「スプラッタ映画」の定義が、「物語よりも、血の量で勝負する映画」だとするならば(B級映画詳しくないの。違ってたらごめん)、イエス・キリストが架
刑に処されるまでと、その復活を描いた「パッション」はまぎれもなくスプラッタ映画だと思う。
だってさ、聖書を読んだことがない客には、あまりにも説明不足なんだもん。イエスがけが人を治せる。とか、マリアの息子だ。とかいうレベルなら、あたし
も一応知ってるけど、イエスに何の思い入れもないあたしから見たら、自分を助けてくれようとした皇帝に向かって「あなたに選択する権利はない。選択する
権利は神のみが持つ。」なんて言う男は、なんだかゴーマンに見える(皇帝が、保身のためにイエスを救おうとしているにしても)。ブッシュは、「全ての人
の罪をあがなうために死んだイエス」を観て、自らの行いを反省するのではなく、兵士たちに「イエスであれ!」とでも言うのだろうか。パンフレットが売り
切れてたけど、たぶん、みんな、解説がないとわかんなかったんだよな〜。
じゃ、クリスチャンでもないのになんでそんな映画を見に行ったのかといえば、あたしは「血まみれ殉教図」が大好きだから。以前にもどこかで書いたけど、
あたしのエロ原体験は、「キリストの磔刑図」だったのだ。しかも、きちんと「血」が出てないとコーフンしない。幼いあたしは自分の理想的な血まみれ殉教
図を探して、世界美術館全集のページを熱心にめくっていた。両親から見たら、生まれつき芸術的な感性を持つ優れたお子さんだったのかもしれないが、実像
はただのエロ子であった。
はたして、「パッション」で、さかいは感じたか? …ダメでした。美しいイエスがムチで叩かれて「はうわぅうわぅっ!!」と苦しんでる所には少しキまし
たけど。なんかね〜、血が、美しくないのだ。ひたすら痛そうなだけで。こんな鑑賞の仕方してるヤツはいないって? そんなことないと思うよ〜。敬けんな
クリスチャンなら、途中で席を立つのが当然だろうと思うほどの暴力描写だもの。
あたしにとっての、「理想的」な「血まみれ殉教図」は、いばらの冠がイエスの額に食い込み、血がスプライトのように美しくイエスの顔に流れつたい、掌と
足の甲からも、一筋の赤い血が流れているというもの。「血の様式美」とでも言うのか。そこにあたしは「リアル」な血しぶきなど求めてはいないのだ。たぶ
ん。
クライマックスの大量の血が気持ち悪い。との感想も多かった「キルビルvol.1」であるが、あたし的にはこれはまさに「血の様式美」なので大好きであ
る。だって、ありえないでしょう。雑魚キャラの両腕が同時に切られて、血がプッシュー!!と噴水のように出るとか。フィクションの中の血は、これでいい
んだよ。「キルビルvol.1」観て、「人を殺してみたい」と思うバカ、いないと思うもん。
その他の感想としては、「女が女を殺すのはイヤだ」なんてのもあるようですが、これにも、あたしはあまり同意できない。あたしも「女の敵は女」という言
葉は嫌いだけど、それとこれとは全く別の話。優れた物語というものは、主人公のライバルが魅力的でなくてはならないのである(ex.「ガラスの仮
面」)。ライバルが誰よりも強くて、賢いからこそ、主人公との対決が盛り上がるのだ。いいじゃん。ルーシーリューや栗山千明の何倍もの男が殺されてるん
だから。しかも、雑魚キャラとしてね。
注意!! ここから先は「キルビルvol.2」のネタバレ含む! 知りたくない人は読まないでね!
「キルビルvol.2」でも、ビルの弟、バド(復讐相手の一人)は、単なるバカ男として描かれており、彼を倒すのは、主人公のザ・ブライドではない。バ
カは、主人公自らが手を下す価値を持たないからである(クレイジー88は仮面ライダーの戦闘員的な役割なので、別。)。
しかし、「vol.2」は、「vol.1」程楽しめなかった。言うまでもなく、非情な殺人マシーンであったザ・ブライドが、「妊娠」という事実によっ
て、あっさり足を洗う決心をしたというエピソードのせいだ。はいはい〜っ、女は妊娠すると本能的に母性を発揮しちゃいますからね〜ッ!と、脱力してし
まった。とはいえこれすら、これまでの娯楽映画のパロディ(オマージュ?)と受け取れなくもない(やさしい…あたし。)。
ま、ラストがああだったので、安心しました。「誰」が殺されて、「誰」が生き延びたのかを考えれば、「vol.3」への期待も嫌が応にも高まるというも
の。エンディングの梶芽衣子「恨み節」は、涙なしには聴けないねえ。本編が終わっても、席を立っちゃいけないよ。ひとつだけ悔しいのは、「キルビル」を
作ったのが「男」であるということ(「恨み節」も)。ハリウッドに、男のオタクは大勢いても、女のオタクはいないんだろうなあ。女の監督もみんなブロン
ド長髪でさ。キレーじゃない女は、居場所、なさそうだもんな。
女の中にもあたしのように「血好き」って(男が思ってるより)たくさんいると思うのだけど、リストカッターやら、ゴスロリ系やら「自らの血」ばかりじゃ
なく、「男の血」を(ファンタジーとして)楽しむ余裕も欲しいと思うのである。
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