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オイスターオヤジ

田房永子2011.07.29

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以前このコラムに『僕だけオヤジ』(2011/4/22参照です)について記述してから、「思い当たるフシがある」「取引先に『僕だけオヤジ』がいる」「こないだ会いました」等、友人知人の女性から目撃・遭遇情報が続々と寄せられている。
  『僕だけオヤジ』を簡単に説明すると、若い女が好きで、女しかいない場所を嗅ぎつけることに長けていて、わざわざ来ておいて『あれっ? 男が僕だけだ~』 と男が自分一人であることを困ったな~という口調でウレシそうにアピールするオヤジのことである。年齢は40代中盤~50歳で、『やんちゃボーズ』とか平 気で自称しそうな『オトナカジュアル』なコーディネイトファッションを全力でしていることが多い。牡蠣のことをオイスターと呼ぶことに躊躇がなく、必要が ない場合でも徹底してオイスターと呼んでそう、という特徴もあるため、ここからは『僕だけオヤジ』のことを「オイスターオヤジ」と呼ぶことに統一したい。
 彼らオイスターオヤジの最大の特徴は、「若い女(18~23歳)を落とす為に、周りの年増女(30代以上)を利用する」という点である。
  オイスターオヤジにとって好都合な状況は、年増女たちの中に極端に若い女が混ざっているシチュエーションである。この場合、年増女たちは「もう~、アナタ くらい若いとお肌ピチピチよね。私なんか30過ぎて白髪生えてきた」等、自虐を駆使することで世代を超えた女同士のコミュニケーションを図ろうとする(た いていは若い女はニコニコと黙っており、年増女たちがギャ―スカ騒いでるという図)。普通、こういった場所に男が一人いたら居づらそうに肩を縮ませるもの だが、オイスターオヤジはこの女同士の法則に堂々と割り込んでくる。そして年増女たちに向かって「白髪ちゃんと染めてる?(笑」とか「いい老眼鏡の店知っ てますよ(笑」とオイスター・ジョークをかましてくる。この際、オイスターオヤジは一見、年増女たちを狙っているかのように見えるが、実は遠回しに若い女 へ「君はこのオバチャンたちに比べて若いね。キレイだよ」とアピールしているのである。ここでこのオイスター戦法に落ちるタイプの若い女は「クスッ」と 笑ったりして反応をする。オイスターはこの時、若い女をガン見している(たぶんチンチンは3割勃っている)。そういった光景を“ノリのいい大人な年増女” は見てみぬフリをして流すが、オイスターオヤジの恋愛活劇の脇役(半勃起のお助け要員)にさせられるのはゴメンなので絶対に会話に参加しないように黙りこ くっている“地蔵な年増女”もいる。
 私の知人Pさん(40代女性)は、「オイスター劇場ではいつも“ノリのいい年増女”を買って出てしまう」と 語る。そして自らを「当て馬役」と称する。「35歳過ぎた頃から当て馬役が多くなりました。でも若い頃に若い女役はもらえなかったというか、何の役もつか なかったので、キツい空間でやることがあるだけマシ」とのこと。そして知人女性のKさんは「私は若いころから当て馬役をやらされがちでしたが、お前のセッ クスの踏み台にはならねぇぞと地蔵を決め込みつつ、10回に1回くらいはしぶしぶパスも受け取ってみたり、半当て馬・半地蔵のケンタウロス状態でした」と 語る。
 私自身は地蔵女である。その場で「感じ悪い」と思われたとしても、絶対にオイスター劇場の出演は放棄する。だが思った。地蔵女はいつでも 当て馬役女を見ていると。そして「私だけだったら場が硬直しすぎるところを温めてくれてありがとう」と、心の中で言っている。当て馬役女は、地蔵女に毛糸 の帽子(もちろん赤色)をかぶせて温めていると言っていい。当て馬役女のおかげで、場の空気が壊れず、地蔵女は過剰なストレスを感じることもなく、若い女 はオイスター・チヤホヤを一心に浴び、オイスターオヤジは半勃起を楽しむことができるのである。
 そんな年増女同士の、見えない交流なん かオイスターオヤジには関係がない。奴らの視線はただひたすらに若い女にしか向いていない。そんなオイスターオヤジを見ていると、なんだかセックスそのも のには自信なさげな感じがしてくる。自信がないからイタリアン度激高な衣服を身につけたり、フランス料理をフレンチって言ってみたり、フェットチーネとか リングイネとかパスタの種類ばっかり覚えてみたりしているんじゃないだろうか。(そうだったら楽しいな)。今後もオイスターオヤジ情報収集に邁進したい。
「オイスターオヤジ」
あなたの周りにもきっといる度★★★★★
男 はオイスターオヤジの存在を知らないので、男性にオイスターオヤジの話しようとしてもキョトンとされる。オイスターオヤジが男の前に出没しないからかもし れないが、男は「女にしかベクトルが向いていない者(痴漢等)」は目に見えない、という身体能力があるとしか思えない度★★★★★
ていうか、「当 て馬」って、「牝馬の発情を促し確認にあてがわれる、人気のない種牡馬や引退した種牡馬の通称」だって…。「牝馬の発情の有無を確認すると当て馬と牝馬は 引き離される。性欲が高まった状態で引き離されることによるストレスを解消するために、稀に種付けを行うこともある。」とか…そこまでして、サラブレッ トって作らなきゃいけないのだろうか…と単純に思った度★★★★★
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田房永子(たぶさ・えいこ)

漫画家・ライター
1978年 東京都生まれ。漫画家。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒。2000年漫画家デビュー。翌年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞。2005年からエロスポットに潜入するレポート漫画家として男性向けエロ本に多数連載を持つ。男性の望むエロへの違和感が爆発し、2010年より女性向け媒体で漫画や文章を描き始める。2012年に発行した、実母との戦いを描いた「母がしんどい」(KADOKAWA 中経出版)が反響を呼ぶ。著書に、誰も教えてくれなかった妊娠・出産・育児・産後の夫婦についてを描いた「ママだって、人間」(河出書房新社)がある。他にも、しんどい母を持つ人にインタビューする「うちの母ってヘンですか?」、呪いを抜いて自分を好きになる「呪詛抜きダイエット」、90年代の東京の女子校生活を描いた「青春☆ナインティーズ」等のコミックエッセイを連載中。

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