ラブピースクラブはフェミニズムの視点でセックスグッズを売り始めた日本で最初のトーイショップです。

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 編集者の女の子Bさんが「自分のことを『ワイン』って言う女友達がいる」と話してくれた。以下、Bさんのセリフ。
 「私は、好きな人ができたらエッチしたくなるし、するんですよ。でもその友達は、『すぐにやらせたらダメ。安い女に見られる』って言うんです。だから友達は、彼氏でも半年は挿入させないらしいんです。それで私のこと『あんたはビールね』って言うんですよ。『ビールは一気飲みされてすぐ終わり。だけどワインは熟成してゆっくり時間をかけて飲まれる。大切にされるにはワインでいないとダメ』なんだそうです」
 私は完全なる『ビール女』だ。確かに『ワイン女』な人って学校とか職場とか、どこかしらにいて、しかもそうそう、ワイン女ってビール女への説教好きだよねー! と思い、ワイン女がビール女に対して常時所持し振りかざしてくる謎の「上から目線な態度」を思い出した。ワイン女から見ると、ビール女の中でも私のような、外見に無頓着で卑屈な感じのビール女は説教の標的になりやすい。初対面であっても笑いをこらえながら「アナタ、お笑い芸人目指してるでしょ?!」と言ってきたり、私の持っているモノ(彼女から見ると珍妙な雑貨)を見て「そういうの持つのやめなよ!」とか言ってきたりする(本当です)。ワイン女は身につけるものに関しては、雑誌に載ってたり芸能人が持っているものしか認めない。そうじゃない人のことを一方的に哀れみ、矯正しようとしてきます。もしかしたら私みたいなビール女よりも、外見はワイン女っぽいけど中身が「ビール女」という人のほうが、ワイン攻撃の被害数は多いかもしれない。ワイン女は、矯正させるのが好きで、見た目ワインなビール女のほうが、ワインから見て「惜しい!」感を強く感じるだろうからである。
 ワイン女は服装に限らず、立ち振る舞いや生き方、思考回路や社会の捉え方も、いつか親や先生から教えられたことをそのまま忠実に実行している、大変に素直な女性たちである。例えば「女の子は大きくなったら痴漢に遭います、男はそういう生き物なんだから、うまくあしらうのが女なのよ」と言われたまま、そうなのだからそうなのだ、と思っているフシがある。痴漢に困り悩んでいるを発見しては、「怖いからと抵抗しない貴女にも問題ある!」と、ここぞとばかりに猛然と攻め立てたり、痴漢等の男特有の乱暴をそこまでの悪と思ってないような言動をする。男特有の乱暴を回避するのが“女の仕事”であり、その“仕事”をこなせる女は賢く、うまくできない女は落伍者であるため、最終的には痴漢する男よりむしろ、落伍女のほうが悪だと思ってるかのような気配すら感じられる。
 他にも、「胃袋をつかんでおけば男は離れない」とか親戚の叔母さんかなんかに言われた言葉を「そういうものだから」と軸にして恋愛など執り行い、女子会で堂々と発表したりする。『ワイン女』には、「どうしてそう思うんですか?」と尋ねても、「…? そういうことになってるからよ」みたいな返答しか返ってこない。
 『すぐにやらせる=軽い女に見られる』というのも相手との関係によると思うけど、ワイン女の中ではイコールがガチガチに固まっている。ビール女である私は、いいなと思ったら「この人とやりたい!」と思うし、その人と二人きりになって向こうもそういう気がある場合は初デートだろうが屋外だろうがなんだろうがまず我慢ができない。そこには何ひとつ穢れたものはないと思っている。むしろ人間の中で一番率直で清らかな感情なんじゃないかと思う。一方『ワイン女』は、いつか誰かから聞いた「オアズケ」という秘技を駆使して半年間ペッティングだけという、私から見たら最も卑猥な“焦らしオアズケ・フェスティバル”を開催する。それによって「この人は私のことを軽くないって分かるし、大切にするはずよ」と相手の精神状態を牛耳ってる錯覚を持つことで、満足感を得る。オアズケ・フェスティバルというドエロな行為をしておきながら自分の体の発情は一切無視し、性的興奮とは直結していない論理的悦楽を得る、それはどんなプレイよりもいやらしく、助平ではしたないと私は思う。自分の体とセックスを自分を「高く」見せる為の道具として使うワイン女と、自分の体が気持ちよくなることを優先するビール女は、果たしてどちらが「安い」のか!
「ワイン女」
女性向け商品度★★★☆☆
前回書いた「女追行タイプ」とかなりかぶっている度★★★★★
オイスターオヤジの相手をする当て馬役に回る女はほぼ100%ビール女だと思う。ワイン女はオイスターオヤジの前では地蔵派になる気がしますし、ワイン女とオイスターオヤジは案外相性よくない気がします度★★★★★

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田房永子(たぶさ・えいこ)

漫画家・ライター
1978年 東京都生まれ。漫画家。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒。2000年漫画家デビュー。翌年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞。2005年からエロスポットに潜入するレポート漫画家として男性向けエロ本に多数連載を持つ。男性の望むエロへの違和感が爆発し、2010年より女性向け媒体で漫画や文章を描き始める。2012年に発行した、実母との戦いを描いた「母がしんどい」(KADOKAWA 中経出版)が反響を呼ぶ。著書に、誰も教えてくれなかった妊娠・出産・育児・産後の夫婦についてを描いた「ママだって、人間」(河出書房新社)がある。他にも、しんどい母を持つ人にインタビューする「うちの母ってヘンですか?」、呪いを抜いて自分を好きになる「呪詛抜きダイエット」、90年代の東京の女子校生活を描いた「青春☆ナインティーズ」等のコミックエッセイを連載中。

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