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特定秘密保護法の成立、闘いはこれから

深井恵2014.01.01

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この年末年始、知りうる範囲でも不穏な動きがいくつかあった。みなさんご存じのとおり、12月23日(天皇誕生日)、南スーダンで国連平和維持活動に参加していた陸上自衛隊の銃弾1万発が韓国軍に譲渡された。武器輸出三原則がなし崩しにされた格好だ。マスコミ報道された菅官房長官の談話によると「韓国の隊員や避難民の生命・身体保護のために一刻を争う。韓国の保有する小銃に手強可能な弾薬を保有するPKO部隊は日本のみ。PKO部隊以外への移転が厳しく制限されている」という理由だそうだが、韓国軍がそんなお粗末な事態を起こし、自衛隊に要請するだろうか。何とも腑に落ちない話だった。
この銃弾提供、「国家安全保障基本法案」の先取りではないかとも考えた。「国家安全保障基本法案」の第12条(武器の輸出入等)にはこうある。「国は、我が国帯国際社会の平和と安全を確保するとの観点から、防衛に資する産業基盤の保持及び育成につき配慮する。」「2
武器及びその技術等の輸出入は、我が国及び国際社会の平和と安全を確保するとの目的に資するよう行わなければならない。特に武器及びその技術等の輸出に当たっては、国は、国際紛争等を助長することのないよう十分に配慮しなければならない」。武器輸出の既成事実を作り、国民を「軍事・軍隊(事態・用語)慣れ」させるような狙いはなかったか。小出しにすれば「またか」と思い、だんだん感覚が麻痺してきて、気がついたら「自衛隊」は「自衛軍」に、平和憲法も「改憲」されてしまわないか・・・と、最悪のシナリオまで頭をよぎる。年が明けて1月7日には国家安全保障局が発足した。「安全」とは聞こえがいいが、「危険」と隣り合わせなのは言うまでも無い。
年末、「特定秘密保護法との闘い」と題した講演を聴いた。地元の弁護士が講師だった。「秘密保護法との闘いを国家安全保障基本法阻止の闘いに発展させることこそ重要」とのお話だった。その講師によると、まず、決定的なのは憲法と矛盾しているということ。国民の知る権利、国民主権と両立しないということだ。日本国憲法前文には「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように決意して、この憲法を確定」しており、この「政府の行為」を知らなければ、国民が政府の行為をコントロールすることはできないという指摘。また、裁判公開の原則が、「秘密保護」の立場から侵害される。どのようなことが「秘密」なのかを明らかにしなければならないのに、「秘密」だからということで裁判が公開されずに裁かれることになる。
この「憲法と矛盾」しているがゆえに、現行の憲法がある限りまともに実施させない闘いは可能だという話には、元気が出てきた。不当な刑事弾圧と闘う基礎的に知識を身につけ、現行憲法の下で徹底的に闘うことに勝ち目があるということだ。「任意捜査はあくまで任意なのだから、一切応じない自由が保障されている」ということ。たとえ強制捜査になっても、口を割らない自由(黙秘権)が憲法では保障されており、公開裁判で闘うことも可能。現行憲法下では秘密保護法は実質的には機能しないという確認がたびたびあった。つまり、現時点でのこの法の目的は、実際に適用することよりも、むしろ、マスコミや国民を萎縮させ、沈黙させることにあるということで、この法律を形骸化させるためには、やはり声をあげ続けることが大切だという。特定秘密保護法の先に、国家安全保障基本法を成立させようとする動きがあることを肝に銘じて、置かねばなるまい。
この講演で、講師が『ある北大生の受難 国家秘密法の爪痕』(上田誠吉著
花伝社)という本を紹介していた。これは、かつての軍機保護法の下で、外国人の恩師に旅の話をした学生に「スパイ」容疑がかけられ、懲役15年の刑に処せられた、実際に起きた話だ。そんな事件があったことを、今回話を聴くまで全く知らなかった。同じ過ちを繰り返させないためにも、しっかり学習していかねばならないと痛感した。闘いは始まったばかりだ。
講演を聴いたあとの仲間との雑談の中で、「特定秘密保護法」の成立の陰に隠れてほとんど報道されていなかったが、12月6日に衆院本会議で「癌登録法」も成立したと聞いた。その仲間に聞くまで、「癌登録法」という法律が議論されていたことなど全く知らなかった。その法律は、全国の病院に癌患者の情報提供を義務づける一方、その情報に関して「全国がん登録情報等又は都道府県がん情報等に関するがんの罹患等の秘密を漏らした者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」。と罰則まで設けている。ここで懸念されるのは、原発事故後の福島等の癌に関する情報が隠蔽されるのではないかと言うこと。癌が発症していても「原発事故の影響とは一概に言えない」などと逃げ口上を言ってのける輩がいるのに加えて、癌に関する情報そのものが人々の目に触れないことになりかねない。この法律、ほとんどの癌患者・家族が知らないまま、癌患者の情報だけが国に報告されデータとして蓄積されていくのだろうか。患者に「情報提供の同意」を取るとは思えない。何しろ、病院に癌患者の情報提供を義務づけるものだから、その必要はそもそもないのだ。
これらの動き以外にも、今後さまざまな動きがあるに違いない。敵と闘うにはまずは敵をよく知ること。しっかりとアンテナをはって、今年も闘っていこうと決意を新たにした。

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深井恵(ふかい・めぐみ)

九州某県の高校日本語教員。
日教組の「教え子を再び戦場に送らない」に賛同して組合加入。北原みのりさんとは、10年以上前(ジェンダー・フリー・バッシングがひどかった頃)に組合女性部の学習会講師をお願いして以来の仲。

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