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地下式原発と中出し

田房永子2011.06.17

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 前回書いた、もう1本のチンコ。それは、クロッキー会のモデルさんのチンコだった。クロッキー会というのは、1人のモデルさんの体をみんなで写生すること。モデルは全裸の女性であることがほとんどだが、この日は珍しく男性モデルだった。
 静まり返った公民館の一室、20名ほどの男女が見守る中、その小柄な男性は腰に巻いたバスタオルを取った。月一回通っているこの場所、裸の人をみんなで凝視する、いつもの光景。女性のモデルさんは絵画によくある裸婦のポーズをとるので、マンコが見えることはまずない。つまりいつものソコ(女性モデルの股間)には、黒い茂りがあるだけなのに、男性モデルの股間には、男性器が仰々しく貼り付いていた。《そのモデルさんのは少し皮がかぶっているだけの、普通のチンコだった》。チンコは、マンコに比べて『丸出し』である。女の性器は毛とかまんじゅうで覆われていて、脚を閉じていれば「具」はそれほど見えない。対してチンコというのは、全て丸出し、むしろ開脚した裏っ側のほうがツルツルしている。さらには前面にドーンとしゃしゃり出ている大事なモノを、下からキンタマが介添えし、ヴィジュアル的にはキンタマはたてがみのような役目も担っている。奥に隠れて濡れるマンコに比べ、無邪気すぎるほど体の最前面へ飛び出しているチンコ。普段からそんなふうで、勃起すればさらに、前へ上へと主張を繰り広げ、最終的には勢いを持って液体を飛び散らかす。チンコとマンコは、男と女の言動やメンタルの違いを見事に表現している…。知っているはずだったが、ハッキリと克明に知った、そんな衝撃があった。
 そしてキンタマというのは、勝手に縮んだり伸びたり動く、という認知も同時に至った。クロッキーのモデルは10分間、同じポーズでいなければならない。モデルの男性もジーッと同じ格好で立っていた。その間、ふたつのキンタマボールがほんわり、ほんわりとそれぞれが縮んで上のほうへ上がっていったり、下がってきたりしている。同じポーズでいるのはツライので、モデルさんの腕や脚はときたまプルプルと揺れる。だが、キンタマというのはそういう動きとは違う、原子の動きをしていた。みんな、電車に乗ってるサラリーマンも、テレビで真面目に話してる評論家も、ニートもおすもうさんも、SMAPも河村隆一も、いつもいつも、ズボンの中のキンタマはあんなひとりでにホワンホワン動いてるんだ…と思うと奇妙な気持ちになる。
 チンコというものの持つ奇妙さ、マヌケさに関して、改めて意識が変わったその日5月31日、「地下式原子力発電所政策推進議員連盟」が発足されたというニュースを見た。たちあがれ日本の平沼赳夫が代表で、「『地下に原発を造ることは安全性の面から意義がある』と強調。地下式原発は耐震性に優れ、放射性物質が漏れても地中に封じ込められる利点があるという」と書いてある。
 最近はインターネットで「放射能を少なくする下ごしらえ」(http://t.co/dIIxqKM)を教えてくれるWEBサイトが広まっていたり、コンビニでは「放射能から子どもを守る」というパパママ向けの雑誌が売られている。WEBサイトはオシャレなイラスト入りだし、雑誌では歌手のUAや女優たちが登場してる。どちらも実用性の高い、だけど気軽に読めるように配慮されたものだった。
 「地下式原発」と、「放射能から子どもを守る調理法」。この二つは、まるで昭和の映画によく出てきた「ギャンブル好き夫」と「嘆きの妻」みたいだと思う。妻が泣いて止めても競輪場へ向かう夫。妻は子供達には苦労を見せまいと、少ないお米と野菜で工夫した料理を食べさせる。
 これだけ日本が放射能を浴びたくないと騒いでいるのに、スーパーエリートのオッサンたちは、まだ原発を捨てずに、今度は地球の中に挿し込もうとしている。チンコは常に前へ上へ進むことだけを考えていて、マンコはひっそり裏で尻拭いをしている構図。原発問題は、まるでギャンブルチンコと嘆きマンコである。その間もホワホワと脳天気に動き続けるキンタマ。あれがまた何かしでかさないように見守るのが、マンコの仕事とされる時代は、やはり永久に続くのだろうか。
genpatu&nakadasi_20110609_1.jpg
放射能除去調理法
女向け商品度★★★★★
お母さんがおばあちゃんから習った料理を、自分の代から「放射能除去」の手順を加えて教えるなんて、本当にどうなってんだ度★★★★★
新しい生き方のコツを掴んでいこうとする女たちの力強さと順応の早さは本当に凄い度★★★★★

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田房永子(たぶさ・えいこ)

漫画家・ライター
1978年 東京都生まれ。漫画家。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒。2000年漫画家デビュー。翌年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞。2005年からエロスポットに潜入するレポート漫画家として男性向けエロ本に多数連載を持つ。男性の望むエロへの違和感が爆発し、2010年より女性向け媒体で漫画や文章を描き始める。2012年に発行した、実母との戦いを描いた「母がしんどい」(KADOKAWA 中経出版)が反響を呼ぶ。著書に、誰も教えてくれなかった妊娠・出産・育児・産後の夫婦についてを描いた「ママだって、人間」(河出書房新社)がある。他にも、しんどい母を持つ人にインタビューする「うちの母ってヘンですか?」、呪いを抜いて自分を好きになる「呪詛抜きダイエット」、90年代の東京の女子校生活を描いた「青春☆ナインティーズ」等のコミックエッセイを連載中。

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