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被災地の若年女性の声……『TOHOKU GIRLS’ VOICES』…見えない=存在しない/問題が無いわけでは無い

具ゆり2015.04.09

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4月、春の訪れです。
受験、卒業、入学、就職など、苦しい受験戦争や就活を潜り抜けてきた若者たちにとって、それぞれに新しい生活が始まる時期ですね。
最近、そんな10代女子のクライエントとの新しい出会いがあり、時間を共有し始めたところです。進路、親とのあつれき、葛藤、モラトリアムにゆれる心情に向き合います。
さて、先回は被災地の女性相談について書きました。
その被災地で報告書『TOHOKU GIRLS’ VOICES』がまとめられました。
私が関わったわけではないのですが、ぜひ紹介したくてほんの一部だけど取り上げます。
「震災から4年『忘れられた世代』若年女性20人の声を聞くプロジェクト」(東日本大震災・被災地の若年女性調査と提言)(発行:(特非)オックスファム・ジャパン)
東日本大震災当時、10~20代だった「若年女性」たちに焦点をあて、その生活や心身に及ぼした影響を、直接インタビューによって明らかにした画期的な調査と分析、提言です。
<はじめに>(以下抜粋)、
「声が聞こえない、見えない=存在しない/問題が無いわけでは無い」
「若年女性は、年齢が若く健康であるため、一般的には行政の支援対象とは見なされません。しかし、彼女たちは震災後には増大した家庭内のケアワークを負担したり、職を変える必要に迫られたり、進路変更を余儀なくされたり、引っ越しせざるをえなかった等、その後のライフコース選択に大きな影響を受けています。」
「にもかかわらず、そうした経験や困難について、彼女たちが積極的に語ることはまずありません。」
「彼女たちは一様に、『自分は大丈夫だ』『自分は他の被災者と比べて恵まれている』『困っていることは特にない』と発言しています。」
調査の目的~なぜ若年女性に注目したのか? その2つの理由は
① 特別なニーズを持つグループにもかかわらず、彼女たちの声が社会や政府に届きにくいこと
② ひとりひとりの力が活かされる地域のために、彼女たちが重要なアクターであること
<以下、表紙裏面一部抜粋>
*「避難所で過ごした夜は布団や食べ物が足りなくて、小さい子とかお年寄り優先にして、中学生のうちらは食べていなかった。」(20代、専門学校生)
*「『震災はもう終わった』みたいになっているけど、まだ続いている。」(10代、高校生)
*「通学先で被災し、家族が無事なのかもわからないなか1週間友達の家に避難。私が泣いたらその家族に迷惑かかるって思って。やっと家に帰れてお父さんの顔を見てはじめて号泣した。」(20代、専門学校生)
*「政策を作っている人はもっと現場を見てほしい。来ないのに、何も見てないのに判断するのはおかしいと思う。」(10代、高校生)
*「震災がなければ東京に行くという選択をしていたかもしれない。その意味では震災は大きかった。今では地元に向き合い、子どもたちを支えていきたい。地元出身者だからこそわかる課題もあるし。」(20代、教員)
http://oxfam.jp/whatwedo/cat14/cat/post-40.html
日本は2014年3月、第58回国連婦人の地位委員会(CSW)において「自然災害とジェンダー」を提案し決議されており、そこでは思春期の女児への配慮や女性の参画の重要性を強調しているのです。
インタビューの「生」の声はそのニーズや生きづらさ、癒えない心の傷がまだ残ることを物語っています。おとなたちが気づけなかった、見落としていたことがちりばめられています。彼女たちのこのような声をどう生かしていくかは政治や行政の課題なのです。
国連開発計画(UNDP)総裁ヘレン・クラーク氏は「減災へ女性の意見反映を」と、大規模災害の犠牲者が「圧倒的に女性に偏っている。男性だけでなく、女性の意見を都市計画などに反映させることが不可欠だ」と言っています。
1991年のバングラデシュのサイクロンで14万人の死者のうち9割が女性、2004年のインド洋大津波の犠牲者も70~80%が女性だそうです。2010年のハイチ大地震の後、女性たちが治安の改善などについて町づくりに積極的に意見を出したことで、「女性が安全に過ごせる地域をつくることは、災害時のリスクを減らすことにつながる」と言っています。
この背景には当然ジェンダー問題、男女間の力の格差問題が絡んでいます。意思決定への参画や資源、情報をどうアクセスするか、すでにある平時の男女間格差が背景にあり、そこを見据えないといけないということです。
女性たちが積極的な発言ができる環境を整えなければ、その声を聴けません。
おまけで・・・
今年の桜は一気に咲きそろったせいか、私はあちこちのお花見を堪能しました。
4月7日朝日新聞に「来年こそは満開の下へ」の見出しで、
「全町避難が続く福島県富岡町の夜の森地区で、約2.5キロの町道沿いに植えられた桜」の記事と写真が掲載されていました。
桜の名所として知られた並木道です。
実は昨年5月末、その頃は若葉だったその桜並木を、私はバスの車窓から眺めていました。バスから降りることはできずに・・。
2014年、福島県郡山市で開催された日本フェミニストカウンセリング学会全国大会、「被災地視察」に参加したときのことでした。
満開の桜の下、帰還困難区域と居住制限区域を仕切っている柵が写っているその写真の中、仕切られた柵のこちら側には人がいます。
桜並木の大部分は、自由に立ち入りができない帰還困難区域に指定されており、現在除染作業は終わったものの「周辺まで除染できず、安全性が確保できない」と、この時期の立ち入りは見送られたそうです。
桜並木はその柵で「分断」され、こちら側は「安全」、向こう側は「安全性が確保できない」といっている。これは桜並木だけではなく、町全体の問題なんだけど・・。
柵の「こちら側」には、避難を続ける住民や観光客が「お花見」に訪れていたようです。
記者さんは「帰還困難」「分断」という現実と「来年こそ」と願う思いのギャップをまざまざと伝えようとしたのでしょうか・・・。
「人間や生き物は住めなくても、桜や花は放射能に負けないんだなあ・・・」。昨年現地で実感した思いがよみがえりました。

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具ゆり(ぐ・ゆり)

フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んで20年あまり。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。

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