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UK SAMBA~イギリスのお産事情~ 第5回「女性に危ない避難所」(前編)~解消されるのはいつの日なんしょ?~

おざわじゅんこ2024.02.26

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災害でより多く犠牲になるのは弱者化されたマイノリティや女性です。男性と比べ、女性・子ども(男児含む)は災害時の死亡率が14倍という調査もあります参照。調査では、女性の社会的・経済的地位が高い国ではこの差が小さくなり、女性の地位が低い国ではより大きくなる、ということが明らかになっています。つまり女性が差別され周縁化されている場所、例えばジェンダーギャップが非常に大きく、かつ災害の多い場所ではこれはとっても身に迫る問題です。あら? それって日本だわ?

避難が必要なとき、その避難した先で女性と子どもが安全に過ごせるか、というのは、この男性対女性・子どもの死亡率の違いに直結した問題です。避難している場所が安全でないとき、女性と子どもはそこを出て、さらに危険な場所に行かざるを得ないこともあります。
避難の場所が男性中心に運営され、それにより問題が生じているはなしはよく聞きます。例えば使い捨て月経用品の配布など。使い捨て月経用品を日頃使わないひとには、これらがどれくらいの頻度でどれくらいの量、必要なのかわからない。避難所の物資の分配の担当者が男性のとき、使い捨て月経用品を「公平に」一人一つずつ支給するなんて素っ頓狂なことが起こったり参照
わからないときは、当事者の女性に訊けばよいだけのはなし。とはいえ災害時のリーダーシップの問題は普段のリーダーシップの問題と地続き。普段から男性中心で対話の基盤がないところに、急に女性の意見を起用しようなんてことは起こり得ません。

災害時には性暴力が深刻化します。DVも激化します参照。新型コロナウィルスでもそれは見られました(参照)。すでに能登でも性犯罪がありました(参照。メディアは長らく災害時の性暴力の実態を隠してきました参照)(参照。女性専用ホットラインにかかってくる被災地からの相談の半数以上が性暴力の相談だともいいます参照
こういった犯罪を防止するためと被害の不平等を是正するためには女性こそ防災・被災計画の中心になる必要があります。内閣府男女共同参画局もそういうとります参照。あーでもこの内閣府「男女共同参画」局…女性差別撤廃と言えてないところからもうなんかごまかしを感じちゃうよね?
避難所運営の意思決定の場に女性がいることで、女性と子どもの安全に配慮したうえでトイレや授乳場所を設置することが出来ます。Reasonable adjustment は例えば介助・介護が必要なひとや性的マイノリティのひとらの権利でもあります参照。いろんなひとのニーズと権利は地域の防災のガイドラインに文言として明記される必要があります。そしてそのガイドラインは防災備蓄品の一番最初に見えるところに置いておく。性暴力被害相談窓口のポスターもすぐ貼れるようにする。ガイドラインの共有はふだんから必要ですよね参照

そもそも避難所っておかしくないですか。体育館的なところに集めて雑魚寝とか。あれって健康で文化的な最低限度の生活じゃない。つまり雑魚寝避難所は違憲。違憲はいけんですよね(駄洒落1)。緊急時こそ! 人権が中心におかれなければなりません参照
日本で雑魚寝なぞ、アイデアだけで恐ろしいです。1995年の阪神淡路大震災の教訓はずっと生かされなかった。2011年の東日本の震災のときに、絆がどうのこうの言って段ボールの間仕切りをさせないような避難所が存在する国ですよ。雑魚寝の避難所で人々に二晩以上過ごさせる、それもこれも、無自覚な男尊女卑の現れです。無邪気に女性軽視、そんで性暴力をなかったことにする、っていつものあれね。
だってわかってるんですよ、性暴力増えるってこと。
なのにそれを積極的に防がないってのが、むしろかなり積極的な女性の迫害。もっと実際的Practicalな介入が必要です。プライバシーの確保・見回り・広報・性暴力ワンストップセンターの開設。大人向け包括的性教育、被災地でこそ必要なんじゃないか?
性暴力予防のために、女性にとって特に危険な雑魚寝の状態は早急に解消して、プライバシーを確保できる避難先を提供するべきです。人々の暮らしの「すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進」する責任は国・地方自治体にあります。それを緊急時ってことを盾に誤魔化してるから、周縁化されてる人は災害自体だけでなく避難先でも危険に晒される。災害時に露呈するのは、普段の暮らしも女性にとっては別に安全なんかではなかった、という決定的事実です。

