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スクールフェミ 敵基地攻撃能力保有とマイナンバーカード〜ワールドカップ・サッカーの陰で〜

深井恵2022.12.16

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ワールドカップ・サッカーで浮き足立っていた頃、日本の防衛政策を大きく転換する事態が進んでいた。専守防衛に徹してきたこれまでの日本の防衛政策を、敵のミサイル発射拠点などを叩く「敵基地攻撃能力」を保有することで、自民・公明が合意した。ワールドカップ・サッカーの1次リーグでスペインに逆転勝利し、首位通過した、ちょうどその頃だ。

「平和の党」を掲げているはずの公明党が「敵基地攻撃能力」を保有することであっさり合意したのにも驚いた。公明党としては、創価学会に影響が及ぶかもしれない旧統一教会をめぐる被害者救済の新法成立のほうに、より関心が集中していたのだろうか。将来に大きな禍根を残すことに一役買った。

サッカーの試合があった日の授業は、寝不足気味の生徒が多かった。期末考査中でも、試験勉強そっちのけでサッカー観戦してしまった生徒もいた。期末考査後の授業で、「決勝トーナメントで日本がとっとと負けてくれてよかった。負けないとニュース報道の時間がゆがむからね……」うんぬんと筆者がつぶやくと、「その言い方、何かある」「そんなこと言う人、初めて聞いた。みんな日本が勝って喜んでいるのに」などと反応が返ってきた。

「ワールドカップ・サッカーのスペイン戦の時に、日本の防衛政策の転換点を迎えていたけど、その大事な報道を目にした?」と生徒に聞いてみた。残念なことに、生徒は誰も「敵基地攻撃能力」保有に関する報道を見ていなかった。

オリンピックやワールドカップなど、大きなスポーツ・イベントがあると、通常の政治・経済などのニュースの時間がスポーツニュースに侵食される。報道されるべきニュースが報道されないまま、あるいは、報道されても世間の注目が集まらないままスルーされる。今回のワールドカップも、どんな政治のニュースが陰に隠れるか、注視していた。

「日本のワールドカップの新しい歴史が作られる」と8強入りを目指した決勝トーナメントが始まる頃には、防衛費を27年度までの5年間で43兆円にするという首相の指示が出された。現行の1・57倍の防衛費となるそうで、財源を考えると増税は必至だろう。物価高に苦しみ、食費を抑えて我慢する国民が増えている現状で、1・5倍を超える防衛費に予算を回していていいのか。ミサイルは食べられないのに……などと思っていたら、「23年度増税しない」と言う。23年度は統一地方選挙があるからか。国民を馬鹿にしている。

「ロシアのウクライナ侵攻が終息の兆しを見せない。中国の台頭も気になる。やはり、防衛費を増やして自衛しなければ……」。そんな国民感情につけ込んで、敵基地攻撃能力を保有することに踏み切った。本州の方にはあまり知られていないのかもしれないが、鹿児島から沖縄諸島は、自衛隊の軍事基地化が進んでいる。辺野古もさることながら、島しょ部ひいては九州各県も「台湾有事」に向けた動きが進んでいる。

この辺野古の米軍基地移設をめぐっても、ワールドカップ・サッカーの陰に隠れて大きく取り上げられなかったが、「埋め立て承認は国の法定受託事務であり、都道府県が取り消し訴訟起こすことはできない」と、最高裁判所が沖縄県の上告を棄却した。マヨネーズに例えられるほどの軟弱地盤で、いくらお金がかかるかわからない辺野古埋め立て工事は、いまも進められている。

だが、軍事基地を増強することが、果たして平和の維持につながるだろうか。そんなことはないということは、ちょっと考えただけでもわかるはずだ。ミサイルで狙うなら、飛んでくるミサイルを狙うより、動かない基地を狙ったほうが、当たる確率は格段に高いだろう。「自衛隊の基地があって安心」なのではなく、「自衛隊の基地があるから狙われる」のだ。

高価な武器を買ったところで、自国よりも性能の良い武器を他国に売るはずもなく、「型落ちの武器」しか手に入らないのではないか。そもそも、そんな、人の命を奪うような武器を持ったところで、ますます狭くなる地球で何をしようと言うのか。

世界の人口が80億人を突破し、食料も資源も不足する事態が想定される。一方日本の人口減少が加速し、今年生まれた子どもの数は、80万人を割るという予測が出されている。国立社会保障・人口問題研究所が2017年に公表した推計では、出生数が80万人を割るのが2030年と見込んでいたそうだが、8年も早く80万人を割り込むことになる。

少子化対策のために、出産一時金を50万円にすると表明されたが、子育ては生まれた時だけにお金がかかるのではなく、生まれた後に多くの出費を要するのだから、焼け石に水というものだ。安心して出産・子育てをしてほしいなら、軍事大国ではなく、保育料や学費がかからない教育大国を目指すべきではないか。

このままでは少子高齢化に拍車がかかり、社会保障費の負担がさらに増える。食べられないし、介護もしてくれない「武器」にお金をかけるより、社会保障費や教育にお金をかけるべきなのは火を見るより明らかだろう。

非正規労働者が過半数を占めるいま、将来の年金受給減額は、現状を大幅に下回ることが予想される。「老後に備えて2000万円の貯蓄が必要」などと、ひところ騒がれたが、2000万円の貯蓄ができる人がどれほどいるだろうか。また、せっせと貯蓄して老後に2000万円たまったら、介護保険料が2割負担になるという。

親の介護をしている友人の話によると、非課税世帯は1割負担だが、課税世帯の介護保険料の負担割合が改悪されたそうだ。それまで年金などの収入だけで判断されていた負担割合が、預貯金も含めて判断されるようになり、夫婦2人世帯で貯蓄が2000万円以上あると、2割払うことになったらしい。単身だと1000万円以上の貯蓄で2割負担となるそうだ。

無駄遣いせずに地道にためたお金によって、1割負担の人に比べて2倍の負担になる仕組み。納得がいかないが、それが現行の政策だ。「2000万円も貯蓄はありません」としらを切りたくても、マイナンバーカードで預貯金の額は国に把握され、コツコツためたばっかりに倍額の負担となる。「老後に備えて2000万円の貯蓄が必要」と騒いだのは、2割負担する人の割合を増やさんがための、詐欺にも似たデマゴギーだったのではないかという気さえする。

前出の友人の親御さんは、先日、地元スーパーでマイナンバーカードの手続きをしてしまったらしい。ポイントを最大限にもらうためには、そのスーパーの電子マネーを2万円分購入するという条件付きだったとのこと。だが、地元の医療機関でマイナンバーカードに対応できる医療機関は、いまのところない。いったい誰にとってメリットがあるマイナンバーカードなのか。

文部科学省から都道府県教育委員会を通じて、教職員にマイナンバーカードの申請促進の通知が、今月また来ていた。毎回受け流しているが、いつまであらがうことができるだろうか。

マイナンバーカードのキャラクター(マイナちゃん)は、昔から日本にいるシロウサギの妖精だという。因幡の白ウサギがワニ(サメ)を騙したように、国民をだまさないことを願うばかりである。

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