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恋愛ドラマより面白いものは「自己実現」と「目を覆わんばかりのちぐはぐさ」?

高山真2014.04.07

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 このラブピースクラブの「cultureコラム」で、ほんまえつさんがマリアンヌ・フェイスフルのことを取り上げていらして、とても嬉しかったの。アタシがマリアンヌ・フェイスフルを知ったのは92年の3月、コムデギャルソンの92-93年秋冬コレクションを見たときのことだったわ。「怒り」をテーマにしたらしい(川久保玲は毎シーズンのテーマを、わかりやすい言葉であまり表現しない)そのコレクションは、黒という色が持つまがまがしさと、それと裏腹な静謐さが同居した、とても素晴らしいコレクションだったことを覚えている。本職のスーパーモデルに混じって、がに股でノッシノッシと歩いてきてカメラマンにガンを飛ばすサンドラ・バーンハード(アメリカの女優)や、60代に見えるモデルたちの印象的だったこと! そのコレクションのバックに流れていたのが、しわがれ声のマリアンヌ・フェイスフルだったのね。

 当時22歳のアタシは、こういったコレクションの迫力とか、ジャンヌ・モローの貫録とかから、「大人」の圧倒的な存在感を感じていたんだと思うの。年をとることに対してのポジティブな感覚を、この時期に持てたのはアタシにとって非常に大きな収穫だったわ。小僧というか、小娘だったアタシが、「自分は『大人』と地続きである」という感覚を持てたわけね。  まあ、そうは言っても、当時からそんな思いを抱きつつ、日本のドラマのヤバめな女優の台詞回しを友達同士でマネしあったりもしていたのですが。こういうの、若いときにしかできないものなのよね。当時30歳になるかならないかだった賀来千香子が、二丁目のベテランママのようなハスキーボイスでぶちかます泣きの芝居。そして、佐野史郎に対してストーキング的な愛情を抱く役どころだった山咲千里が、尋常でない目つきで「愛の呪詛」を垂れ流す芝居。これはどちらも『誰にも言えない』というドラマのシーンなんだけど、当時のアタシたちの間で火が出るような一大センセーションを巻き起こしたわ! 新宿二丁目のバーで、あるいは芝浦のクラブ・GOLDで、「おはよ~」のあいさつ代わりによく使用されていたものよ。  当時から、恋愛ドラマを額面通りには受け取っていなかったアタシたちですが、それでも、周りのオンナの友人知人の中には、制作側の狙い通りの受け取り方をしていた人たちも多かったし、それはそれでアリだと思ってもいた(腸えらそう)。ただ、最近……、恋愛ドラマって、本当に少なくなったのね。この春からの、地上波のドラマだと、『続・最後から二番目の恋』しかないんじゃないかしら。  小泉今日子主演の『続・最後から二番目の恋』は、言うまでもなく40代以上の女性をターゲットに作られたもの。テレビは、ものすごく細かくセグメントされた顧客層に向けて番組を作るものだから、これは少なくとも、「恋愛ドラマは、もう若い女性視聴者層にアピールしなくなった」と局側が考えているってことよね。俳優・女優が台本のもとに繰り広げる恋愛劇を「リアルな憧れ」としてとらえる人々が減った、ということね。  でも、それだけではなく、若いオンナの子たちが、「自分の恋愛」というものに憧れを吹き込まなく(もっと正確に言えば「吹き込めなく」)なってしまったことは、この5~6年、なんとなくアタシも感じてはいたの。『テラスハウス』という、セミプロみたいな男女が一つ屋根の下で共同生活をするリアリティ番組が人気だけど、あれは「恋愛」に狙いを絞ってはいないし。「自己実現」がメインテーマになっていると思う。恋愛はあくまでも「自己実現」の一要素でしかない感じだわ。恋愛が若い子たちにとって「そのくらいでしかないもの」になったのは、いいことなのか悪いことなのか。それはわからないけれど、20代の子たちと友情を結んだり、もしかしたら今後アフェアを結ぶかもしれないときに、何かしらアタシに物事を考えさせるきっかけを作ってくれることでしょう。 『続・最後から二番目の恋』の初回の感想は、次回で書かせていただこうかと思っているわ。あ、それから今回のドラマはもうひとつ。沢尻エリカの『ファースト・クラス』を、いろいろな意味で楽しみにしているわ。ファッション誌に飛び込んだ若いオンナ(沢尻エリカ)が、女子同士のヒエラルキーの世界で翻弄される……という、昨今よく耳にする「マウンティング女子」の世界を描いたものらしいんだけど。番組のHPを見ると、まあ『プラダを着た悪魔』のドロドロ版をやりたいんだろうな、ってことはありありとわかる。でも、沢尻エリカが働くことになるファッション誌の名前が、ドラマのタイトルでもある『ファースト・クラス』って時点で、不穏すぎる予感に満ち満ちていて、逆の意味ですごく楽しみだわ。『ファースト・クラス』なんてベタなタイトルのファッション誌、コンビニでだって買うのが恥ずかしいっていうの。そういう感覚は、アタシが学生だった20年以上前から変わらずにあったものだと思っていたけれど。そんな悪い意味でのちぐはぐさ、ありえなさが、画面でどう表現されているか。「おしゃれドラマを作り続けて四半世紀」を自負するフジテレビが、いま現在どんなことになっているのか、残酷なまでに露呈されるかもしれない、と震えるアタシ。ええ、手に汗握って見守るつもりです。うふふ。

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