元旦に起きた能登の地震、避難所で暮らしている人は二月現在でも約1万人もいるそうです(参照)。自分の選んだ場所に、自分の選んだ人と一緒にいることはわたしたちの基本的人権ですが参照、今もそれが侵害されたままなひとがそんなにたくさんいるなんて、本当に辛い。日本はやっぱり地震が多いです。どうしたっていつかどこかで地震が起きる、これはもうわかってること。なのに原発建てるのって何なんでしょうね。さらに気候変動が要因の大雨とかそれによる地滑りとかまあいろいろ増えています参照
自然災害はとても辛いですよね。突然だし無力感と恐怖に襲われます。そして、わたしたちは自然のことだからしょうがないよねー、と誤魔化されている。被害を防げないって、どういうことでしょう。「自然」とかいうけどそれって自己責任論? わたしには人災ばっかりに見えます。
被災地の支援、NPO も地方自治体も一生懸命で、尊がられてますね。
ほんとは支援を受けてる側が己の権利を主張できるようにEmpowerすることまでが支援です(参照43P)。家に帰るまでが遠足です。遠慮の上に成り立っている被災地支援は、目的地についてお弁当食べようかな、ってくらいまでしか行ってないのかも。やっぱりうちらには#MeTooが必要。権利の主張は普段からちょくちょく練習しておきたい。緊急時に急にできるようになるわけないです。

わたしたち、随分金持ちになりました。トイレは便座が尻を温めるのみならず蓋も自動で開いたり、月面になんか送ってみたり、いろいろ洒落たこと出来るようになっておめでたいですね。その2024年にもなってまだ避難場所=雑魚寝なんて許せません。救済のシミュレーションだってもっとできるんじゃないのかな。万博総額1647億円トマホークに2540億円軍事費8兆円。能登の復興支援予算64億円って本当ですか? 甘く見られたもんですよね。
被災地をちょびっとしか支援しないのは被災地にいる人々の我慢強さに行政が付け込んでいるから。もちろんほかの人らの無関心にもつけ込んでいる。無関心はメディアに作られる。避難所で特定の人がより苦しむ理由は、災害時を視野に入れた平等で多様なコミュニティづくりをふだん行政が怠っているから。これらは次の防災の責任の所存も明らかにしない、行政の怠慢を許すことに繋がっていると思います。
そしてそれは、被災地の性暴力啓発ポスターが、性暴力防止でなく、「声をあげて!」「一人で悩まないで!」という被害者に行動を促す、頓珍漢な方向を向いて責任転嫁していることと共通しているように、わたしには見えるのです。

ところで現在私が住んでいるイギリスは日本と比べ断然自然災害は少ないのですが、2017年の夏に西ロンドンで火災がありました参照。1974年築の24階建て区営住宅に、外装のために2015年につけられたパネルは、なんと可燃性のものでした。一家屋の台所家電製品の発火が窓から外装パネルに移ったことで建物全体があっという間に火に包まれ、消火には24時間以上がかかりました参照。避難経路が一つしかなかったこと、当初住民には避難せず家で待機するように指示していたことなども災いし、死者数は70人以上とも120人以上ともいわれる凄惨な人災でした参照。(人種と格差差別の縮図のようなこの火災の責任を問う裁判は泥沼化しており参照日本の福島第一原発事故裁判を彷彿とさせます参照
火事が始まったのは夜でした。焼け出された人のなかには近所の家族や友人の家に直接行けた人もいましたが、それ以外の人は公会堂や信仰の建物などの床やいすで朝まで過ごしました。区はその日から家族友人などの家に行けない人のために、一時的住居(宿泊施設や家屋)を提供し始めました参照。当時近所に住んでいたわたしにはそれなりのPost Traumatic Stress Disorder的な鮮明な記憶があります。近所のスポーツジムにある室内テニスコート4面が避難者ではなく全国からの支援物資で埋め尽くされていた光景は、そのひとつです参照。支援物資整理を手伝ったとき、新品の毛布などに紛れて、汚れた服やごみにしかならないものがあったときのなんとも複雑な気持ちも覚えています。うえーん。

きっと世界共通なんですよね、この感じ。被災者を軽く見る、施していい気持ちになりたい、わたしたちにはそういう側面がある。そしてそれが女性や子どもやそのほか配慮が必要な被災者のニーズと権利を無視することになる参照。自分の自治体に備蓄している母乳代用品の消費期限が迫っているときに、あ、あの被災地に回しちゃお、とそのものだけを送る、そういう姿勢にも通じるものを感じます。困っているんだったら黙って有難く受け取れ、とでも言いましょうか。そこまでの悪意ではないかもしれません。でも、目先の善意は誰のためのものか、よく考えたいよね。

離れたわたしたちにできることはなんでしょう。
助け合いたい気持ちの表れとしての物資支援。毛布や使い捨て月経用品・使い捨ておしめに並んでよく見かける母乳代用品(粉でも液体でも)。母乳代用品を物資として送ること、この支援は女性の声が無視されていては無意味でむしろ逆効果です。このこと、もっと知られる必要があります参照

後編に続く。

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