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やれやれ、ようやくオリンピックが終わった。「メダルラッシュだ」と連呼され、冬季オリンピックでは過去最多のメダル獲得だと大騒ぎされていたオリンピック一色の報道が、徐々に日常を取り戻し始めた。

国会での裁量労働制の問題や、森友学園事件について報道される時間が、多少は長くなった印象を受ける。

今回のオリンピックでは、確かに女子選手の活躍もあった。スピードスケートでは、小平選手がオリンピック新記録での金メダル獲得。女子の種目ができてまだ歴史が浅いスキージャンプ(確か前回の冬季オリンピックが最初ではなかったか)。では、高梨選手が銅メダルを手に入れた。カーリングでは、女子初のメダルだったという。

が、メダルの獲得数を国別で見てみると、第1位ノルウェー(金14、銀14、銅11、合計39)、第2位ドイツ(金14、銀10、銅7、合計31)、第3位カナダ(金11、銀8、銅10)。

そして、日本は第11位(金4、銀5、銅4、合計13)。メダリストには何も文句を言うつもりはない。プレッシャーや苦労は並大抵のものではなかっただろうと、頭も下がる。しかし、その報道は、そこまで大騒ぎするほどのことだったのか、はたはだ疑問だ。

オリンピック報道は戦争報道に似ていると、以前聞いたことがある。自国が勝ったことばかりが強調され、他国の状況が語られない。今回のオリンピックも、ノルウェーやドイツ、カナダの選手のことが、日本国内でどれほど報道されただろうか。

オリンピック報道に嫌気がさす理由はほかにもある。ニュースの時間のうち、「スポーツニュース」の時間以外もオリンピックに奪われてしまうこと。メダルを取れば、トップニュースからしてスポーツニュースに取って変わられる。

政治のニュースがスポーツニュースの時間に割って入ったことなどあるまい。逆はよくあるが。国会のことをもっと報道すべきはずなのに、あまり時間を割かれることはなく、国民の目は、この間、オリンピックに注がされていた。

この「オリンピックのどさくさに紛れる」作戦、2020年の東京オリンピックの時に、最大限の効力を発揮させようとしているのではないか。もちろん、憲法「改正」のために。まだ2年も先の話なのに、マスコットが決まっただの、ボランティアの確保だの、何かにつけて東京オリンピック関連の報道を目にする。

これから2年間、日を追うごとにその報道量は増えていくだろうし、その分、報道すべき他のニュースの時間は削られていく。オリンピックに浮かれ、公共事業の増加でオリンピック景気に沸き、オリンピックが終わった途端に大不況。気がつけば、憲法はあれよあれよという間に「改正」され…。

オリンピック報道のもう一つ嫌な理由は、「スマイルジャパン」(アイスホッケー女子日本代表)だの、「カーリング娘」だの。女子選手の扱い方に、女性差別の要素が多分に溢れていることだ。「爆笑ジャパン」や「カーリング息子」などというネーミングもあるのだろうか。見たことはないが。このことは、何もオリンピックに限ったことではなく、「なでしこジャパン」や「侍ジャパン」も同様だ。

オリンピックはもういいよと、他の番組を見ていたら、これまた、様々な番組が「???」な切り口で語られていて驚いた。日本万歳番組はさることながら、世界遺産に番組でさえ、おかしな展開になっていたのだ。世界遺産が貴重な生物の生息域だった場合は、繁殖の話にすり替わり、母子の話になってエンディング。世界遺産も「少子高齢化対策」「産めよ増やせよ」番組と化す。

今回は動物ものじゃないぞと見ていた古代遺跡の世界遺産番組も、どうやって「産めよ増やせよ」に結びつけるのか見ものだと、斜め目線で見ていたら、案の定、古代の「壁画」の中から「母と子」の絵だけが取り上げられて大写し。そしてエンディングだった。もう、この番組も見るのやめようかな。スポンサーが変わって以来、どうもおかしな視点で番組が構成されるようになった気がして仕方がない。

生徒に「面白いよ」と勧められドラマを見ていた時もそうだ。独身女性の主人公が「年をとったら、一人でどうやって生きていこう」などと、同じく独身女性の同僚と不安を口にする一幕があった。その台詞がドラマの展開とは全く無関係の浮いた台詞で、「やはりドラマも結婚礼賛、産めよ増やせよか」と、やりきれない思いになった。

時を同じくして、旧優生保護法の下で強制不妊手術をされた方々が、人権侵害を受けたと声を上げた。もっと大きく取り上げるべきニュースだが、オリンピック報道の影響を受けてか、過小な報道になったのが、非常に残念だ。

強制不妊手術は、現代の出生前診断に繋がる。「障害」があると分かれば、命を奪ってしまうやり方だ。議員たちも超党派で動き始めたようだし、今後、世論喚起と国による補償が求められる。

また、アメリカのハリウッド映画界に端を発した「#Me Too」の世界的なうねりが、日本にも徐々に波及してきている。先月の「あたしおかあさんだから」の「炎上」も、その一端として捉えていいだろう。

先日、短歌界にもその影響が現れたという記事を目にした。公募の新人賞、第29回歌壇賞を受賞した川野芽生さんの作品「Lilith」だ。川野さんの作品が二首紹介されていた。

「harassとは猟犬をけしかける声 その鹿がつかれはてて死ぬまで」

セクシュアルハラスメントによって追い詰められ、場合によっては、命まで奪われてしまう女性の置かれたいまの状況を詠んでいる。先日「女性車両」に男性が意図的に乗り込んで問題となったことも記憶に新しい。残念ながら、女性にとってハラスメントは日常に転がっている。

「摘まるものと花はもとよりあきらめて中空にたましひを置きしか」

「なでしこ」だ、「スマイル」だ、「娘」だと、「若さ」がもてはやされ「摘まれ」て消費されていく女性たち。そんな社会を鋭く批判している。子どもたちもその中に取り込まれていき、女子高自身が「JKブランド」という言葉を遣い、「あと一年でJKブランドじゃなくなる…」などと、焦りの声を発する。

そんな風潮に、何とかして抗えないものか。母の介護で関わりのある、ケアマネージャーや訪問看護の看護師から、「娘さん」と何度も連呼されるたび、居心地の悪さを感じる今日この頃。

母と私が同じ姓なので、やむを得ないのかもしれないが、今度会ったら、姓で呼んでもらえないかと訴えてみることにしよう。

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