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YURIさんのフェミカンルーム67 特別支援学校へ行ってきました。

具ゆり2020.08.06

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コロナ感染が急速、急激に拡大して、感染者は日に日に激増している。夏休みに入る前から街には驚くほど人が戻ってきているし、バスや地下鉄は人との距離をとれないときもある。恐ろしくて、とても出かける気にならない。

一人暮らしの母に、半年以上会ってない。今は行くときではないとお互いにわかっていても、長い間顔を見せてないとちょっと後ろめたさが顔を出してくる。

6月に入って対面カウンセリングを再開していたが、それもまた難しくなった。久しぶりに面接を再開した人もいたというのに。

この間わずか1カ月半あまり。学校や行政の研修、セミナーも徐々にリアルで実施し始めた。ところが、7月半ばにはまた対面講義は見送るしかなくなった。ほんのつかの間だった。

感染リスクと安全を考えれば当然のことだけど、安全が担保できないのに、その一方でGOTOの旗が振られている。もう、支離滅裂! この整合性のなさにあきれかえる。

そんなわずかな隙間をぬって、学校と行政でいくつかリアルで研修できたのは収穫だった。

6月末、県外の特別支援学校(聾学校)から教職員研修と中学部生徒への授業の依頼を受けた。(学校が「聾学校」なので、以下「ろう」は漢字を使用します)

聾学校と聞いたときは、正直、少し驚いた。

この二十数年、小中高校で性や人権を話す機会はずいぶんあったのに、特別支援学校は一度もなかったことに初めて気がついた。

大学に聴覚障がい学生は一部いたし、彼らにはノートテイクなどのサポート学生がつく支援がある。その経験と聾学校での授業とは少し違う気がした。

研修の企画を担当するA先生と直接電話で話してみた。「聞こえ」に若干の支障はあるものの、ゆっくり話せばやりとりに問題はない。念のため電話はスピーカーにして、支障のない教員がサポートについてくれた。

研修への思いをいっきに話すA先生の話を聞きながら整理すると、どこの世界にもあるハラスメント問題が潜んでいる様子。教師間のコミュニケーションの齟齬(そご)、教師による生徒への言動にも問題を感じていること。心理的虐待とも思われる気になる暴言、言動などを教員研修で気づきを促したいという要望だった。

生徒に対しては、自分がされていることが何か、「気づく力」をつけさせてやりたいという。

A先生の熱い思いが伝わってきた。

どこの学校であれ、先生たちは同じようなことで悩んでいる、困っているのだとわかって、ちょっと目が覚めた。私の中に「聾学校だから」という変な身構えがあったのかもしれない。初めてのことで、無意識のうちにちゅうちょするところがあったのかなあ。

そんな気持ちや迷いがはがれてスッキリした。

学校のホームページを見ると、幼稚部から小中高等部、寄宿舎もある。県内唯一の聴覚障がい教育の専門機関として100年もの歴史がある学校だった。

だけど、子どもにも親にも必要な専門教育なのに、県内にいくつか分校はあるとはいえ、子どもたちの通学や寄宿生活は大変にちがいない。盲学校を検索してみると、やはり同じようである。そうか……。

中学生は3学年24人。ほとんど接点のない世界だけど、やってみるか。

7月半ば、教職員研修のため、新型コロナ発生以降初めて県外に出た。名古屋発の近鉄特急は平日の午後ということもあって、ホームに立つ人は少なかった。乗った車両の乗客は数人ほどでホッとした。席は人の少ない車両でできれば前後のシートがすいている席と指定した。

研修には専門の手話通訳者が2名ついてくれた。これも初めての経験。中学部の教員のほか、高等部の生徒指導や幼稚部の教員が若干いる。健聴者かどうかを詳しく聞かなかったが、「聞こえ」に支障のない教員が大多数というのは意外だった。完全に支障があるのはそのうち1名で、A先生は自分専用パソコンでイヤホンを使って「聞こえ」を補っていた。

他の会議で参加できない教員のためにビデオを撮ってくれる熱心さ。忙しい先生たちがほんとに後で見るのかな~、とは思うけど、関心の高さはありがたい。

学校が事前に行った教員からの質問は、「しつけとDVの違い、束縛、心理的虐待、デートDV、被害者心理、子どもから相談されたときの対応について」など。

具体的に知りたいことがわかるととてもやりやすい。パワーポイントにも力が入る。

 

研修のメインは中学部の先生たち。思春期は10歳前後に始まって、子どもたちは心とからだが一番大きく変わっていく時期。教員は専門家だし、当たり前にわかっていることのはずだけど、そこは少しおさらいしてもらう。自分事にひきつけて考えてもらう。私たちもかつては子どもだったから。そうしながら、思春期の発達とメンタルヘルス、関係における力と支配、暴力とハラスメントの構造的背景、子どもとの関わり方を考えてもらうよう起承転結まとめていく。で、欲張りの私はどうしても性教育についても話したくなるし、必要必然と思っている。おとなも知らないことばかりでしょ?

