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日本のフェミニズム since1886 性の戦い編
女性たちは何を願い、何と抗ってきたのか。日本の女性たちが繰り広げた性の戦いの歴史を、1886年を起点にして歴史をおいかけるフェミニズムの基本中の基本の一冊。

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日本のフェミニズム since1886 性の戦い編

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単行本: 136ページ
出版社: 河出書房新社 (2017/12/22)

販売価格:¥1,320(税込)
品切れ中:次回入荷は未定です。

Item Number: 05090214

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北原みのりが責任編集した、日本のフェミニズム史。女性たちは何を願い、何と抗ってきたのか。日本の女性たちが繰り広げた性の戦いの歴史を、1886年を起点にして歴史をおいかけるフェミニズムの基本中の基本の一冊。
作家笙野頼子さんへのインタビュー、松田青子さん、柚木麻子さんなど、女性たちのつながりや、その悔しさ、フェミニズムを自らの作品に描いてきた現代の作家たちのエッセーをはじめ、公娼制度に対する戦い、売春防止法を巡る戦い、レズビアン運動史、リプロダクティクヘルスアンドライツのこと・・・女性たちの戦いの現場を、研究者、専門家、福祉家たちが書き下ろして下さいました。
フェミとは決して「新しい」思想ではありません。いや、むしろかなりの老婆の顔をしている。だけれど、私たちはいつも、フェミを「新しいもの」「自分たちこそがうまくやれるもの」のようにして考えている。そんな女の縦の分断から解放され、歴史を見つめ、私たちの先輩がどのように戦ったかを知る一冊です。

<前書きより>
 フェミニズムとは、女の悔しさと祈りが生んだ思想です。
 自由に生きたい、女友だちがほしい、旅がしたい、思う存分仕事をしたい、好きな人と結婚したい/誰ともしたくない、意見を言いたい、自分の部屋を持ちたい、本を読みたい、学びたい、子どもを産みたい/産みたくない、これ以上奪われたくない、これ以上諦めたくない、自由がほしい。
 前を歩いてきた女性たちの、そんな祈るような想い、人生を変えるためにあげた声、女たち一人一人の日々の戦いがフェミニズムの言葉を編み続けました。それはもちろん過去の話ではなく、男女平等社会とは決して言えない今も、フェミニズムは現在進行形で女たちの心を捉えています。
 「日本のフェミニズム」という時、誰の顔を、またはどんなことを、あなたはイメージするでしょうか。
 この本では、日本のフェミニズムを、1886年(明治19年)に設定しました。矢嶋楫子をはじめ56人の女性たちが、日本で初めての女性団体「東京基督教婦人矯風会」(以下「矯風会」)をたちあげた年です。
 明治19年といえば、明治維新の混乱が一段落し、憲法が成立し(M22年)、第一回帝国議会(M23年)が開催される前夜。近代国家としての体裁が整う一方で、女性が政治、司法、経済、教育、あらゆる公の場から明確に排除されていく時代です。矯風会はそのような時代に抗うように女性だけで集まり、社会に向かって、公娼と妾の廃止と禁酒を求めて声をあげました。
 今の時代の私たちからすれば、男女対等の一夫一婦を求め、禁酒を求め、男女共の貞操をうたった彼女たちの運動は、保守的なものにうつるかもしれません。実際に矯風会の活動を「性産業で働く女性を下に見ていた保守的運動」と批判するフェミニストも少なくありません。それでも、夫が妻を殺しても罪にならないような時代を体験した女性たちにとって、男女対等の夫婦関係がどれだけ尊い価値だったかなど今の価値観では想像もできない。また、矢嶋楫子をはじめ矯風会に関わった女性に、夫の酒乱やDV、女性関係に苦しんだ当事者が少なくなかったことは、彼女たちの運動の切実さを物語ります。 
 矯風会が発行する日本初の女性だけで編集した雑誌「婦人新報」の創刊号には、「醜業婦は我らが姉妹なり」という彼女たちの思いが記されています。「醜業婦」といった差別的表現するしかない時代の制約があっても、それは女たちの女たちへの手を差し伸べるシスターフッドの運動でした。遊郭から逃げる娼妓を時に匿い、その後の就職支援や、シングルマザーの自立支援施設の設立などに生涯をかけて取り組んだ女たちの戦いは、やはり、どうしたってフェミニズム。女性であるために受ける苦しさに向き合い、性の尊厳を求めた戦いです。
 さて、フェミニズムに「国境」はあるのでしょうか。いえ、ない、と私は思う。2017年ハリウッドの女性たちがセクシュアル・ハラスメントに声をあげたことも、インドの少女がバスの中で暴行され殺された他事件も、私たちの生きる性とつながっている。それでも敢えて「日本のフェミニズム」と名付けたのは、性に関して、この社会が痛みに鈍くなっているような危機感を持つからです。
 性の戦いの口火が落とされてから130年、明治時代の公娼は1946年GHQが禁止するまで続きます。それは当然、日本軍「慰安婦」問題に結びつき、戦後70年以上経っても未だに私たちが解決できていない問題として存在しています。売春防止法は1956年に成立しましたが、その後も男性が性を安全に気軽に性を買える文化は全く変わっていません。断言できるのは、やはり、この国で男の人の性は、過剰に甘やかされてきたこと。そしてこの国で女性として生きることとは、どのような体験なのか目をそらさずに言葉にしていきたいと思うのです。
 そのような思いから本書の企画は始まりました。これ以上先延ばしにしてはいけない、そんな課題をぎゅっと詰めた2017年の緊急出版です。(北原みのり)

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