
初めて、東京ディズニーシーに行った。前々回の原稿でディズニーをぼろくそに書いたので、ネタ探し、ツッコミ探しのためと思われるかもしれないが、ただ、遊びに行っただけ。開園してしばらく経つからそろそろ空いてるかと思って。あたしはもともと、東京ディズニーランドだって嫌いではない。そりゃ、道でいきなり愛嬌を振りまく、内股のぶりっこミニーの背中を蹴りたい衝動にも駆られるし、いい歳こいてキャラクターの耳付きカチューシャしてる女も視界に入れたくない。でも、遊園地としての完成度はやっぱすごいなと思う。
あたしの趣味の一つに、ミニチュア模型作りというのがあって、サイズ的にはいわゆるドールハウスや鉄道模型サイズなのだけど、一般的に知られているファンシーで出来の甘い、異様にピカピカしたものではない。本物になるべく近付けるために、パテやセメントの粉や、オイルステインなどで徹底的に「古さ」を出すことに力を入れて製作している。もともとそういった精巧な「模型」が好きで好きでたまらないので、ディズニーランドにあるような、精巧に作られた(力の入り具合にムラはあるが)ニセモノの建造物も、結構ツボに入る方なのである。
「ディズニー好きが高じて、お城のようなおうちを建てちゃいました?」なんて夫婦をときどきテレビで見るが、ただ、よくある建て売りの一戸建てに塔(?)のようなものを付けたり、壁がレンガ風(?)だったりする程度で、あたしは「そんなんでお城と認めるなあ!!」と、心の中で悪態をつく。一般人なんだから財力の限界もあろうが、それにしても。である。あたしに財力があったら、家の外観はディズニーシーのプロメテウス火山にしたい。部屋の内装はノーチラス号かホーンテッドマンションにしよう。本気である。掃除が大変そうだが、こんな家を建てられる身分だったら、ダスキンくらい呼び放題だろう。
「ディズニー大すきー」と、無邪気な笑みを浮かべる日本人の「ぬるさ」が、オタクなあたしには許せない。冷静に考えろ。ミッキーは、どう考えても、「蒸気船ウィリー(ミッキー劇場デビュー作)」の頃の、白目なしミッキーの方が、デザイン的には「かわいい」はずだ。もっと言えば、さらに初期の白目ありミッキーの方が、インチキ臭くて、あたしは好きだ。模写すると訴えられるから描かないけれども。
ディズニープリンセスたちが、ウォルト・ディズニーの死後、どんどん不細工になっていくのに、なぜディズニーファンは文句を言わない? 日本の少女マンガ的美意識における「かわいい」に対するアンチ、もしくは、「ブスでもお姫さまになれるのです!」というメッセージだと言うのならば、もちろん話は別である。
「ライオンキング」が、「ジャングル大帝」のパクリかどうかは置いとくにしても、物語としてつまんないと思わないのか? あたしには主人公がなぜ、たいした苦労もせず王様になれるのか、さっぱり理解できなかった。血統ですか?
…と言いつつも、こんだけディズニーが隆盛を極めているのは、ディズニーの戦略の「匠さ」のせいだってことくらいわかってるんです。嫌みじゃなく、本当にすごいと思う。例えば、有名なネタでは、ディズニーランドは外部が全く見えない作りになっている。とかね。だから観覧車がないらしいね。高い所に行かれてしまうと、浦安の寂れた風景とか見えちゃうからね。ただ、シーの方はS.Sコロンビア号船内レストランの窓際に座ったら、東京湾のタンカーや、海岸沿いの鋪装道路が見えちゃったけど。(これはシーの方が日本独自のテーマパークであることと関係はあるのかな?)
日本の経営者は、こういう戦略がホンットーに下手である。地方の遊園地が衰退するのも仕方がないと思う。最新型の絶叫マシンよりも、ディズニーの「イメージ」込みで、お客さんは遊園地を選ぶのである。(最近はナンジャタウンのように日本向けにうまくやってる所もあるが)
それが、あらゆる戦略を駆使した結果であっても、ここまでやられると、人は気持ちよく乗せられてしまうものだ。「世界の中心で、愛をさけぶ」があそこまで売れてしまうのも、同じような現象なのではないかしら。って、無理矢理こじつけてみた。ドラマ版を見ていると、スタッフが原作の「穴」を必死でフォローしようという姿勢が見える。原作版より、主人公がいい奴だもの。映画版は見てないけど、たぶん同じような改善がなされている…ハズ。
「ディズニー大すきー」な、ぬるい層を引き付ける戦略を、フェミニズムは持たない。持つつもりもないのかもしれないが。でも、活字だらけの本で、正しさだけを押し付けられても、わかりにくいし、第一おもしろくない。今、ものすごく楽しい遊園地「フェミランド」ってのを考えようとして、挫折した。あたしに出来ることは、ちまちまマンガ描くことぐらいである。
ちなみに、本国アメリカのディズニーランド・リゾートには、ついに観覧車や本格的な絶叫マシーンができたと言う。アメリカのようなエンターテイメント文化先進国では、「ミッキー」だけじゃもたないのかも。ミッキーに変わるアイドルを、いつか日本人も選ぶ日が来るのだろうか?