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職場体験が生徒を戦場へ送る?!

深井恵2015.04.17

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さて、4月になり、2年生のクラス担任になった。昨年度、1年生のクラス担任が10年以上ぶりだったように、2年生のクラス担任からも10年以上離れていた。前任校の夜間定時制では3年生と4年生のクラス担任しかしなかったし、前々任校では、1、2年生と持ち上がった後、組合本部の役員をすることなり、クラス担任そのものから数年間離れていたのだ。しかも、前任校では科ごとに一クラスずつだったため、4年間クラス替えはなく、クラスの生徒そっくりそのまま持ち上がりだったのだが、今回はクラス替えもあった。旧クラス最後の日には、「離ればなれになりたくない」と泣いていた生徒もいた。昨年度一年間クラス担任としてかかわってきた生徒が分けられて、新たな2年生の一クラスを受け持つことになった。
昨年度に担任をしていたクラスの生徒は全員2年生に進級することができたが、学年全体では転学・退学をあわせて10名以上の生徒が本校を去って行った。今年度のクラスも全員進級を目標に掲げてがんばるぞと、気持ちを新たに新学期をスタートさせているところだ。しかし、当たり前だが、それぞれのクラス担任で教室内のルール、やり方が微妙に違う。昨年隣のクラスの生徒だった者にとっては、慣れるまで多少戸惑いもあるだろうし、私自身も、新クラスの大半が去年受け持っていない生徒なので、一つひとつ確認しながら進めている。落ち着くまでは何週間かかかるかもしれない。
ところで、本校2年生ではインターンシップという、いわゆる「職場体験」を実施している。中学校でも職場体験を実施しているところが増えている。その準備が年度当初早くも始まり、昨年度生徒を受け入れてくれた事業所に教職員で手分けをして電話をかけ、今年度のインターンシップもよろしくお願いしますと依頼をしているところである。一学年全員が職場体験をするためにはかなりの数の事業所にお願いしなければならない。各事業所に1~2名、多くて数名の生徒がお世話になる。200名ほどの生徒全ての受け入れ先の確保は至難の業だ。
受け入れ依頼では、受け入れ人数だけでなく、性別も問い合わせるようにと、進路指導担当者から言われている。「そんな確認いやだなぁ」と思いながら、「『男女問わず』で構いませんか?」と一言添えているのだが、いまのところ、一つの事業所以外は性別を問われていない。教員のほうが性別を意識しすぎているのではないかと思う。性別を問われたのはネイル関係一件。「できれば女性のほうが・・・」と言われた。もしも男子生徒が希望したら、その事業所には「ぜひともお願いしますという熱心な男子生徒がいるのですが、お願いできませんでしょうか」と頼んでみようと思っている。
そんな中、生徒を大量に受け入れてくれる「有り難い」受け入れ先として、自衛隊が位置づけられている。とんでもない世の中になっている。昨年度、1年生のクラス担任をしているときに、2年生の「インターンシップ報告会」を生徒とともに聞いたのだが、その時、報告した生徒の中に、自衛隊に体験入隊した生徒がいておおいに驚いた。迷彩服を着た生徒数人が写った写真を盛り込み、パワーポイントを使って1、2年生全員の前で報告していた。何十もの事業所があるのにもかかわらず、わざわざ自衛隊体験者の生徒に報告させる教員集団にも驚いた。幸い(?)自分が受け入れ依頼の電話をかける事業所には自衛隊は含まれていなかったが、もし、割り振られた事業所の一つに自衛隊が入っていたら、どうしていただろう。自分が電話依頼を断ったとしても、他の教職員が電話をかけることになり、何の問題解決にもならないのかもしれない。いや、担当を断ることだけでも問題提起となるのか・・・。
『高校性をリクルートする自衛隊・自衛隊の手法を取り入れる教育行政
~集団的自衛権行使で教え子を再び戦場に送るのか!~』(「高校性をリクルートする自衛隊・自衛隊の手法を取り入れる教育行政」編集委員会/
編:同時代社)を読み進めている。その本の冒頭には「2014年7月1日は集団的自衛権行使容認が閣議決定された日です。その翌日に全国の高校三年生の自宅に、封書で自衛官募集のパンふれとが送られました(中学三年生に送付の地区も)」という衝撃的な事実が書かれていた。
詳細はぜひ、『高校性をリクルートする自衛隊・自衛隊の手法を取り入れる教育行政
~集団的自衛権行使で教え子を再び戦場に送るのか!~』を読んでいただきたいが、少しピックアップして内容を紹介すると、自衛官募集のダイレクトメールは、高校性の就職内定率が下がってきたここ10年ほど前から毎年この時期に行っているとのこと。自衛隊が全国の高校三年生等の住所を知り得たのは、全校の市町村・特別区のうち約71%が住民基本台帳の提供に協力したからだという(2014年10月6日
東京新聞)。自衛隊の職場体験では、兵器対応防毒マスクの装着や行軍の訓練、東条英機の写真のある資料館の見学なども行われた学校もあるらしい。職場体験にとどまらず、「防災訓練」と称した自衛隊と教育との「連携」も進んでいるとの指摘もある。
20年ほど前、初任校で受け持った生徒の一人が、高校卒業後、自衛隊に入ったことを思い出した。平和への思いは伝えたつもりだったが、その生徒の兄弟が自衛隊員だったこともあり、その生徒は兄と同じ道を選んだ。その生徒には「死なないように。殺さないように。何かあったら、逃げる勇気を持つこと」と告げ、卒業させた。今年度の職場体験、自衛隊希望の生徒がいるだろうか。教え子を再び戦場へ送る日を、自ら招くものかと抗っている。

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深井恵(ふかい・めぐみ)

九州某県の高校日本語教員。
日教組の「教え子を再び戦場に送らない」に賛同して組合加入。北原みのりさんとは、10年以上前(ジェンダー・フリー・バッシングがひどかった頃)に組合女性部の学習会講師をお願いして以来の仲。

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