新聞などによると、じわりじわりと、地上げ屋のようなものが復活しているらしい。「ITバブル」なんて言葉もよく耳にする。しかし、今、じわりじわりと復活しているバブルがもう一つある。「大食いバブル」である。
…またか。と、お思いでしょうが、好き勝手やらせていただきます。ナンシー関様がお亡くなりになってからも、テレビコラムの書き手はたくさんいるけれど、大食い番組を追い続けているのはあたしだけのはず。それを唯一の誇りとして、今日もあたしは書き続けるのだ。
日本シリーズ第二戦。巷が試合結果にハラハラドキドキ盛り上がっていた頃、あたしは別のことでハラハラドキドキしていた。野球中継をしていたのはテレビ東京。テレビ欄の、「ロッテ対阪神」のすぐ下のカコミには「元祖!大食い王決定戦」の文字が! たった一時間の枠であるから、本戦の宣伝番組である可能性は高い。それでも、大食いの番宣がゴールデンタイムに復活したのは久しぶりのことだ。しかし、喜んではいられない。その下には、(中止の場合あり)とある。日本シリーズであるから、試合終了まで放送するらしい。もしも、延長戦にまでもつれ込んだら、大食いが見られないのだ!!! 野球中継が終わるはずの9時ちょっと前から、テレビのチャンネルをテレビ東京に合わせる。そこには、我が家のテレビ画面にはほとんど映らない、野球の映像が。まだ7回裏。10時までひっぱるか…? いや、まだわからない。正座して見守る。9時ちょっと前に試合終了! しかし、ヒーローインタビュー、今日のハイライトが延々続く。「日本シリーズだもんな…」あきらめかけたその時、「この後の番組放映予定」の文字! 「10:10〜 元祖!大食い王決定戦」やった〜〜!!! あたしはすぐさまHDDレコーダーの電源を入れ、予約録画の設定をした。
前回の、3年ぶりに復活した「大食い王決定戦」は、新人のみに参加資格を与えられていたが、今回は違う。他番組への出演の有無、優勝の有無は全く問われないのだ! 予選には、知った顔がたくさん映る。ジャイアント白田、ドクター射手矢(なぜか西川に改名)、岩田みゆき!(すいません読者無視して…) そして、新人の女の子にアドバイスしているのは、女王・赤阪尊子である!! うわ〜、本戦が楽しみだ〜。
まあ、このメンツだと優勝しそうなのはジャイアント白田であるが、彼は、一足お先に他局でテレビに復活していたのである。それは、日本テレビで月〜木曜の午後4時から一時間半も放送されている、中山秀征司会の情報バラエティーである。嶋大輔がキャバ嬢と同伴したり、相原勇にNYリポートさせたり、まったく誰をターゲットにしているのかわからない、どの企画もぐだぐだな、まことに修行のような一時間半を視聴者に味あわせる番組である。その中の水曜日に、「大食い道場破り」というコーナーがある。ジャイアント白田が、毎週どこかのチャレンジメニュー店で新記録に挑戦するのである。企画としては、大食い好きには見逃せない。が、これまたぐだぐだで、つらい。なぜなら、生中継なのである。白田がいくら早食いだとはいえ、ラーメン10玉を完食するには、最低10分はかかる。みなさん、想像して下さい。ただ、食べるだけの映像を、10分ですよ。いくらスタジオやレポーターが脇で騒いでも、限界がある。スタッフが大食いというものを理解していない証拠だ。だいたい、生中継で大食いをさせて、事故があったらどうするつもりなのだろう。白田の横では、自称大食いアイドルの女が、水着で同じメニューに挑戦している。彼女はもちろん大食いなどではない。ちょっと他人より食べる、普通の女の子だ。いつも、苦しそうに食べている。あたしはこの番組に、「大食いバブル」復活の始まりを見るのである。(大げさ)
最近、昔録画したVHSのテープを整理しようと、それらをどんどんDVDに落とす作業をしている。その中にはもちろん、大食いバブルの頃に録ったあらゆるバラエティー番組が納められている。今はもうない番組も多い。「ウワサの5人」「100%キャイ〜ン」「たけし・所のWAが来た!」などなど。大食い事故が起こる前の2002年頃、「大食い選手権」や「フードバトルクラブ」以外でも、視聴率稼ぎのために大食い選手をやたら使っていたのである。それを3年後の今、改めて見返してみると、まったく、無茶ばかりさせているのだ。「大食い選手権」を見たこともないようなスタッフが作ったのバレバレ。赤阪さんは早食いに向いてないのに、二分間の早食いバトルを5人とさせたり、ライオンとステーキ早食い勝負させたり(もちろん人間が負ける)、一番ひどいのは「ココリコのいきなり! 黄金伝説」。大食いってほどではないフツーのデブタレント(内山くんとか)に、レストランの全メニューを食べ尽くさせる。とか。ありえない…。
ま、あたしも当時はそれを楽しんで見ていた一人なのだ。内山君のファミレス編は、裏を考えなければ、今見てもものすごく面白いし。あんなに無茶をさせていたテレビ番組たちが、今じゃ内山君の健康診断をして「あんた、このままじゃ死ぬよ」と宣告するのだからテレビって本当に恐い。大食い死亡事故を起こしたのは、「飽食の時代」などではない。テレビ局の視聴率競争だったのだ。
大食い番組はおもしろい。けど、もう、爆発的に視聴率なんか、取らないでほしいな。ちょっとマニアックな人が見る、そう、「TVチャンピオン」の「アキバ通選手権」みたいな、そんなポジションであり続けてほしい。でも一応告知。テレビ東京では、11月6日(日)に「元祖!大食い王決定戦」の本戦を放送するそうです!(とか言いつつ、日曜ビッグスペシャル枠に復活したことを喜んでいるあたしであった…)