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捨ててゆく私 Vol.58「血縁とジェンダー」

茶屋ひろし2008.01.17

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あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします!
三日ほど前に、やっと、ビデオに録っておいた紅白を見ました。やっと、です。私は毎年紅白を楽しみにしています。おもしろくない、とかいろいろ言われていますが、私は好きです。毎回かならずツッコミどころがあるので好きです。それに、紅白でそれをやっちゃっていいの?


といった演出もあります。去年のDJ.OZMAもそうだし、昔に遡ればモックンとか・・今回は中村美津子の頭にドキドキしました。
さて、オカマの日常会話だと、(紅組白組に加えて)桃組やロゼ組があってもいいじゃないの、という話が毎年のように繰り返されているような気がしますが、今回の紅白ではのっけから美川さんで、応援にイッコと振り付けのおじさんが加わって、「今年は桃組ぜったい優勝!」と三人で叫んでいました。桃組というジャンルを、はっきりと本番で打ち出したのは今回が初めてのような気がします。そして紅組から中村中が出て対応するように白組の平井堅が続きマッキーも出てきて、王道の演歌とシンガーソングライター枠とアキバ系の人たちの中に、ジェンダー関係の人たちの場所もちゃんと設けられているように見受けました。

そんななか、中村中は、母親からの手紙を読まれるという演出をされていました。その内容は、中(あたる)を女の子に産んであげられなくてごめんなさい、というものでした。お母様はそのことをひどく気になさっているご様子でした。手紙が読み終わりコメントを求められた中ちゃんは、「馬鹿な人なんですよ」と笑いました。「私はこうして生きているからいいんです」と。
じつは中村みっちゃんの頭より、こっちの中村発言の方にドキドキしました。

それを聞いたとき、私の頭の中では、紅白の舞台で親に馬鹿って言ってしまっていいのかしら・・この先バッシングとか受けないかしら、という勝手な心配と、格好いいわねこの人、という賛美が同時に吹き出ました。

そのあと、天童よしみも母親からの手紙を読んでもらっていました。こちらは、「いつも家族一丸となって命がけであなたの歌手への道を応援して来ましたね」というもので、よしみは上を睨んで涙をこらえるという、王道の演出でほっとしました。

もうずいぶん家族と大晦日を過ごしていませんが、実家で親兄弟とこれを見ていたら、どんなだっただろう、とふと思いました。
去年のお正月は家族と会いました。高知県で母方の祖父の法事があったのです。私は飛行機で現地入りして、母の姉にあたる伯母の家で、大阪からやってきた家族と合流しました。祖母は92歳で伯母の家にいっしょに住んでいます。集ったのは祖母の子どもたちとその連れ合いで、孫は私と私の姉だけでした。祖父は私の生まれる前に亡くなっていて、私は会ったことがありません。私が母親からの呼びかけに応じた理由は、祖母に会いたいな、と思ったからでした。

祖母は数年前から寝たきりの生活を送っていると聞いていました。体を動かすことは出来なくなっていて、話もほとんどせず、食べる時と排泄の時に起きるという具合です。伯母夫婦が二人で面倒をみています。

三日の滞在中、祖母は四回起きました。対面しましたが、祖母の目は虚空を見ているような状態です。名前を言って挨拶をしたら、ふいにニッコリ笑ったので、なんとなく通じたような気がしました。
祖母との対面と祖父の法事以外の時間はずっと宴会でした。高知の人だからなのか、オジたちは、飲んでは寝る、起きたら飲む、を繰り返します。私の父親も酒飲みで、いつのまにか高知の男たちに馴染んでいました。私の母親を含む三姉妹は、酒は飲まず割烹着をして肴を用意したり洗いものをしたりしてあまり座りません。
ひさしぶりに、そういうジェンダー役割のはっきりしている人たちのいる環境に身を置いている状態になりました。

私は初日で酒に潰れてしまい二日目はほとんど飲めませんでした。なので、洗いものでもしようとすると、「ひろくん(私のこと)は座っちょき」と男からも女からも言われます。なんとなく所在をなくして、別室で寝ている祖母のそばでぼんやりしていました。
すると隣の部屋から、オジの一人が大きな声で、
「最近の若い奴は、自分からはっきりと、オレはホモです! というらしいぞ。オレはそういうのは男らしくていいと思う!」
とほかのオジたちに向かって発言しているのが聞こえました。
きゃ、と思いました。そういえば、そうでした。私はオカマでした。そこのところをこの血縁関係の人たちがどう思っているか、その発言を聞くまであまり考えていなかったのです。私の家族は、私からカミングアウトをされているのでみんな知っていますが、オジたちには直接言ったことはありません。なのに、私はこの家に来てから、仕事は何をしているかとか、彼女はいるのか、といった質問を誰からも一切受けていませんでした。私の言動がすでになにかを過剰に語ってしまっていたのでしょうか。

発言したオジは、自分の疑問を落ち着かせるために、むしろ私以外の人たちに向けて、そんなことを突然叫んでしまったような感じがしました。
聞かなかったことにしてしまおう、と私は祖母のそばで目を閉じました。
高知に来る前は、オカマであることがなにか波紋を起こすかもしれないと少し気にしていました。けれど、私が口火を切らなくても、まわりは色んな形で受け入れようとしてくれているのだな、と思うことにしました。
中ちゃんの「馬鹿な親」発言も、二重くらいのクッションで受け入れられればいいな、と思います。って、その後まったく、バッシングがあったという話は聞いていませんが。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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