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「女性はいくらでもうそをつけますから」発言から1カ月

牧野雅子2020.10.29

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自民党の杉田水脈議員が、性暴力被害者支援についての会議の席で、「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言して1カ月。
性暴力被害にあっても、被害を誰かに相談することがまず難しく、警察に被害申告に行っても、証拠がないとか「よくあること」だと言われて被害届を受理されないことがあり、事情聴取時にはセカンドレイプにさらされるのが、性暴力被害者の現実だ。
杉田議員の発言は、性暴力被害を訴える女性は、被害にあってもいないのに被害者であると事実を捏造する「冤罪加害者」であるかのような発言であり、国会議員による性暴力神話発言、性差別、性暴力被害者に対するセカンドレイプである。

10月27日現在、Change.orgキャンペーン『女性はいくらでもうそをつけますから』自民党・杉田水脈衆議院議員の性暴力被害者への発言撤回、謝罪、辞職を求めます。」(http://chng.it/DqgHKdJbXyに賛同する署名は13万8000筆を超えている。
この数もさることながら、60を優に超える性暴力被害者支援にかかわる団体が賛同者として名を連ねていることも、この発言が性暴力被害者に対してどれほど侮辱的であるかを示していると思う。


杉田議員は、9月26日の自身のブログで、「女性はいくらでもうそをつけますから」との発言はしていない述べ、報道されている事実自体を否定した。

報道にありましたような女性を蔑視する趣旨の発言(「女性はいくらでも嘘をつく」)はしていないということを強く申し上げておきたいと存じます。

ところが、10月1日には、それをひるがえす。

今回改めて関係者から当時の私の発言を精査致しましたところ、(中略)ご指摘の発言があったことを確認しましたので、先のブログの記載を訂正します。事実と違っていたことをお詫びいたします。

それが事実であることが揺るがせなくなると、自分が言ったことなのに、「確認しました」と、まるで第三者の発言についての調査のような態度で、しれっと訂正をする。
証言がなければ、言ってないと言い続けるつもりだったのだろうか。
事実とは異なっていても、大きな声で繰り返してその内容を「事実」として流通させるという政治家の作法を、それはもう、うんざりするほど、見せつけられてきている。

釈明のために書かれたはずのブログの内容もまた、ひどいものだった。性暴力被害に対する無理解、性暴力被害者支援業務の軽視、関わっている人へのリスペクトのなさ……。
しかも、慰安婦問題を持ち出して韓国や女性団体をディスることも忘れない。

それで、「かねてより申し上げているように、私は女性への暴力はあってはならず、許されない犯罪だと考えており」とか言っているのだ。
論理もへったくれもない、言ったもん勝ちの世界か、ここは。そして、「女性はいくらでも嘘をつけますから」という発言には、批判されているような、女性蔑視の意図はなかったと述べる。

繰り返しになりますが、女性蔑視を意図するような発言はいたしておりませんことを改めて主張いたします。

女性を蔑視する意図はまったくございません。

意図はないと繰り返すのは、差別や暴力とは何かがわかっていない、わかろうとしていない、いや、わかっているからこそ、相手を愚弄しているのだろう。
それが差別や暴力であるかは、その効果によって判断されるもので、それを発した者が差別ではない、差別を意図していないと言えば責任を免れるというものではないのだ。
杉田議員の発言が、女性や性暴力被害者に対する差別であり、暴力であるということは、13万8000筆もの署名が表している。

この、意図によって自身の加害行為が免責されるかのような思考は、実行行為があったと認められているにもかかわらず、加害者に「故意」がないとして無罪になった性犯罪事件を彷彿とさせる。
加害者が同意があると思い込んでいたなら免責されるなんて、あまりにおかしすぎる。

フラワーデモのきっかけになった無罪事件にも、故意の存在が問題にされたものがあった(フラワーデモ編『フラワーデモを記録する』2020年・エトセトラブックス刊・30-37頁に解説あり)

改めて言うまでもなく、被害は、加害者の意図や故意というものによって判断するのではなく、被害の実情に即して判断されるべきなのだ。
杉田議員は、性的マイノリティ差別や「慰安婦」問題を扱ったジェンダー研究への介入、性暴力被害者へのバッシングなどなど、性暴力やジェンダーに関して、差別的で攻撃的な姿勢で知られる。
だから、「女性はいくらでも嘘をつけますから」という発言があったという報に、「またかよ……」と思った。

杉田議員は、件の発言については、ブログ記事をアップすることで、説明責任は果たしたとの見解のようだが、性暴力被害者に対する侮蔑を重ねたように思える。
本人はもちろんのこと、比例区で出馬させた自民党の責任も問いたい。
10月13日、フラワーデモ呼びかけ人らが、自民党本部に、集まった署名13万6000筆を持参した。
しかし、自民党は、その受け取りを拒否。それが、党としての、性暴力被害者に対する態度だということなのか。

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牧野雅子(まきの・まさこ)

龍谷大学犯罪学研究センター
『刑事司法とジェンダー』の著者。若い頃に警察官だったという消せない過去もある。
週に1度は粉もんデー、醤油は薄口、うどんをおかずにご飯食べるって普通やん、という食に関していえば絵に描いたような関西人。でも、エスカレーターは左に立ちます。 

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