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医療の暴力とジェンダーVol.28 種差別について②

安積遊歩2023.07.27

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ピーターシンガーをご存知だろうか。彼は動物の解放を論じた本の中で、「痛みや苦しみを感じているようには見えない重度障害者。少なくとも、表現できていない重度障害者の命より、動物の命の方が救われ、注目されるべきだ。」というようなことをいっている。

彼はそのことによって、障害者運動をしている人たちに、激しい非難を受けることになった。そして、非難される中で、初めて障害をもつ人たちに向かいあったのだろうと思う。しかし世間の反応はピーターシンガーに共感する声が多かった。

私は、正直に言えば、障害者運動に出会うまでは重い障害をもつ仲間が自分の仲間だと思えなかった。どうしても言葉を喋れることや物を考えられること、そしてそれらを表現できることが、人として大事なことでそれができない重い障害をもつ仲間には、ピーターシンガーのように差別的な気持ちがあった。

しかしだからといって動物の解放が障害者解放より、先に大切な取り組むべき社会課題だとは全く思えなかった。ただ自分の健康と肉食による、自然破壊を止めるために少しずつ食生活を変えてきた。今私は、障害を持つ人と動物の解放は、互いに相反する課題だとは全く思っていない。それどころか、重い障害を持つ人の命も動物の命も変わらずどちらも大切なのだと思っている。

どちらかがどちらかより価値があるとかないとか、そういった考え全体が優生思想なのだ。それは命を分けて、命の利用を図ろうとしてくる。

まず動物の命で見てみよう。シンプルにそして残酷に殺して利用するやり方がある。動物を家畜として食べ物にしてしまう肉食。そしてファッションの道具としてベルトや靴や鞄にすること。さらに言えば羽布団やコートなどにして暖を取ろうとすること。

二つ目は殺すこととは真逆の愛情をかけての利用だ。狩猟や牧畜や農耕の中で共に働いてきた動物もいる。また警察犬や私たち障害を持つひとを助けてくれる盲導犬や介助犬など人間の期待に応えて働く動物たち。

そして最もポピュラーなのはペットという存在だ。ペットを飼うということで自分の寂しさから脱しようとする人々。人間は孤独では生きられない。しかしこの社会は人々を孤立させ孤独に耐えきれず、ペットの力を借りて生き抜くこうとする。それは大量消費社会の仕組みに煽られてきた。日本は特に動物の命を消費するペットショップが世界の中でも多い。

コロナ禍となったここ最近には多頭崩壊や残酷なブリーダーの話はほとんど聞かなくなった。しかしコロナ禍で人々との距離がさらに遠くなっているから、ペット産業は密やかに利潤を上げているだろう。

この世界、強烈な優生思想社会の中で障害を持つ人とペットたちの命はかなりよく似たところに置かれている。まずどちらも生産性はないけれど、大人しく管理されることに従っていれば生かしてもらえる。基本的に役に立たない命と言われ、生きているだけで可愛いし、時には迷惑とも言われてしまう。

障害を持つ人は珍しい動物が動物園に隔離されるように、施設に隔離される。ペットのようには家族の中に入れてもらえず、山奥の施設に追いやられることもある。施設の中での障害者も動物園の中の動物たちも、隔離状況で生き延びるための方策は従順と沈黙だ。施設の職員も動物園の飼育員も仕事が終われば自分の時間は自分のものだ。しかし、施設の入所者と動物たちが完全に自由になれる時間はない。私から見れば、彼らのその人生は鉄格子のような優生思想にがんじがらめにされた一生だ。脱施設化が叫ばれても、入所施設には12万人以上の障害者が住んでいる。そして動物園の撤廃がマスコミで取り上げられることは皆無に近い。

そこから見れば家の中にいるペット達はもう少し幸せかもしれない。先ほども書いたけれど愛情という前提で寄り添ってくる飼い主達といればであるが。ただ飼い主達の中には気分屋も多い。驚くことに殺処分されるペットの数は世界の中でも多い。

命と共にいるときに、その存在に飽きたという理由で殺処分にまで持ち込める人間という生き物。さらに言えば食べるための命と可愛がるための命をわけ続けて、顧みることのない人間という生き物。

私は自分が食べられる命ではないことを知っているが、役立たずとか迷惑だとかと言う理由で殺されるかもしれないというところに常にいる自覚はある。役立たずというのは色んな役割をこなせない、担えないと言う意味だ。

私は30歳の時に結婚したいと頑張ったことがあった。ところが家事も育児もできない女は妻でも嫁でも無いのだと罵られた。ついには轢き逃げをして殺すぞとまで脅された。

大事にされているペットを見ている時、私はしょっちゅう思うことがある。今は大事にされているがその価値がないと飼い主が思った時にその存在は一体どうなるのだろうということ。ペットを飼っている人も肉食の人がほとんどだ。豚、鳥、牛は食べる命と決め、凄まじい品種改変により彼らのほとんどは病気だ。病気である家畜を美味しいと食べながら、ペットは絶対に食べない。それどころかペットが病気になれば直ちに病院に行く。そして時に治療に随分のお金がかかっても、大切な命なのだからと助けようとする。

この差別、格差の大きさに私はクラクラし続けている。

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安積遊歩

安積遊歩(あさか・ゆうほ)

1956年2月福島市生まれ
20代から障害者運動の最前線にいて、1996年、旧優生保護法から母体保護法への改訂に尽力。同年、骨の脆い体の遺伝的特徴を持つ娘を出産。
2011年の原発爆発により、娘・友人とともにニュージーランドに避難。
2014年から札幌市在住。現在、子供・障害・女性への様々な暴力の廃絶に取り組んでいる。

この連載では、女性が優生思想をどれほど内面化しているかを明らかにし、そこから自由になることの可能性を追求していきたい。 男と女の間には深くて暗い川があるという歌があった。しかし実のところ、女と女の間にも障害のある無しに始まり年齢、容姿、経済、結婚している・していない、子供を持っている・持っていないなど、悲しい分断が凄まじい。 それを様々な観点から見ていき、そこにある深い溝に、少しでも橋をかけていきたいと思う。

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