 

今回はハラスメントと子どもへの体罰に対する警告は必要ミッションだった。でも、1回の研修でハラッサーや暴力加害者が自分に気づくなんて難易度高すぎ。それに、これまでもそういう人は、逃げて参加しないこともある。たぶん、ヤバいと自覚してるんでしょうね。

ともあれ、現地でこの教職員研修を実施できたのはありがたかった。学校を訪ねて様子がわかったし、生徒のことを少しだけど事前に知ることができたから。

 

そして、1週間後。中学部の授業はやはりコロナのせいで、リモートになった。

中学生3学年を一緒に授業するのって、温度差ありすぎでなかなかに難しい。学年別ならまだしも、1年生なんてついこの間まで小学生だもの。

 

さて当日、学校と私の自宅をつないだオンライン授業。生徒が教室にいるリモート授業は初体験だ。

先生と話しながらzoom設定しているところに生徒がぞろぞろと教室に入ってきた。生徒の様子が見えるようカメラが設定されている。マイクテストや動画の動作に手間取っている準備の最中、カメラをのぞき込んできたり、パソコンの中の私に手を振ってきたりと遠慮がない。なんだ、こりゃ。ふふふ、目の前に来て手をふっているのはやっぱ1年生?

なんていうか、開放感と屈託のないものおじしない感じ、友だちとふざけあっている雰囲気が画面越しに伝わってくる。ふ~ん、こんな感じはこれまでなかったよ、いいなあ。

もう始めっからやりやすいなあ。画面越しというのも忘れて、いつもの調子で始めた。

学年別に声をかけて手を挙げてもらう。やはり目の前は1年男子たち。やっぱ~。女子と3年はちょっとうしろにいてカメラでは見えにくい。

聴覚障がいの生徒たちに私ができることはなんだろう。A先生からは「最近は早い段階で検査と治療が進んでいて、子どもたちの『聞こえ』はずいぶん改善されている」らしい。なので、ゆっくりわかりやすく話せばかなり聞き取れるんだって。先生の手話もつくそうだし、いつもより、はっきりと、わかりやすく話せば大丈夫、なんだ。

授業のタイトルは「思春期の心とからだを大切にしよう~お互いを尊重する関係」

学校という場なので、まあ優等生っぽい表現といえる。中身で勝負ね。

今回は「同意とコミュニケーション」が必要。聴覚障がい者は人に話しかけるとき、相手が気づくようからだの一部に触れて知らせると聞いた。だから、私たちが普段するよりスキンシップやタッチが多いらしい。必要なコミュニケーションだけど、思春期に入った子たちにとって、そのスキンシップが性的なタッチになりうることを知る時期である。当たり前といっても、マナーとして相手に同意をとること、自分がNOならその意思を無視しないこと、相手に伝えていいことを考える年齢だから。

まず自分を大切にすること、自分が嫌なことは相手が誰でも拒否していいこと、それが自分の気持ちを尊重すること、その権利意識が自分を守る・友だちを守ること、人を傷つけないこと、暴力を許さないこと、暴力は人の心と関係を壊すこと、友情や愛情は生きるエネルギーになってお互いを育てあうこと、自分にも相手にもお互いを大事にしよう、もし自分がNOと思っているのに誰かに無理に嫌なことをされたら相談すること、話すことは自分を守ること・とても大事なこと、友だちや家族と一緒に自分を育てあおうね、という流れ。

いつもの授業より長い60分に集中してくれた。ありがとう。時間割2時限分あったので、感想もゆっくり書いてもらえた。

「よくわかりやすい話でした」「暴力はダメ」「自分は友だちを大事にできる」

「人を傷つけないこと、自分勝手な行動をしないことに気をつける」「相手だけじゃなく自分も大切にすることが大事だとわかった」……など(一部抜粋)。

性のことは中学の時期にこそ、知ってほしい、知るべきだと改めて思う。終わってみると、まだまだたりないことが見えてくる。彼や彼女たちの性と人権を再考している。

なんだかすがすがしい気分で学校を後にした。新しいやる気が出るなんて、久しぶりのことだった。

直接会えなくて残念だけどこの機会に感謝。またの機会があればぜひ!

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具ゆり(ぐ・ゆり)

フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んで20年あまり。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。

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