ラブピースクラブはフェミニズムの視点でセックスグッズを売り始めた日本で最初のトーイショップです。

上海アダルトエキスポ

北原みのり2009.03.09

Loading...
上海で行われたアダルトエキスポに行ってきた。上海はこれで2度目。はじめて行ったのは7年前だったが、その時は、街全体がバブル時の芝浦みたいな感じで、お金の匂いと最先端の誇らしさと拡大し続ける宿命を前向きに背負ったギラギラキラキラしてた街の勢いに圧倒されたものだったけれど、7年後の上海は・・・実に落ち着いた、シティー、になっていました。泊まったホテルがオーガニックの食べ物と、化学物質を使わない建築物を売りにしたエコ系だったのですが、”そういう”お店があちこちにできていたのにも変化を感じます。
数年前の欲望がグツグツ煮えているようなあの熱さはどこに。経済成長は未だに年に10%といわれているけれど、それでも、豊かさに慣れた街が放つ穏やかさがありました。
 
 
さらに驚いたのは、タクシー。
前回は、タクシーに乗るたびにぼられやしないか、メーターはきちんとおりているか、遠回りしているんじゃないか、と気を張りつめていたものですが、今回の旅で上海のタクシー運転手のマナーの良さに驚きました。
ちなみに私が乗車拒否されたのは、「そこ知らない」というのと「近すぎて行けない(本当に100メートル先だった)」の二回。タクシーの初乗りが11元(約150円)で、15キロ乗っても多くて30元(約450円)という安さなので、移動は全てタクシーに頼り、合計30回は乗っているのにほとんど嫌な思いをしないなんて、東京ではあり得ない確立の低さじゃないですか! 
 
 
さらにさらに驚いたのは、押しの弱さ!
前回も歩いていたら、「コピーカバン!!! ブランドトケイ!!」と追いかけてくる中国人はたくさんいて、さらに何かを買う時にちょっと値切ろうとしたらもの凄く怒られ怖い思いをしたのだけれど、今回は買い物をしながらちょっと物足りなく感じるくらいに、中国人がすぐ引き下がるのでした。値切ったら、哀しそうな顔して、いいですよ、とすぐに頷くし。「トケイトケイトケイ!!!」と無理矢理連れて行かれた先で何も買わなくても「トモダチ、マタキテネ!」と全くしつこくなく、「本物、ブランド、トケイ、バッグ!!!」と十人くらいでむらがってきた若者たちに、自分のトケイを見せて「もう、買った買った」と言うと、なぜか笑いながら、「じゃーねー、トモダチー」とか言う。フツー、「じゃぁ、もう一個、おみやげ!」とか言わないか? こんなんだったっけ? おいてけぼりにされて、寂しい気持ちを味わう自分の気持ちがよくわからないくらいに、驚いたもんです。
 
 
もちろん、変わらないところもある。
フォルクスワーゲンのWのマークがついているタクシーは、上海制フォルクスワーゲンだし。観光客が集まる公園にいはミニーとミッキのかぶりものが、観光客と一緒に写真を撮っている。
・・・それでも。以前に比べ、ミニーとミッキーが、どこか”羞恥”を覚えたような振る舞いをしているように見えたのは気のせいでしょうか。特にミニーちゃんは愛想が悪く、ずっとうつむき続けていて、可愛そうなネズミになっていました。上海では来年エキスポが行われるそうなのだけれど、その時までにこのミニーちゃんはいなくなっちゃうのかもしれない。さようならコピーミッキー&ミニー・・・というような思いを込めて、私はミニーちゃんを見つめたよ。きっと、上海は、また、すぐに変わってしまうんだろう。
 
 
声が大きく不機嫌で町中にツバを吐きお金のことばかり言い我先にと人を押しのけて歩く日本人が嫌いな・・・メディアが喧伝する”中国人”って、私は実際にみたことがないんだけれど、でも、少なくとも7年前の上海人は、もう少し押しが強くて勢いがあったんじゃないかとは思うんです。このことを寂しい、というよりは、この変化が、「オリンピック」という「国際」が変えたものの力なのか、それとも「豊かさ」というものの何かなのかが、気になります。
 
 
で。アダルトエキスポ。
アダルトグッズ業界でも、中国は世界の工場になっているわけだけれど、経営者や役職のある人に女性が多くて、だいたいみんな手際がよくて、仕事しやすいな、という思いに。今回ビジネストークしたのは台湾の女性で、もともとはマウスなどを創る会社にいたけれど最近「この業界」に参入しはじめた、とのこと。「この業界は、未来がある。セクシュアルヘルスのこと、もっと真剣に考えたい」と話していました。
近くて遠い国。という思いだった中国だったけれど、こうやって仕事を通して関係を築いていくと、どんどん中国が近くて近い国になってくる。そしてセックス産業。小さいようで、インターナショナル。自分で始めた仕事ではあるけれど、こんな風に色んな国の人と出会える仕事だとは考えてもいなかった。なんだか、仕事が、今までになく楽しい今日この頃。セックスで世界平和って、夢じゃないのかもしれないね。
Loading...

北原みのり

ラブピースクラブ代表
1996年、日本で初めて、女性だけで経営するセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」を始める。
著書に「はちみつバイブレーション」(河出書房新社1998年)・「男はときどきいればいい」(祥伝社1999年)・「フェミの嫌われ方」(新水社)・「メロスのようには走らない」(KKベストセラーズ)・「アンアンのセックスできれいになれた?」(朝日新聞出版)・「毒婦」(朝日新聞出版)など。佐藤優氏との対談「性と国家」(河出書房新社)・最新刊は香山リカ氏との対談「フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか」(イーストプレス社)など。

RANKING人気記事

Follow me!

  • Twitter
  • Facebook
  • instagram

TOP