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ノーベル賞(物理学賞)にもってかれた「女性活躍推進法案」に注目

深井恵2014.10.08

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私戦予備及び陰謀罪の容疑で北海道大学の学生が公安に逮捕された。初めて聞く罪名だったが、「北大生逮捕」で、思い出したのが、1941年12月に軍機保護法違反で逮捕された北大生のことだった「ある北大生の受難?国家秘密法の爪痕?」(上田誠吉著)。「イスラム国」を擁護するつもりは全くないが、「しようとした」未遂の段階で逮捕されることが、当たり前な世の中になっては危ないだろう。秘密保護法の濫用、公安の「活躍」につながらないことを警戒したい。


安倍政権の目玉の一つ、女性の「活用」を推進する法案に注目していた。当初、報道では「女性の活用」という表現を用いていたが、いつの間にか「女性の活躍」にとって代わっている。最初、「女性の活用」と見聞きしたとき、「誰が女性を使うのか?女性はいいように使われるだけでは?」とツッコミを入れながらニュース番組を見ていた。「活用」ではまずいと判断したのか、最近では「活躍」を多く使用するようになった感がある。

 

 

そして、7日、「女性活躍推進法案」なるものが、厚生労働省の審議会で了承された。法案の中身の詳しい報道を期待して、ニュース番組や新聞報道に注目していたのだが、テレビも新聞も「ノーベル賞」一色だった。計算した結果(?)ではないと思うが、「女性活躍推進法案」も、そして、福島県知事選の告示も、小さな扱いになってしまっている(世間の注目を集めたくなかったかのように)。『美味しんぼ』の単行本の最新刊(福島の真実の続編)が発行されるのも、11月末らしく、福島知事選挙の終わった後だ(このタイミングもいかがなものか)。

 

 

さて、世間ではノーベル賞に注目していても、このコラムでは「女性活躍推進法案」に注目したい。首相の鳴り物入りで登場した法案だ。安倍首相は、わざわざアメリカでもクリントンさんと女性の活躍について話をしていたらしいが、どんな意図があったんだか・・・。あちこちでアピールして、報道させて、統一地方選挙にむけて少しでも女性票を増やしたい一心からだろうか。

 

 

この法案で数値目標の設定が義務づけられるのは従業員300人超の大企業。300人以下の中小企業には努力義務の扱いである。これで、大半の企業は数値目標から逃れられることになろう。せめて、人事院勧告の調査対象並の、従業員50人以上の企業にすればいいのに。そして、肝心の数値目標はと言えば、中身は企業任せという。この法案審議の際、数値目標の義務化に対して、経団連側が反対していたことから、一旦は数値目標の義務化は見送られることになっていたらしいが、一転、数値目標の義務化が盛り込まれたということだ。しかし、数値目標の中身を企業任せにしたのでは、女性の登用が進むとは到底思えない。更に、違反しても罰則はないという。かつて、「男女雇用機会均等法」が努力義務で、罰則もなかったように、今回の「女性活躍推進法案」も、骨抜きの、絵に描いた餅に終わりそうな気配。「女性の活躍」を連呼されて、女性たちが活躍できる気分になっても、現実はそう簡単にいかないだろう。OECDの男女平等ランキングで、世界136カ国中105位に甘んじている日本なのだ。

 

 

先日、働くことに関するアンケートをクラスで行った。一日の労働時間や長期的な目で見た働き方について、自分自身の働き方と、将来のパートナーに求める働き方について聞いてみた。まずは、一日の労働について、仕事中心か、仕事と家庭のバランスがとれた働き方か、外では短時間で家庭中心か、外では働かずに家庭のみか。仕事中心を選んだのは(女子9%、男子13%)、バランスがとれた働き方(女子74%、男子81%)、外では短時間で家庭中心(女子17%、男子0%)、外では働かずに家庭のみ(女子0%、男子6%)。仕事中心を選んだ比率と、仕事と家庭のバランスのとれた働き方を選んだ比率が男女で大差ないのが意外だった。専業主夫願望の男子生徒もいた。

 

長期的な労働では、「結婚したり子どもができたりしても働き続ける」を選んだ生徒は(女子70%、男子94%)、「結婚するまでは働く」を選んだ生徒は(女子4%、男子0%)、「子どもができるまでは働く」を選んだ生徒は(女子22%、男子0%)、「働きたくない」は(女子4%、男子6%)。現在の日本社会では第1子出産を機に退職する女性が半数を占めているようだが、70%の女子生徒が「働き続ける」と意思表明しているのは心強い。

 

 

将来のパートナーに対して、どのような働き方を望むかに関しては、男女で差が出た。仕事中心は(女子9%、男子6%)、仕事と家庭のバランスがとれた働き方は(女子83%、男子31%)、外では短時間で家庭中心(女子9%、男子44%)、外では働かずに家庭のみ(女子0%、男子19%)、外では働かずに家庭のみ(女子0%、男子19%)。パートナーの働き方にも、仕事と家庭のバランスを重視する女子に対して、男子は家庭中心を望む傾向にある。ポイントの一つは男子の意識改革か。

 

 

家庭内での男女平等についても聞いてみた。いまの自分の家庭が男女平等かと尋ねたところ、平等だ(女子74%、男子94%)、平等だと思わない(女子9%、男子0%)、わからない(女子17%、男子6%)。平等だと思わない理由は、「男の人が家事をしないから」と複数が回答している。家庭内の男性が家事をしない、男性に家事をさせないことに、差別を感じている女子生徒と、それを差別と感じていない男子生徒の差がうかがえる。

 

 

最後に、「国際社会並に日本社会を男女平等にするために、あなたにできることはどのようなことだと思いますか」と聞いてみた。生徒のさまざまな思いが書かれていた。「差別のことをもっとテレビとかに出したりすると知らなかったことがわかるので、もっと出したほうがいい。もっと差別のことを知りたい」「女性ばかりに家事を押しつけない」「自分が社会に出たときに、男女差別をせずに、子どもができたときなどには、差別の悪さをしっかり教える」「日本は男女平等だと思っていましたが、105位という結果を聞き、自分は子どもを産んだとしても退職せずに働き続けたいと思った。男性も働くばかりではなく、家庭のことや子どものことも考えてもらいたいと思う」「将来自分が結婚して子どもができたときに、男の人にもちゃんと子育てをしてもらえるように、ちゃんと言える人になる。仕事に就いたとき、男の人に何か言われたら、自分が言い返せるように、ちゃんと仕事して、言われないようにする」。


骨抜きの法案より、生徒の思いのほうが、日本社会を変えてくれるだろう。

 

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深井恵(ふかい・めぐみ)

九州某県の高校日本語教員。
日教組の「教え子を再び戦場に送らない」に賛同して組合加入。北原みのりさんとは、10年以上前(ジェンダー・フリー・バッシングがひどかった頃)に組合女性部の学習会講師をお願いして以来の仲。

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