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フランスでは、ロックダウン解除後、コロナ感染者がじわじわと増加している。専門家会議のジャン=フランソワ・デルフレシィ議長は、秋には第二波がくる可能性を指摘した。
新規感染者数が1日1000件を超え、直近の週の新規感染者数は、前の週に比べて26%も増加した。一方、検査数の伸びは3%にとどまっているから、やはり人々の警戒感の薄れが影響しているのだろう。この7月20日からは、室内公共空間でのマスク着用が義務付けされた。違反すると135ユーロの罰金が科される。

ロックダウン解除は5月から段階的に進み、7月末現在、街はほぼコロナ以前の日常を取り戻したように見える。カフェやレストランは6月2日に再開を認められ、感染が深刻なため、その時点ではまだテラスだけしか許されなかったパリと近郊でも、6月15日には全面解禁になった。続いてスポーツ施設や映画館などが次々再開してすでに1カ月になる。美術館や展覧会場も小さいところを皮切りに6月初めから再開し、7月1日からはルーヴルやグラン・パレも公開された。6月28日には延期になっていた市町村選挙の第二回投票も行われた。バカンス・シーズンを視野に入れて、カジノやバカンス村、クルーズなども再開している。

そんな中、人々の警戒心は薄れている。カフェやレストランは、隣との間にバリアを設けたり、一定の距離を保つよう配慮していなければいけなかったはずだが、たちまち従来通りの密着状態となった。街路ではマスクをつけない人がマジョリティーだ。それでもしばらく前までは、義務付けられたメトロの中では、つけていない人はなかったのだが、最近はマスクをあごまで落としておしゃべりに精を出す乗客も見られる。半分の席は空けて座れと言われても、乗客の数が増えればたちまち空ぶりになる。

7月第1週以来、一人の感染者が何人に感染させるかをあらわす再生産数(R0)が1を超え、7月22日現在およそ1・20になっている。とりわけブルターニュでは、2・62を記録した。
厳しいロックダウンがゆるめられた5月初め以来、フランス全土で539のクラスターが発見され、そのうち207のクラスターがまだ現存している。入院患者数の減少もここへ来てついに止まってしまった。第二波が来たと言うにはまだ遠いとはいえ、再流行を起こさないための対策が考慮されている。閉鎖公共空間でのマスクの義務付けはその一つだが、開放空間でも義務付ける自治体も出てきている。

他に、PCR検査が処方箋なしで受けられる態勢ができつつある。「処方箋なし」と言うのは、医者の診察を経由せずとも希望者は検査を受けられるということを意味する。パリではセーヌ河畔を市民やツーリストに開放する恒例の「パリ・プラージュ」に検査所のテントが張られ、検査を受けたい人が訪れる姿が見られた。現在、PCR検査は、週に30万件から35万件行われている。目標の70万件には遠く及ばない。足りないのはPCR検査の扱える臨床検査技師のため、研修を行って国や民間の検査所では必ず扱えるようにしたが、さらに医学生や看護学生の手も借りるという。またPCR検査よりも簡易な唾液をつかった検査も開発中だ。無償で検査を受けられるクーポンは感染者の多い地域を手始めに配られた。
一方、空港や国境での検査は義務付けられておらず、隣国スペインではバルセロナを含むカタロニアで再度の外出禁止令が出ているのに、そこからの帰還者にテストが徹底していないことは批判されている。

フランスはできる限り、全国的なロックダウンに再び踏み切ることを避けたいと考えている。コロナ危機がフランス経済に及ぼした影響は、6月初めのOECDの評価によればGDPが11・4%の減少、もし第二波が来るとするとこの数値は14・1%になると予想されている。IMFもほぼ同様の評価で、フランスはスペインとイタリアに次ぐ経済的影響をこうむったとしている。厳しいロックダウンが長期間続いたため、とりわけ産業界が大きな影響を受けた。フランス銀行は、失業率が2021年半ばには11・5%に上ると予想している。

コロナとの攻防が水面下で行われる夏になりそうだ。 

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中島さおり(なかじま・さおり)

エッセイスト・翻訳家
パリ第三大学比較文学科博士準備課程修了
パリ近郊在住 フランス人の夫と子ども二人
著書 『パリの女は産んでいる』(ポプラ社)『パリママの24時間』(集英社)『なぜフランスでは子どもが増えるのか』(講談社現代新書)
訳書 『ナタリー』ダヴィド・フェンキノス(早川書房)、『郊外少年マリク』マブルーク・ラシュディ(集英社)『私の欲しいものリスト』グレゴワール・ドラクール(早川書房)など
最近の趣味 ピアノ(子どものころ習ったピアノを三年前に再開。私立のコンセルヴァトワールで真面目にレッスンを受けている。)
PHOTO:Manabu Matsunaga

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