はじめまして、こんにちわ〜。今回から音楽コラムを担当することになりました、池田弥生です。近頃、『木更津キャッツアイ』にハマりすぎて自分を見失いつつあるので、ここでのコラムを通して平常心を取り戻していきたいと思っています。てへ。
第1回に相応しいアーティストは誰かしらん?、と思ったところ、頭にパッと浮かんだのがヨーコさん。そう、オノ・ヨーコだ。
私が中学生の頃、ジョン・レノンの生誕50年かなんだかで、盛んにテレビなどで特集を組まれたことがあった。その頃、単なる好奇心でジョン・レノンのライヴ映像を見ていたら、衝撃が走った。彼の横にいる女がおかしいのだ。それはすぐに彼の妻であるオノ・ヨーコだと分かったけど、とにかくこの女が凄かった。ジョンが演奏する横で、キーキーと金切り声をあげたり、マスターベーションを彷彿させるような妙な艶っぽい声をだしたりと、到底コーラスとはなりえない奇怪な声をだし続けていた。ビートルズのファンはヨーコが嫌いというのを聞いたことがあったから、そりゃ真面目なファンは腹が立つよな、と思った。
で、私はというと……。嫌いになるどころか、大好きになった! かっこえ〜よ、ヨーコと身震いがした。完全にヨーコに陶酔し、無知でおぼこかった私は「ラブ&ピースよ、永遠に」なんつって本気で思った。
まずは身近なところからと思って、当時のクラスメートに飲み終わった牛乳パックを持ってこさせた。今となっては、自分でも「何故?」と思う行動なんだけど、多分リサイクルをしてみたかったのでは(昔のことであまり憶えていないので、自分の事ながら人ごと)。目立つような人間では全くなかったのに、よくこんな事をやったよなぁ。ちなみに、回収率は上々だった。これで、世界が平和になったかは不明だけど。
その後、ヨーコさんの著書『ただの私』(講談社文庫)を読み、ヨーコ熱はますます高まっていた。でも、音楽には手をださないでいた。確かに彼女の叫びはかっこよかったけど、あれだけを何十分も聴くのはちょっと酷だと思ったから。前衛の音楽ってライヴや映像で見る分にはかっこいいし面白いけど、CDで聴くのは今でも苦手だ。なんだか居たたまれなくなってきて、そわそわしてしまうから。でも、22曲の「女」の歌が収録されているという『無限の大宇宙』が気になってしょうがなくなったので、聴いてみることにした。
……これがねぇ、本当に凄かった! キャ〜って感じよ、本当。もし「フェミニスト音楽(Feministst Music)」という大学の講義なりワークショップがあったとして、私が講師だとしたら(よく分かんない例えだけど)、これを課題曲にするね。そして、これをスタンダードとして、他の作品と比べたりすると思う。それ位、ど真ん中直球のフェミ音楽。

聴く前の予想に反して、アルバムの内容は拍子抜けする位シンプルなものだった。22篇から成る女の物語。革命を呼びかける力強いロック、ある主婦の日常を淡々と歌う物語仕立ての曲、何気ない感情を表現するシンプルなポップスなど、バラエティーに富んだ楽曲が収められている。この中で私が一番好きな曲が、"空気の話(Air Talk)"。
〜♪どんなに愛しあっている二人でも共有しあるのは空気だけで、過去だって共有できない。言葉は共有できなくても、世界は共有できる。(筆者:要約)
感覚的で強いメッセージはないけれど、聴くたびに心が温かくなる歌。オノ・ヨーコが好きだ、というとたまに、「彼女はすごいお金持ちで、(私達とは)違うじゃん。一体、どこが良いの?」と質問されることがある。彼女はお嬢様として生まれ、今だって莫大な財産を抱えている。確かに私とは全然ちがう。
ヨーコは言う、
「ロックは下積みの人間のもの。2000年も下積みになってきた女こそ、ロックを書き、歌う必然性がある」
と。私がヨーコの音楽に惹かれるのは、ココだ。21世紀になったって、今だ腹が立つことや納得いかないことが一杯。文句を言いたいことだらけ。そんな私が、「ロックは女がやるべき」なんて言う女の創りだす音楽に夢中にならないわけがない。
アルバムが作られて、30年。今だに、このアルバムに励まされている女がいるという環境はどうかと思うけど、別の言い方をすれば、それだけ色褪せない主張とメッセージが詰まっているということだ。
現在、アメリカと韓国を巡回してきた『YES ヨーコ・オノ展』というヨーコのアートを一堂に見ることができる展覧会が日本で催されている。美術雑誌などで大々的に取り上げられているから、ご存知の人も多いのでは。ヨーコのファンとしては嬉しいことだけど、ロック・ファンとしてはやはりライヴを見てみたい! 彼女は今年71才になるけれど、テレビや写真で見る限り、まだまだバリバリ歌いそうな感じだ。数年前、NYCでライヴを見た友達が言うには「往年の叫びに衰えなし」、ということだから、ライヴ未見の私はその話だけでうずうずしてくる。
ここ日本で、ヨーコの音楽の評価がフェミから湧き上がってくるとしたら……? スバラシイことだ。で、ライヴの最前列は女ばっかりなの。ヨーコも叫びまくりでさ。
これが私の2004年の初夢。叶いますように。パンパン(拍手の音)。
ヨーコ・オノ・ウィズ・プラスティック・オノ・バンド
『無限の大宇宙』
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