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全国各地でLGBT法整備の動き ~条例の制定広がる~

深井恵2016.12.08

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 世界各国で右傾化の波が押し寄せている・・・といった報道をよく目にする。アメリカにしてもしかりフィリピンにしてもしかり、イギリスのEU離脱、オーストリア、イタリア・・・と、次々語られるが、この手の報道を見聞きしていると、いつも「あれ?」と思ってしまう。日本は?ということだ。あえて自国については語らなくても「自明の理」なのか、はたまた言いたくても言えないのか・・・。

 「強行採決をするつもりはない」らしいが、言ってることとしていることが乖離している体の国会が続いている。TPP、カジノ法案、年金制度改革『改悪』法案、休眠預金を使う法案、東京電力の賠償費用を国民全体の負担にする法案などなど、ほとんど報道されないまま、ことが進められている。大事な法案なのに、まともに審議せず、まともに報道しない。この手の大事な法案が審議されているとき、芸能人のスキャンダル報道でかき消しているのも常套手段か。

 今年はじめから振り返れば、ベッキー報道や清原の報道等々、枚挙にいとまがない。ASKA再逮捕なんてどうでもいいのに熱心に報道されていたし、収束しない福島の原発事故の現状はほとんど報道されず、東京五輪報道や豊洲の話で賑わい(こんなの東京のローカルニュースでやってほしい)、国民の目はそらされ、注視すべき事柄は素通りしていく。

 こんな国だから、報道の自由度は下がり続けて180か国・地域中72位(前年61位)。2010年には11位だったなんて信じられない転落ぶりだ。男女平等の順位も下がり続け、世界経済フォーラムが発表したジェンダー・ギャップの比較では、今年は144か国中111位(前年101位)。教育や健康の分野では比較的男女格差が小さいが、経済と政治の分野で厳しい評価を受けたらしい。女性の「活用」を「活躍」に変えてお題目を唱えているだけでは、本質的に何の問題も解決していないことを世界に指摘されたと言えよう。

 高校の硬式女子野球部の数が、この10年間で5倍に増え、全国高等学校女子硬式野球選球権大会も今年20回目を迎えたという。高校女子硬式野球についても、ほとんど報道されていないし、日本女子代表はワールドカップで5連覇しているというのに、ほとんど知られていない(報道を知らないのは私だけ?)。もっと報道すればいいのに・・・。

 先月、早稲田大学で行われた、「現場で考える性的指向・性自認」実行委員会主催の「セクシュアルマイノリティは今~現場から考える性的指向・性自認の課題と実践~」に参加した。まず金井景子さん(早稲田大学)から問題提起がされ、「8人に一人と言われるLGBTに、自身の勤務する学校の児童・生徒にもLGBTがいるという実感を持って、LGBTの児童・生徒と接する立場であるという当事者意識を持つこと。セクシュアリティは多様であるため、マニュアル化された対応が適切なのではなく、一人ひとりの要望に添った対応が必要であること」が確認された。24時間365日電話相談を受け付けている「よりそいホットライン(0120(フリーダイアル)-279(つなぐ)-338(ささえる))では、年間38万件(一日平均1000件)もの相談が寄せられているとのこと。

 全体会の講演では「日本の学校におけるLGBT生徒のいじめと排除」と題して、土井香苗さん(ヒューマンライツウォッチ日本代表)が、「LGBTの子どもたちへのアンケート結果で、学校の先生や生徒からLGBTの人たちに対する暴言を聞いたことがある割合が86%にも上っていることがわかった。文部科学省に対して、いじめ防止対策推進法の見直しにあたり、LGBTの生徒など弱い立場にある生徒のカテゴリーを特定することを提言している。教育委員会や地方自治体には、性的指向・ジェンダーアイデンティティー及び人権に関する教職員研修プログラムを早急に策定し、全ての教員に研修を義務づけることを提言している」といったとりくみの現状が語られた。

 教育現場にいる一人の教員として、教員自身が心ない言葉を発していることに憤りを覚える。LGBTに関する教職員研修が急務だと、教育委員会が動きを見せたのは、つい最近のことだ。研修の広がりと深まりが求められる。

 各分科会は以下の4つが設定されていた。
 第1分科会「LGBT基礎講座 教室でできるLGBTプログラム」(早稲田大学公認学生団体 Re:Bit)
 第2分科会「LGBT当事者セッション」(土肥いつきさん:高校教員)
 第3分科会「法整備 ~就労現場にいける課題から~」(LGBT法連合会)
 第4分科会「国連や諸外国のとりくみから考えるLGBT教育」(渡辺大輔さん:埼玉大学、谷口洋幸さん:高岡法科大学)

 分科会では第3分科会「法整備~就労現場にいける課題から~」(LGBT法連合会)に参加した。札幌や旭川、松江などの市条例制定・差別をなくす法整備の動き等、全国的に進む法整備の状況や、LGBTであることを職場で知られて「明日から来なくていい」と言われた事例とその対応等が報告された。当事者と弁護士・議員とのつながりから法整備が進みやすいといった情報交換もなされた。まだ条例のない全国各地での、法整備に向けた動きが増えることで、国を動かす原動力になる。

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深井恵(ふかい・めぐみ)

九州某県の高校日本語教員。
日教組の「教え子を再び戦場に送らない」に賛同して組合加入。北原みのりさんとは、10年以上前(ジェンダー・フリー・バッシングがひどかった頃)に組合女性部の学習会講師をお願いして以来の仲。

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