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 去年、『童貞』がテーマのインターネットラジオを配信している人たちと知り合い、ラジオにゲストで出て欲しいと頼まれた。パーソナリティーは、真性童貞(風俗にも行ったことがなくとにかく女体に触れたことのない男のこと)のS氏と、素人童貞(風俗経験はあるが、プライベートで女と付き合ったことがない男のこと)の人だ。2人とも30歳だ。
 収録する場所について、『喫茶店の会議室(レンタル)』か『いつも録ってる真性童貞S氏の自宅(一人暮らし)』のどっちがいいか聞かれた。その時、彼らとは1度挨拶しただけの仲だった。悪い印象は一切ない。だけど、ほぼ初対面の男の家に一人で行くなんて普通しないと思う。しかし、ごく自然に『自宅』と言われたので、普通は行くものなのかな…? 童貞の人の家なんて行く機会ないから行っておいたほうがいいかな? と思ったが、やはり行きたくない…と思った。
 「家はイヤ」と言うのが恥ずかしいので、「喫茶店でお願いします」と言った。当日行くと、喫茶店の会議室をレンタルしておらず、客席で録ることになった。他の席のオッサン客たちの声がものすごい入ってて、一生懸命喋ったのにみんなの声がぜんぜん聞き取れない回に仕上がっていた。

 そして先日、またゲストに呼ばれた。今回は100回記念スペシャルだという。私のほかにもゲストとして「大学時代の友人(男)」を2人呼ぶという。そして「その友人には合コンと騙して参加させます」とメールに書いてある。参加者の中に女が一人もいないなら、「合コンって言われたのになんだよコレ!」と、ドッキリになるのが分かるが、私は曲がりなりにも女だ。私のことを女と意識していない、あき竹城みたいな“下ネタも話せるノリのいいオバサン”と捉えてるから純真無垢に「合コン」と言ったんだと思う。田房なら、「いいねソレ! 合コンかと思って来たら女はあき竹城一人かよ! ってなるよね!(爆)」と、女芸人の役回りになって一緒に楽しんでくれると思ったのかもしれない。私は彼らに嫌な印象はないけど、あくまでまだ知り合いで仕事先の人に近い感覚であり、あき竹城扱いに同意することはできなかった。童貞のフライングに対し、私は精一杯の人妻の余裕を振り絞り、「『合コンと騙す』って私に失礼でしょ~!」と、冗談っぽいプンプン! という感じのメールをした。「すみませんそういうつもりはなかったんです(汗」と返信がきた。
 そして収録の場所。「喫茶店の会議室」という話だったのに、「S氏の自宅になりました」と言う。いくら彼らが紳士的で、私のことをあき竹城としか思ってないと分かっていても、知らない男が4人、女は自分一人というメンバーで男の家には行けないと思った。(もしあき竹城本人が「童貞の家に呼ばれた」と言ってるのを聞くことがあったとしても、たぶん「それ大丈夫ですか?」と心配すると思う)。「知らない人と男の人の部屋にいきなり集まるのは私には無理なので、今回は欠席します~」とメールした。「『あたしのカラダ狙ってんじゃないの?!』と疑っているのか?」と思われたら恥ずかしい…と思ったけど、やっぱり、今後も家に呼ばれる度に断るのが面倒なので、思い切って送信した。結局私はゲスト出演しないことになった。
 向こうは私のことを女とあまり思っていなくて、ある意味「男女平等」の態度なのに、「アタシを女扱いしなさいよっ!」って主張してるのは私のほうだと思った。彼らが私の女体を頂戴しようと狙っているなんて思ってないのに、「どうして家に行きたくないのか」という考えを突き詰めると、『もし頂戴されてもその状況だと文句が言えない』からだ、という答えに行き着く。でも、もし彼らが女の人だったら? やっぱりあまり知らない人の家に行くのは抵抗があるな~と思った。だが、やっぱり女の人で彼らと同じくらいの仲だったら、そこまでの拒否感はないと思う。
 童貞とか関係なく、そこにチンコがある、ということに私は警戒している。自分にとっての「女じゃなくなる」という意味は、「チンコを警戒しなくなる」ことだと思った。モテる服装興味ない、ズングリムックリで里芋みたいな顔、来世でもAKB48に入れなそうな私だけど、きっと一生、女であり続けるだろう。
童貞の家
女向け商品度★☆☆☆☆(行きたい人もいるかもしれない)
あき竹城はas know as(服のメーカー)がお気に入りとのこと度★★★★★
ヌードダンサーの頃のあき竹城のオッパイがかっこいい度★★★★★
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田房永子(たぶさ・えいこ)

漫画家・ライター
1978年 東京都生まれ。漫画家。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒。2000年漫画家デビュー。翌年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞。2005年からエロスポットに潜入するレポート漫画家として男性向けエロ本に多数連載を持つ。男性の望むエロへの違和感が爆発し、2010年より女性向け媒体で漫画や文章を描き始める。2012年に発行した、実母との戦いを描いた「母がしんどい」(KADOKAWA 中経出版)が反響を呼ぶ。著書に、誰も教えてくれなかった妊娠・出産・育児・産後の夫婦についてを描いた「ママだって、人間」(河出書房新社)がある。他にも、しんどい母を持つ人にインタビューする「うちの母ってヘンですか?」、呪いを抜いて自分を好きになる「呪詛抜きダイエット」、90年代の東京の女子校生活を描いた「青春☆ナインティーズ」等のコミックエッセイを連載中。

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