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続「行ってきました、婦人相談所」

深井恵2006.09.16

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 出張三昧の夏休みも終わり、めっきり秋めいてきました。朝晩は涼しくなり、体調をこわしてしまう人も多いようですが、みなさん、いかがお過ごしですか?

 先月の婦人相談所での社会体験研修。婦人相談所の抱える課題の大きさに圧倒された状態で8月コラムを終わっていましたが、この一ヶ月間、ゆっくり反芻して学校教育に何ができるか考えてみました。

 私たち教職員がDVについて考えなければならないのは、大きく分けて二つの場合があろうかと思います。一つ目は、生徒がDV家庭で育っている場合。そしてもう一つ目は、生徒自身がDV当事者(デートDV当事者)である場合。

 まず、一つ目の「生徒がDV家庭で育っている場合」。
さまざまな機関の調査で、配偶者からのDV被害体験を3割の女性が体験していると言われています。単純計算して、1クラス40人の生徒の家庭のうち、3割がDV家庭となると・・・40×0.3=12・・・1クラスに12人の生徒が、DV家庭で育っているおそれがあるということになります。

しかし、家庭訪問やPTAのクラス懇談会で、家庭のDVが話題になることはほとんどありません。生徒の学校での様子から判断して教職員が気付く以外に有効な方法はなさそうです。授業中に元気なく突っ伏している生徒に「なんだ、その態度は!!」と怒鳴りつけるだけの教員では、生徒の内面の傷に気付けないでしょう。自戒も含めて、教職員は生徒の心の動き・変化に敏感であらねばならないと思います。

改正児童虐待防止法で、DV加害にさらされる家庭環境に子どもがおかれる場合も虐待を受けているとみなされるようになりました。DV家庭で育っている子どもへの心のケアも欠かせません。また、生徒自身が親からの身体的・性的・心理的虐待を受けている可能性が高く、トラウマを抱えている場合があることも押さえておかねばなりません。
二番目に、「生徒自身がDV当事者(デートDV当事者)である場合」。

こちらも、まずいち早く教職員がちょっとした生徒の様子からデートDVに気付くかどうかが問われてきます。生徒の身の安全を確保し、学習権も保障する必要があります。

この最初の気付きが大切だと言われていますが、研修を積みカウンセリング等の技術を磨いても一つ残らず見抜くことはかなり困難だと思います。教職員が見抜くことができない場合も考えて、そしてまた、生徒の高校卒業後のことも考えて、生徒にDVを見抜く目を養っておく必要があるでしょう。束縛されることを「愛情表現」だと勘違いしたり、「自分が悪いから暴力をふるわれるんだ」と誤解させないために、デートDVに関する正しい知識の伝達は不可欠です。
DV被害にあった時には相談する機関があること、DVは暴力行為であり犯罪行為であること等も伝えておく必要があるでしょう。また、生徒が被害者にも加害者にもならないように、ジェンダーの視点を磨く人権教育や、自分の感情を表現する際に暴力に訴えない方法で表現する術を身に付けさせたいものです。

さらに、婦人相談所、児童相談所、教育委員会、警察、弁護士、カウンセラー、ケースワーカー等との連携も視野に入れておく必要もあります。学校だけでは解決できない問題である場合も多いからです。

以上、思いつくがままにつらつらと考えをめぐらせてみました。毎年およそ130人の女性がDVにより殺されている日本の現状に少しでも歯止めをかけ、生徒を被害者にも加害者にもしないために、自分にできることからとりくんでいこうと決意を新たにした初秋でした。

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深井恵(ふかい・めぐみ)

九州某県の高校日本語教員。
日教組の「教え子を再び戦場に送らない」に賛同して組合加入。北原みのりさんとは、10年以上前(ジェンダー・フリー・バッシングがひどかった頃)に組合女性部の学習会講師をお願いして以来の仲。

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