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護身術を女子生徒必修に

深井恵2007.09.17

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9月の最初の週末に、久しぶりに東京に行ってきました。もちろん、北原さんのお店にも行きました。北原さんのお店、さらにキュートに飾られていて、ますます楽しい雰囲気に~! みなさん、ぜひお立ち寄りください。


さて、北原さんのお店に行ってたときに、あるお客さんがやってきて、商品をお買い上げになった後であれこれとお話をしていたら、新宿に飲みに行きたいとのこと。その方は初めて新宿に飲みに行くので、一人では心もとないということで、北原さんと北原さんのパートナー、お客さん、私の4人で繰り出すことになりました。

道すがらいろいろとお話をしていると、その方は、北原さんのお店のHPでコラムをよく読んでいることが判明。なんと、このスクール・フェミも読んでくださっていたのでした。自分の知り合い以外でコラムを読んでくれてる人がいることに感動! がんばってコラム書くぞ!と、気持ちを新たにした東京でした。

ところで、安倍さん、なぜかあのタイミングで首相をやめちゃいましたが、鳴り物入りだった教育再生会議の先走りもそのままに、中教審などにもなにがしかの影響を与え、中学校では武道が必修になるやも・・・という状況になっているようですね。

「美しい国」の「伝統と文化」を教え込む一環として、「お国のため」の精神論から武術を必修にしようとしているのであれば困ったものですが、もしも必修になるのであれば、女子生徒に護身術を学ばせるチャンスかもしれません。

私が高校生のときは、女子は家庭科が必修で、女子が家庭科を学んでいる間、男子は柔道を学んでいました。「なんで女子だけ家庭科があるんだ!」「女子は暗くなると危ないから日没前に帰るように・・・って言うくらいだったら、護身術でも学ばせろ!」と怒りに打ち震えた高校生時代を思い出します(あの頃からスクール・フェミだったか・・・いやいや、小学校の運動会の保護者席のプレートが「父兄席」って書いてあって、頭にきてた小学生だったなぁ)。

先日、橋本明子さん:CAP(子どもへの暴力防止)スペシャリスト、「WEN-DO」speakerユsbureau資格取得者、神奈川県在住のセルフ・ディフェンス(護身術)講座を受講しました。
「WEN-DO」というのは、カナダで開発された女性のための自己防衛プログラムです。「WEN」は「WOMEN」(女性)からきていて、「DO」は、柔道・剣道・合気道などの「道(どう)」ということです。
今回受講した講座は、短時間だったため凝縮した内容でした。そのごく一部を紹介すると、「満員電車で痴漢にあったときにやめさせるテク」や「相手につかまれたときの危機脱出テク」です。
「満員電車で痴漢にあったときにやめさせるテク」の一つは、「壊れたレコード作戦」と橋本さんはおっしゃっていました。
壊れたレコード作戦・・・何度も何度も同じことを繰り返し言う作戦。
満員電車で痴漢に身体を触られたら「私に触らないで私に触らないで私に触らないで私に触らないで・・・」とひたすらぶつぶつ繰り返す。すると、あなたの回りにいた客がさささっとあなたから離れていって、回りに空間ができるそうです。
もう一つは、電車の中で急に大きな声で「え~~ん、え~ん」と泣き出す方法。犯人は驚いて手を離すそうです。両方とも、電車の中で少々目立ってしまう方法ですが、効果は絶大とのこと。万が一痴漢にあったら、ぜひお試しください。

次に、「相手につかまれたときの危機脱出テク」についてです。ここで詳しく説明することは難しいのですが、ポイントは、?@「大きな声を出す」 ?A「急所(睾丸だけではありません。たくさんあります。)をよく知り、そこをねらう」ということです。
大きな声を出すことは、女性にとってあまり日常ではしないことかもしれません。さらに、その叫ぶ言葉に至っては、おしとやかな立居振舞を常に求められてきた女性は、口にしてはいけないとしつけられた罵詈雑言「バカ!」「死ね!」「チビ!」「ハゲ!」などを、叫んで相手に一撃を食らわすのです。
「バカ!」「死ね!」「チビ!」「ハゲ!」等を、女性が叫ぶだけで、まず、相手の男(犯人)は、一瞬ひるむそうです。およそ女性の口からは出てこないだろうと男が思い込んでいる言葉を、いざというときに大声で叫んで、人間の体の弱い部分(例えば、顔なら、目、こめかみ、鼻、あご、のど)といった、女性の力でも相手にかなりのダメージを与えられる効果的な急所に一撃を食らわす。これだけで、相手から逃げ出すことが可能になります。

橋本さんの講座を受ければ、「手首をつかまれた場合」「肩をつかまれた場合」「首をしめられそうになった場合」など、さまざまなケースを想定して、それぞれの対処方法を身に付けられます。もっと詳しく知りたい方は『セルフ・ディフェンス あなたは正しい!』(橋本明子著 三五館 1000円+税)をお読みください。

今回、この講座を受けてみて、女性がいかに言葉を奪われてきたか、改めて考えさせられました。電車で痴漢にあっても、「やめてください」「触らないで」というように、犯罪者相手に「~下さい」とお願いしないといけない言葉づかい。「やめろ」「触るな」とすぐに口に出せるように女性は育てられずにきているなぁ・・としみじみ実感しました。「バカ」「ハゲ」等を叫ぶのも同様。大人になるまでの生育期間に、そうは言わないように育てられ、自然に言葉を奪われてきたんだ、だからその手の言葉を女性が口にだすのは躊躇されるんだ・・・そう思いました。

子どもたちにも折に触れてこんな話をし、学校の回りに変質者が出た場合の対応に、「集団で下校しなさい」「遅くまで出歩いてはいけません」のような、女性に落ち度があると言わんばかりの指導ではなく、あくまで相手の犯罪者が悪いこと、相手にダメージを与えても構わないことなど、今回の講座で学習したことを伝え、二学期も更に闘うスクール・フェミで行きます。

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深井恵

深井恵(ふかい・めぐみ)

九州某県の高校日本語教員。
日教組の「教え子を再び戦場に送らない」に賛同して組合加入。北原みのりさんとは、10年以上前(ジェンダー・フリー・バッシングがひどかった頃)に組合女性部の学習会講師をお願いして以来の仲。

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