になってしまう、と言う。私は彼女に微々たる謝礼しか出せないこと、航空券は交流 基金の助成で支払うこと、滞在中の身元保証人は私であることを必死で訴えた。
もっと、正式な文書を郵便で送りなさいと。レターヘッドのついた用紙で。アー、私 たちにはレターヘッドつき便箋などない。

彼女の携帯電話に電話をした。郵便など待っていられない、今週しかロンドンにいな いからという。ファックスでいいか掛け合うと言って電話を切った。
しばらくして、電話をかけると、まだ会って話せていないと言う。またしばらくする と電話が来た。ファックスでもよいと言ってくれた。でも郵送でも送るようにと付け 加えられたと。
コンピューターに向かってつくり、ファックスした。

うまくいくといい。祈る。
ドキドキものだ。オランダに4年住んでいた経験のある私は、自分の国を出た時の身 の置かれ方を知っている。
後立てのないアーティストの弱さを知っている。
係り官が「アーティストだと言われたってね‥‥」と言った。私はとっさに、彼女は 福岡美術館や世田谷美術館での展覧会に出品した人ですと説明したが、なんだか切な い思いがした。
アーアーアー、アーティストだって一人前の市民だわい。
という訳で、わたしの貴重な制作時間が消えてしまった。スタジオ代だって高いのに。 自業自得、ジレンマ。
パキスタンのアーティスト、彼女がどんなアーティストか知っている。だから呼びた かったし、彼女も私たちの展覧会に参加することを選んでくれた。ウィメンズアート 「越境する女たち21」は後2ケ月で始まる。彼女はまさに越境を地でいっている人だ。

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