「黒革の手帳」「大奥 第一章」「愛のソレア」「天国の階段」…これ全部、今、あたしがハマっているドラマ…。別に意識したわけではないのだけど、全部、「女と女の戦い」モノとでも言うのか。あたしはもちろん、「女の敵は女」だなんて世迷い言、信じちゃおりません。それでも、この手のドラマが女たちに受ける理由も、なんとなく、わかる。
象徴的なのが、「黒革の手帳」の主人公、元子(米倉涼子)のこのセリフ。
「私も波子も、銀座の女になって短い期間で店を持った。十年勤めた銀行にケンカを売り、一億二千万をもぎ取った私と、2か月足らずで男をたらし込み、喜んで二億を使わせた波子。二人の女は似ているようで全然違う。」
「大奥」のふく(後の春日局)は、どん底から這い上がって将軍家に入り込み、のし上がる。「愛のソレア」の主人公・美保も、両親も弟も失い、女郎になり、女優になり、身一つでのし上がる。韓国版ボタバラ?の「天国の階段」は、お金持ちのお嬢様チョンソの義妹ユリ(元貧乏人)が、チョンソをあの手この手でいじめる様がすてきだ。テレビドラマなので、みんな「美貌」には恵まれているけれど、貧乏人が、甘っちょろいお嬢様をやっつけるところに、カタルシスを感じるというのは、確かにある。
しかしこれらは、本当は「金持ち対貧乏人」の戦いではない。「男にとって正しい」女像を演じる女たちと、それができない、欲望むき出しの女たちとの戦いなのである。「天国の階段」で、チョンソの純愛に感情移入している女もいるのかもしれないが、あたしは違う。チョンソのやさしさ、正しさがいちいちカンに触る。義兄が自分に惚れていることを知りながら、やたら「お兄ちゃん」とベタベタし、どこまでも優しくかわいく振舞う。こんな女、あたしでも轢き殺したくなるだろうよ。「牡丹と薔薇」の佳世は金持ちだが、貧乏でも純粋な心を失わない「ぶりっこ」のぼたんをいじめる点が、「天国の階段」と共通している。「女の敵は女」ではないけども、「男に媚を売る女」は、確かにムカつく。そりゃ、あたしだって全く媚を売らずに生きてきたわけではないが、それでも、持って産まれた美貌や、恵まれた環境のおかげで、「媚を売っている」という自覚すらなく、「女ですもの、男に頼るの、当然でしょ」などとのたまう女とは、一生わかり合えないと思う。
だから、「こたえてちょ〜だい」などの、投稿ネタ再現ドラマ番組での、「女と女の戦い」は、苦手である。これが現実だとしても、投稿者もその敵も共に理不尽で、「媚びない女」すら登場しないからだ。その上、司会の川合・バカ・俊一などに、「やっぱり女の人は恐いですねえ〜」などと言われてしまうのだ。耐えられん。あと、嫁姑モノも、ダメ。同じ立場の女同士の戦いは、不毛なばかりで、面白くない。
ところで、最近バラエティーに引っ張りだこのタレント、小池栄子は「媚びない女」として、女性たちから支持されているのだと言う。知らなかった。彼女が先日、「ぶっちゃけ!ナインティナイン」にゲスト出演していた。彼女が「恋人から言われて嬉しい言葉ベスト3」は、こうである。
第三位「お前は、俺の子どもを産むために産まれて来たんだ」
第二位「会いたいなら、お前が来ればいいじゃん」
第一位「俺の手が汚れるから、果物むいて」
さすがにこれには他の女性ゲストも大ブーイングであった。若槻千夏(自称やるマン)などは、「あたしはお前って言われるだけでイヤ〜!」と、叫んでいた。「え? どうして? 女の子ってみんなこういう男、好きでしょ?」と、本気で不思議がる小池栄子に対し、隣に座っていた雨上がり決死隊・宮迫博之が一言。
「小池さん、どMじゃないですか〜!!」
宮迫が理解のある男だなどと思ったことはない。しかし、この切り返しは、使える。
その数日後、「GORO’S Bar」(TBS 木曜24:25〜 稲垣吾郎以外、出演者全員女芸人)に、今度は若槻千夏がゲストで出演していた。彼女の嫌いな男は、「ハンサムで、完璧で、料理の出来る男」だそうだ。なぜなら、料理や家事が出来る男に料理を作ってあげても、味にケチを付けられたり、感謝してもらえないからだと言う。自分が優位に立つために、料理を作りたい。らしい。これに対し、青木さやかが一喝。
「計算高い! そして、計算が、甘い!」
「あたしは、ハンサムで家事も全て出来る男が好き! それでも、あたしが一番上に立つ! そして、金はあたしが出す!」この青木の言葉に、若槻程度の小娘がうまく返せるわけもなく、稲垣吾郎にすら、「ボクも女の人に家事とかして欲しくないなあ。だって、勝手に部屋いじられたら、どこに何があるかわからなくなっちゃうじゃん」と言われる始末であった。
「女に嫌われる女」と言われるさとう玉緒や、小倉優子を、あたしは嫌いではない。だって、キャラ作ってるの、隠してないから。だけど、あたしは、優香や中野美奈子(フジテレビアナウンサー)を、好きだと言う男は、嫌いだ。「女と女の戦いドラマ」の中でも、「黒革の手帳」が特に面白いのは、「本当の敵は、男だ」ということを、主人公の元子が、自覚しているからだろう。「ラストクリスマス」の織田裕二には、とてもじゃないがうっとりできない。こないだコマ劇にマツケンサンバ観に行って感動したから、「忠臣蔵」も見てみるか、と思ったが、男同士の団結に吐き気がし、断念。「忠臣蔵」って、「天国の階段」や「愛のソレア」と同じくらいバカバカしい話なのに、視聴者は本気で感動してるんだろうなあ。
現実は、ドラマのようにはいかない。「媚びない女」に勝ち目はない。それでも、あなたの近くにいる女に、「やっぱ、女の子って、男らしい男が好きじゃないですかあ〜」などと同意を求められたら、こう言おう。「あんた、どMじゃないですか〜?」と。
追記 イラク戦争の犠牲者、香田さんのご冥福をお祈り申し上げます。新潟で震災に遭われた方々も、テレビドラマどころではないですよね。心からお見舞い申し上げます。ドラマどころではない方は世界中にいるにせよ、ドラマやマンガが、辛い現実から目を背けるためのものにならないことを願います。