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スクールフェミ 年賀はがきを書くことの意味

深井恵2021.12.15

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今年も授業で年賀はがきの書き方を扱った。小中学校時代に年賀はがきを書いたことのある生徒は結構いたが、友だちに何枚も出すというよりは、学校で1、2枚書いた程度のようだった。

念のために、表書きから説明する。以前、年賀はがきを扱った際に、郵便番号を書く欄に電話番号を書こうとした生徒がいた。相手の郵便番号、相手の名前、相手の住所、自分の住所、自分の名前、自分の郵便番号。字の大きさも説明する。1番大きく書くのが相手の名前で、次は相手の住所、自分の名前は小さめに……などと押さえていく。
自分の住所を書けない生徒もいる。市町村名をかけても、番地やアパート名など細かいところまでは覚えていないのだ。かつてクラス担任をしていたとき、生徒が書いた住所を頼りに家庭訪問をした際、玄関でインターホンをして「はーい」と先方が出てきたときに、生徒とは無関係の人が出てきて驚いたことがある。その生徒はアパートの部屋番号を間違えて覚えていたのだった。
電話をかけてもその生徒の自宅にはつながらず、こうなったらイチかバチかだと、覚え間違いをしそうな部屋番号を推理して訪ね直して、ようやく生徒の自宅を探し当てた。手紙もはがきも出さなければ、子どもたちが自分の住所を書く場面は、日常生活において極めて少ない。

一度経験すれば、次回書くときに迷わず書けるだろうが、日常生活で手紙やはがきを書く場面がほとんどなくなってきている現在、一つ一つ丁寧に確認していく必要がある。
成績発送時に、生徒に保護者宛てで封筒の表書きをさせれば、自分の保護者の下の名前がわからなかったり、正しい漢字で書けなかったりすることもあった。子どもが保護者を下の名前で呼ぶ機会はないからだろうが、自分の保護者の名前くらいは書けてほしいところだ。

筆者が子どもの頃、年賀はがきには相手の住所の次に相手の保護者の名前を書いて、「〇〇様方」と記して、宛名に友だちの名前を書いていたので、同級生の保護者の名前も漢字で正しく書く機会があった。個人情報の扱いが緩やかだった頃だったし、電話帳にも掲載されていたので知ることができた時代だったこともある。
授業では、年賀状を出せない場合についても扱った。自分が喪中だった場合と相手から喪中はがきが届いた場合。喪中はがきの書き方は省略。喪中はがきをもらった場合、どう対応するか。
相手が喪中でも、年賀はがきを出してもかまわない。年賀はがきを出すのがはばかられる相手の場合は、松の内が終わってから寒中見舞いを出す方法や、相手が仲の良い友だちなら、年賀はがきの代わりに、クリスマスカードを送ったり、普通のはがきを出したりという方法もあると思うよと話した。
実際、筆者も20代の頃は喪中はがきをくれた友だちにはクリスマスカードを出していた。30代以降は、寒中見舞いにしたり、年賀はがきは友だち使うものの、文面に「あけましておめでとう」などと入れなくなって以降は、喪中の相手にもそのまま出していたりしている。

昨年母が亡くなり、筆者自身が「喪中」だったが、筆者に対して年賀はがきをくれた人が40人ほど、寒中見舞いをくれた人が数人。「喪中の人には何も出さずにそっとしておく」ケースが大半だった。毎年100枚超の年賀はがきをやりとりしているが、今年の正月ははがきが激減した。
子どもの頃は年賀状が届くのが待ち遠しかった。届いた年賀状を何度も読み返したりもした。大学を卒業して数年後あたりまでは、友だちも手作り感のある年賀はがきをやりとりしていた。その頃、母が「あんたたちの年賀状が面白くていいね。年をとると味も素っ気もない年賀状になるからつまらない。表書きも裏も印刷で手書きが1字もないと、うれしくもなんともない」などと言っていたことを思い出す。大学時代のある恩師は、「正月は届いた年賀はがきに相手を思いながら、1枚1枚手書きで返信を書く」とおっしゃっていた。

いまでは、当時の母の気持ちや恩師の思いがよくわかる。社会人になり、結婚や出産・子育てに追われる年代になると年賀状を楽しく書く余裕はなくなってくる。手書きの文字はほとんどなくなり、表も裏もすべて活字で占められた年賀はがきがほとんどだ。
筆者は子育てに追われはしなかったが、世の中がきな臭く、戦争が近づいている風潮が進んでからというもの、「あけましておめでとう」などと書く気がなくなって、今ではもっぱら、年に一度の平和問題提起(?)のような内容のはがきと化している。
年賀はがきのやりとりをしている相手は、大半が小中高校大学時代の友だち・恩師、次いで若かった頃の職場の同僚、親戚が2人。携帯電話もメールもない時代からの付き合いがほとんどだ。携帯電話の番号もメールアドレスも知らない、はがきが唯一のつながる手段である大学時代の友人もいる。

だが、少しずつ、返信が減ってきている。亡くなった恩師や「年賀はがきは今年で最後にします」と宣言をしてやめた友だち。宣言なくフェードアウトした人も何人かいる。LINEやメールの影響で、年賀はがき自体をやめる人も増えているやめ、いつでもつながれるから、わざわざ年賀はがきでつながる必要がなくなっている。加えて、相手の個人情報を教えてもらうハードルが高くなってもいる。年賀はがきの値上がりによる、経済的な負担も大きい。コロナが「年賀はがき離れ」を加速している気がする。
先日、70代の知り合いが「あと2年で年賀状を出すのをやめる」と言っていた。私の母も亡くなる2、3年前、「もう年賀状は出さない」と決めて、年賀はがきをくれた人にも出さなかった。

さて、自分はどうするか……。100枚の相手の住所を書くのが面倒な気がしなくもない(ここは、こだわって手書きを続けている)。だんだん老眼が進んできたし……とも思う。だが、相手の名前や住所を1枚1枚書きながら、友だちとの小中高校大学時代を思い出したり、今頃どうしているだろうか……と思いをめぐらしたりする時間もなかなか楽しい。教育学部の学生だった頃を思い出すと、教員として「初心忘るべからず」などと身の引き締まる気分にもなる。
今年もとりあえず100枚、年賀はがきを購入した。文面をどうするかが悩ましい。昨年の喪中はがきには、追伸用の文言に「核兵器拡散防止条約2021年1月22日発効」と添えた。今年はどうしたものか。このコラムの締め切りの次に、年賀はがきの締め切りが迫っている。

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