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「コロナウイルス感染が広がったイタリアの二つの地域、ロンバルディア州とヴェネト州から帰国した子どもは、保育園、小学校、中学校、高校に帰国後14日間来てはいけない。中国、マカオ、香港、シンガポール、韓国も同様である」
2月の休暇が開けて初日、24日の月曜日の晩、息子の高校から連絡が入った。

イタリアで22日、コロナウイルス感染が215人に及び、そのうち死亡が5人に達したというニュースが流れた後、到来する危険のあるエピデミックに備えてフランスの保健省が取った措置のひとつだ。
他にも、コロナ肺炎患者を受け入れられる病院の数を増やす。現在大学病院38カ所が確保されているが、これにSamuを要する病院を加えて全国で70カ所、1県に少なくとも1カ所は確保するとオリヴィエ・ヴェラン保健相は首相の了解を取った。
また、現在は日に400件しかできないテストのキャパシティを数千件に上げるため、テスト機能を備えた衛生試験所を増やす。感染予防のためのマスクも増産するという。

2月24日時点では、フランスでコロナウイルスによる死者は1名、回復した患者が11名だった。その数からすれば過剰とも思える警戒ぶりに思えたが、国境の向こうの隣国で感染が広がれば、国内に感染者は現れるだろうと考え、速やかに対策が立てられたことに驚く。
案の定、3日後には死者も1名増え、入院患者が24名、回復した患者数が12名になった。

イタリアでは、感染した二つの地域を封鎖し、およそ5万2000人が地域外に出られなくなっている。感染者が現れると即座にミラノのスカラ座を閉め、ベネチアのカーニヴァルを中止するなど迅速な動きを示した。

感染者が出ているのにマラソンを中止にしないで新たな感染者を出したり、クルーズ船の感染者の治療に当たった職員を検査もせずに元の職場に戻して感染を広げたりする日本のダラダラした動きとは対照的だ。日本はどこまで危機感がないのだろうとその落差に驚く。

オリンピックをやりたいならやりたいで、感染者を出さないように真剣に取り組むことはできなかったのだろうか。

私はフランスの学校から送られて来た危険ゾーンの国のリストの中に日本が含まれていないことに少々の不安を持った。フランス人たちは日本のコロナの状況をあまりよく知らないのではないか。日本の24日時点で感染者は126人だそうだけれど、検査を受けた人の数も、明らかにはされていないが1000人以下であるようだ。世界中で警戒されている韓国の感染者数は25日時点で977人と日本のそれを上回るが、検査数も4万人を超えている。日本では、症状が出てコロナウイルス感染が疑われても、PCR検査を受けたれない人が沢山いると聞いている。4万人検査したら、少なくとも韓国と同じくらいの数字は出るだろう。そうなれば世界的に警戒されて良いレベルのはずだ。検査数が少ないために日本の感染状況が低く見積もられて、諸外国が当然すべき警戒を怠ってしまえば、日本からウイルスが世界にばら撒かれることになる。具体的に言うなら、なぜ韓国で休暇を過ごしてフランスに戻って来た生徒が2週間学校に行ってはならないのに、日本から戻って来た生徒は行ってもいいのか。日本政府が感染数をごまかしているからだ。その生徒がたまたま感染していれば、結局、ウイルスは学校に(ひいては地域に)広まってしまう。そしてフランス政府がとった警戒措置は残念ながら無駄になるだろう。

世界中が協力しなければ、パンデミックは防げない。一番重要なのは、大規模な検疫を実施して、情報を国内でも、また世界と共有することではないだろうか。
日本人はあんなにも「迷惑」をかけることが嫌いなのに、ここまで大きな迷惑になると、かけても構わないと思うのだろうか。

3月2日、新しいお知らせが学校から送られて来て、危険地帯から帰還した生徒の自宅待機は解除された。3月1日時点で、感染は12州、130人に広がっている。特に、パリを含むイル・ド・フランス地域圏と他2地域圏で10人以上の感染が確認されている。感染が広がってしまった現在、危険地帯から帰還した生徒の自宅謹慎という感染防止策には意味がなくなったというのが理由である。

ここに至って政府は、パリ・ハーフマラソンやパリ・ブックフェアを含む、5000人以上の集まるイベントをすべて中止した。感染者の多いオワーズ県とオ・サヴォア県のいくつかの市では学校が閉鎖されている。

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中島さおり(なかじま・さおり)

エッセイスト・翻訳家
パリ第三大学比較文学科博士準備課程修了
パリ近郊在住 フランス人の夫と子ども二人
著書 『パリの女は産んでいる』(ポプラ社)『パリママの24時間』(集英社)『なぜフランスでは子どもが増えるのか』(講談社現代新書)
訳書 『ナタリー』ダヴィド・フェンキノス(早川書房)、『郊外少年マリク』マブルーク・ラシュディ(集英社)『私の欲しいものリスト』グレゴワール・ドラクール(早川書房)など
最近の趣味 ピアノ(子どものころ習ったピアノを三年前に再開。私立のコンセルヴァトワールで真面目にレッスンを受けている。)
PHOTO:Manabu Matsunaga

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