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「20世紀の春」と呼ばれた1920年代。朝鮮半島に生まれ世界を歩いた3人の女性の物語『3人の女』出版しました!

アジュマブックス2023.08.24

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アジュマブックスで8月15日の日本の敗戦記念日、韓国にとっての独立記念日に「3人の女」という本を出版しました。事実をべースにした上下巻にわたる重厚な小説で、韓国で4万部のベストセラー。韓国での映画化も決まっています。

「3人の女」は、1920年代から50年代にかけての朝鮮独立運動・共産主義運動を女たちの視点から描いた長編歴史小説です。
共産主義運動について、日本からの独立運動、そしてそういう運動のなかにもある性差別と闘わざるを得ない女たちの戦いが、活き活きと描かれます。

1900年代、朝鮮半島のフェミニズムの原点がここに描かれています。そしてなにより朝鮮半島の歴史を知ることは、日本の近代史を改めて理解することでもあるでしょう。ぜひ多くの方に読んでいただきたい本です。

著者のチョ・ソニさんが9月に来日されます。来日にあわせてイベントも行いますので、ぜひ皆さんご参加ください。以下はチョ・ソニさんから日本の読者へのメッセージです。


日本の読者の皆さんへ 


『三人の女』が日本の読者に会えることは、とても意義深いことです。
『三人の女』は韓国現代史に実存した人物たちを扱っていますが、この小説の背景である一九二〇〜一九五〇年代は韓国と日本、中国という極東三か国の運命が互いにからみあっていた時期です。日本はこの小説のもう一つの背景であり、日本の読者たちはこの小説を通して、日本の歴史に対する他者の視線に出会うことになるでしょう。そのような意味で、作者として一方では緊張し、また一方では興奮しています。

『三人の女』は、韓国の読者たちにとっても馴染みのない話でした。
韓国は一九六〇年代から一九八〇年代まで軍事政権下で出版と表現の自由が抑圧され、理念でわかれて戦争までおこなった分断国家であるため、「反共」による思想統制が厳しく敷かれていました。その結果、韓国現代史における共産主義運動は、学問的な研究も自由にできないばかりか、芸術創作の対象にすることも難しい状況でした。韓国共産主義運動史で重要な役割を果たした『三人の女』の主人公たちは少数の人々にしか知られておらず、一般人は名前すら知りませんでした。『三人の女』は、いわば韓国史の隠された片側に光を当てる作品で、それは冷戦時代が終わった後だからこそ可能だったのです。

私は二〇〇四年頃にこの小説を構想したのですが、二〇一七年にやっと出版することができました。この小説を書き始めた後で二回、七年半にわたり公職に就いたため執筆を中断せざるをえなかったという事情もありますが、何よりもこの作品が膨大な歴史と人物を扱っているため、資料調査や歴史の勉強だけでなく、その時代と人々を理解するのに絶対的な時間が必要でした。

冷戦時代に徹底的な反共教育を受けた私自身にとっても、それはよく知らない歴史でした。私が大学に入学したのは朴正熙政権末期の一九七八年でしたが、大学街では「維新撤廃、独裁打倒」を叫ぶ反政府デモが繰り広げられ、私もデモ隊の末尾に連なりました。私の専攻はドイツ文学でしたが、キリスト教学生会というサークルで韓国史を学び、図書講読とセミナーを通して、高校の歴史の授業では学べなかった歴史に目覚めました。その時代に芽吹いた歴史への関心が本書を書く土台になっています。そして、この本を書くことによって、あの時代についてほとんど全面的に新しく知ったと言えます。一九二〇年代に一時的に現れて消えた「新女性」という名の「解放された女性たち」、分断以前に大陸を行き来していた革命家たちのことは、その存在自体が驚きでした。一九四五年の分断によって、朝鮮半島の南側は一つの島になり、その島で生まれた私は言うまでもなく陸路で国境を越えて外国に行ったことがありません。

『三人の女』には、実存した人物たちが実名で登場します。巻末の「作者あとがき」にも書いたように、登場人物に関する歴史記録に基づいて、隙間を想像力で埋め、歴史記録に反する想像力は自制しました。当時の記録から推し量り連想できる範囲内で文学的な想像力と歴史的な想像力を発動させたと言えます。

『三人の女』は、日本に強制占領された植民地時代を扱っているため日本人の悪役たちが登場しますが、古屋貞雄弁護士のような感動的なヒューマニストも登場します︒自由法曹団に所属する弁護士だった彼は一九二七年、朝鮮共産党事件で一〇一名の被疑者が裁判を受けることになったとき、労働農民党から派遣されて弁護団に参加しました。

『三人の女』は二〇〇四年に構想して一三年後に出版、さらに六年の歳月を経て日本語版に出会うことになりました。作家として改めて喜びを感じています。
日本の読者にとって、日本の歴史を外からの視点、しかも植民地支配を受けた韓国人の視点で見直すことが、居心地の悪さを越えて何らかの前向きな経験になることを期待してみたいと思いますこの本が韓国史の隠された片側を復元したように、日本で二重のフィルターによって隠されていた現代史のある部分を照らし出す役割ができたら、作家としてこれ以上光栄なことはないと思います。

翻訳をしてくださった梁澄子さんに感謝します。梁澄子さんは誠意を尽くして翻訳をしてくださり、当時の歴史的事実について記録が食い違ったり、日本での表記、または漢字表記が不確かな部分などについて一つ一つ筆者に確認を求めました。『三人の女』の日本語版を出版する勇気を出してくださったアジュマブックスの北原みのり代表に心から感謝いたします。
この本を手に取る読者のお一人お一人に、この紙面を借りて感謝を申し上げます。

二〇二三年六月 チョ・ソニ


【イベントのご案内】
著者来日にあわせた出版記念トークイベント×2回行います!

トークイベント1〜チョ・ソニ氏講演会〜
【二〇世紀の春を生きた女たち ~朝鮮独立運動と共産主義運動とフェミニズム~】
2023 年9月9日(土) 14 : 00 ~ 16 : 00(開場13 : 30 ~)
@ 文京シビックセンター 区民会議室4 階ホール
講演: チョ・ソニ(『三人の女』著者)
対談: チョ・ソニ×梁 澄子(『三人の女』翻訳者)
入場料: 1000 円 定員100名 要予約
ご予約はコチラから→http://bit.ly/3DLTgPF

トークイベントその2〜チョ・ソニ氏×佐藤優 @紀伊國屋新宿書店〜
【語られてこなかった朝鮮・日本近代史 ~二〇世紀の春とは何だったのか~】
2023 年9月12 日(火) 19 : 00 ~(開場18 : 30 ~)
@ 紀伊國屋イベントスペース9F
出演: チョ・ソニ(『三人の女』著者)、佐藤 優(作家、『三人の女』解説)
入場料: 1000 円 定員40 名 要予約
ご予約はコチラから→https://store.kinokuniya.co.jp/event/1691117140/
※両イベントともに会場にて書籍の販売、サイン会をおこないます。
主催/ 問合せ: アジュマブックス

お問い合わせはMail :  


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