ウンコ32本目「たかがマンガ」

akukun32.gif 前回のゴタクの続きである。人前で話すのが苦手であるにも関わらず、ワークショップの依頼を受けた理由の一つに、「ちょっと最近、日本のマンガやアニメ、世界でもてはやされ過ぎじゃね〜か?」つうのがあった。

日本製アニメの影響を受けたハリウッドの監督が「マトリックス」を作って大ヒット。「キルビル」での日本人アニメ作家の起用。ベネチアビエンナーレでの「OTAKU館」。アメリカでは(でもたぶんNYあたりだけ)「OTAKU」が、「cool!」なものとして認識されているとか。しかも、「ドラゴンボール」のような少年マンガだけじゃなく、少女マンガも、「心理描写が繊細」ということで人気が出始めているらしい。でもそう言う自称OTAKUの女性が手に持っているのは高橋留美子のコミックス…。アメリカには女のマンガ家がいないんだろうか?

もちろん、日本がそのソフトの価値を理解し、海外に売り込んだのではなく、海外がまずその価値を認めてくれたのである。いつものことだ。し・か・し! 「金儲け&世界に誇れる日本」が大好きなおじさんたちが、ついにマンガやアニメの価値に気付いてしまった。石原慎太郎も大乗り気らしい。もはや日本が海外に輸出できるのは軍事力とOTAKU文化だけなのか…?

その年の優れた漫画作品を表彰するために、講談社漫画賞と小学館漫画賞という二つの賞がある。どちらも歴史が長いため、もはや持ち回り感たっぷりであるが、たいていエンターテイメント性が高く、ものすごく売れている作品が選ばれる。これに近年、マンガ雑誌やコミックスをほとんど出していない、オヤジ系出版社が漫画賞を創設しはじめた。文春漫画賞や、手塚治虫文化賞(朝日新聞社)などだ。平成9年度からは、さらに「国」が首を突っ込んできた。文化庁メディア芸術祭である。漫画だけでなく、アニメ、ゲーム、デジタルアートまでフォローしている所がいやらしい。しかも、これらオヤジ系漫画賞はどれも「批評家・オタク受け」しそうな作品に賞を与える。子ども向けは二流ってことかしら。あと、戦争モノも好きみたい(注・かわぐちかいじとかじゃなくて、平和祈願系だよ。念のため)。文化庁は防衛庁とは関係ないですってか。ずるいなあ。

あたしだって、マンガ好きですから、文化庁が賞をあげた作品を面白いと思うよ。でも、日本のマンガって、それだけじゃないじゃん! キレイごと言うなキレイごと!(キンチョーのCMより)

今の日本の「オタク文化」を支えて、経済効果を生み出してるのは、ほとんど、いわゆる「萌え系」、つーか、「女性差別的ロリエロ系」でしょう? 日本マンガ・アニメの輸出で、日本はさらに世界から「男尊女卑の国」と言われるのではないかと思うんだけど…。その辺ちゃんと考えてんですかね?(だからといって、あたしはすべてのオタクが性犯罪者予備軍とは思ってません) 「甲殻機動隊」とかのアート寄りアニメを愛でるのは、NYとかヨーロッパのインテリだけじゃないのかな。あたし、あれ、映像はすごいと思うけど、さっぱりわかんないもん。だいたい、アニメは品がよろしい感じに仕上がってるけど、原作者は結構えげつないマンガも描いてますからねえ。海外でも、ほとんどのOTAKUは結局エロに走ると思うが、どうなんでしょ。

てなわけで、せっかく日本ではなくインドネシアで話すのだから、日本マンガを持ち上げるだけのような語りはすまいと心に決めて、学生たちの前に立ったのである。わかりやすい所で、男向けエロマンガと、女向けエロマンガの規制の違いによる差別などを話した。しかし、フツーのマンガにこそ、女がムカつく表現がたくさんあるのにね〜。女はいつでも男のサポート役とかさ。決め台詞が未だに「俺が君を守る!」だったりさ。でも、子ども向けマンガしか翻訳されていない国で、この微妙な感じを説明するには、時間が足りなかった…。ジェンダーを学ぶ彼女らが、日本製のマンガを読んで、どんな感想を持つのか、聞いてみたかったなあ。

インドネシアで、韓国人作家の描いた少女マンガを買った。日本製に遜色のないレベルであるのだが、一つ気になったことが。日本のマンガで、ギャグっぽいシーンを描く時に、古いマンガのタッチをわざと描くことってあるじゃない?(「ガラスの仮面」などの緊迫したシーンで白目になる表情が、逆に笑いになる。)それを、韓国人の作家がまんま、やっていたのだ。日本では、マンガに歴史があるからそれがギャグとして通用するのであって、「昔のマンガ」という概念がないはずの韓国で、なぜ。何もそんなとこまで日本の影響受けなくてもいいのになあ。あたしが言うのもなんであるが、もっと自由に描けばいいのに。

頑固な店主がいるラーメン屋が、心の底から嫌いだ。職人として、味に妥協をしないのは当然のことだ。しかし、それを表に出して威張るな。食べ方を客に指示するな。怒鳴るな。「たかが」ラーメンじゃないか。マンガも同じだ。あたしはマンガを愛してるし、子どもだけが読むものとは思っていないけど、エラソウにしちゃいけない。日本を代表して、世界に誇るほどのもんじゃないよ。「たかがマンガ」でしょ。

とはいえ、「されどマンガ」である。その影響力を考えたら、人気取りばっか考えちゃいけないんだけどね。「ばっか」のつもりはないけど、少しはゆるして。てゆーか、好きなんだもん、かわいいオンナノコ描くの。


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