2000/9/12〜2001/6/1
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VOL.10 ●桜咲き、そして散る
桜が散る音が聞こえてきそうな静けさの今宵
ふらっと外に出た。桜の向こうに半月がくっきりと光っていた。
小金井の春は実に豊かだ。
柳がやわらかい空気をかもしだしてゆくと、
競って、こぶし、れんぎょう、雪柳、ぼけが咲く
そして桜。寒桜、そめいよしの、しだれ桜、山桜、八重桜 一ヵ月は楽しめる。私が一番好きな山桜はこれからだ。
三階の友人も元気に仕事をしている。
近所に住んでいる母も、風邪をひいていたが元気だ。
最近3人の会食会は母のところでが続いている。
私はつくづく余裕のない日々をここ何か月も過ごしてきたのだと思う。
昨日、古くからの知人が亡くなり、母とお葬式に行った。
30年も前の話しが行き交う。タイムスリップ。
故人となった知子さんは18年前につれあいをなくし、以来ひとりで生きてきた。
子どもがいなかった彼女の最期だ。
お通夜があって、翌朝、火葬場の都合で、葬儀の前に荼毘にふし、その後葬儀をして
そのまま初七日の法要、そして、納骨。息をひきとって2日後には墓に眠った。
彼女の家には誰もいない。それはそうだ。
わたしも同じだな。とても、すんなりと受け入れられた。
死ぬということはそういうことだ。
骨という物質になり、やがて土になるのだ。
さばさばしている。
知子さんはパフォーマンスを本当によく見にきてくれた。
皆と会食を共にしているとき、母は「今度は私の番だ」と言った。
思えば、母も夫を失い、友人を亡くしてきている。
その母が「知子さん、目を上げれば桜が見られる」と満開の桜を差して言った。
そうだ、明日また子どもたちとはらっぱに行ったとき、知子さんらしい桜の樹を見つ けて、「知子さん」と名付けよう。
いや、八重桜が咲いたときに探すことにする。
そ のほうが彼女らしい。

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