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世界は「ワーク・ライフ・バランス」の次の段階へ ~これからは「WORK=LIFE」~

深井恵2018.06.13

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残業代ゼロ・働かせ放題法案(高度プロフェッショナル制度)が成立してしまった。過労死によって家族を失った方々が、成立させないでほしいと訴えていたにも拘らず。年収1075万円以上の専門職に限って適応させるとのことだが、一旦開いた穴は、どんどん広がっていく虞がある。

かつて、「男女雇用機会均等法」を成立させた裏側で、派遣法を成立させ、次々と改悪していき、30年経ったいまでは、労働者の過半数が非正規労働になろうとしている。同じことが、高度プロフェッショナル制度で起きないとは言えないだろう。対象となる年収額が引き下げられ、対象となる職種も広げられ・・・。とても「人間らしい、豊かな生活」を送ることはできそうにない。

世界では、この「人間らしい、豊かな生活」を送ろうと、「ワーク・ライフ・バランス」を掲げてきた。「仕事と家庭の両立」として、労働組合の女性部でも、長いこと「ワーク・ライフ・バランス」を謳ってきた。その流れに逆行する法律が、この国では成立してしまったのだ。

労働について、生徒に勧める何かいい本はないかと、大崎麻子さんの著書『エンパワーメント ~働くミレニアル女子が身につけたい力~』(2017年12月8日 株式会社経済界発行)を読んでいたら、「ワーク・ライフ・バランス」の次の段階、「WORK=LIFE」について書かれていた。世界の流れは、もはや「ワーク・ライフ・バランス」から、更に次の段階へ進もうとしている。

大崎さんがかつて働いていた国連開発計画(UNDP)が、2015年12月に出した報告書が、「WORK」の概念を一新させていたという。私たちの抱く「仕事」のイメージは、「生活していくためのお金を手に入れるための職業」といったところだが、この報告書は違っていた。

「WORK」を「『職業』や『収入源』といった『経済活動』として限定的に捉えるのではなく、『人間が、幸せに生きていくために必要な活動』として、幅広く捉えよう」としているという。この報告書でいう「これからのワーク」とは、「有償労働」「無償ケア労働」「ボランティア活動」「創造的な活動」の4つだ。

大崎さんによると、この報告書は「一人ひとりが生きやすく、暮らしやすい社会を創り、持続させるには、この4つのタイプのWORKが必要だ」ということを提唱しているという。そして、この「4つのWORK」という枠組みで、自分自身のライフスタイルや、これからのライフプランを考えてみることを勧めている。

大崎さんの観点は次の5つだ。
・自分の日々の活動を「4つのWORK」に分けてリストアップする。
・「4つのWORK」のそれぞれの意義と価値を認識する。
・「4つのWORK」が自分の日常生活や人生の中でどのように補完し合っているかを俯瞰してみる。
・現在のライフ・ステージでは、それぞれの「WORK」にどのように時間とエネルギーを配分しているか、そのバランスが妥当かどうか検証してみる。
・これからのライフ・ステージでは、どう変わっていくのかをシミュレーションしてみる。

一つ目の「有償労働」は、これまでの認識でいう「仕事」そのものだ。報酬のある仕事・職業をさす。いまの自分に当てはめれば「教員」になる。朝、自宅を出発してから帰宅するまで、平日のおよそ11時間を使っている。残業すればもっと長くなる。しかし、いずれ退職すれば、0時間になる労働だ。

二つ目の「無償ケア労働」は、従来の家事・育児などの無償労働をさす。これも自分に当てはめれば、家事と介護というところ。現在、平日は3時間程度、休日は5~10時間程度か。退職すれば、平日も休日と同じくらいの時間を使うことになるだろうか。母の介護次第によっては、大幅に増えることも予想される。

三つ目の「ボランティア活動」として、大崎さんは、PTA活動やNPOの活動を挙げられていた。いまの自分に当てはめると、この時間が極めて少ない。実家を出てマンションで暮らし始めてから、地域の活動は激減した。回覧板も来なくなったし、地域の祭りごととも縁遠くなった。廃品回収の時に協力するくらいしか、いまの居住地に貢献している活動はない。

無理して当てはめれば、組合活動も該当するだろうか。報酬はないが、年に数回の委員会会議や集会に参加している。広報誌の作成にも関わっているので、その場合は「創造的な活動」に入るのかもしれない。退職した後には、この時間は増えるだろうか。

四つ目の「創造的の活動」を、大崎さんは「自分と向き合い、自分の内面にあるものを様々な形で表現する活動」と位置づけ、「フラワー・アレンジメント」や「俳句」を例に挙げていた。この活動を自分に当てはめると、このコラム原稿を書いている時間や、川柳を考えている時間、実家の畑で農作業をしている時間が当てはまるということか。

雑誌『週刊金曜日』の読者会に参加したり、講演会に参加したりする時間や、コラム原稿を作成するための読書の時間や映画鑑賞の時間も、この「創造的な活動」の延長に入れてもいいのだろうか。平日は0時間~原稿締め切り前に3時間。映画は休日に、ときに4本観ることもあるので、最長は6時間程度か。

有償労働の時間が0時間になった後、自分がどのような日々を送っていくのか、まだ想像できない。よく、「退職してから退職後のことを考えるのでは遅過ぎる。退職する前から退職後の生活を考えないと」と言われるが、定年退職が65歳になろうという、このご時世。年金支給も70歳からにしようかなどと言われた日には、仕事を辞めるまで、あと20年以上あるかも・・・と思って、ついつい先送りにしてしまう。

かつて、長時間労働を批判して、「働くために生きているのではない。生きるために働いているのだ」と表現していた。WORKの概念が変わって「WORK=LIFE」になると、「働くことは生きることだ」となる。「働かせ方改革」に組み込まれないように抗いつつ、自分らしく働きながら、「4つのWORK」のバランスを考えて、これからのライフ・ステージをシミュレーションしてみようと思う。

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深井恵(ふかい・めぐみ)

九州某県の高校日本語教員。
日教組の「教え子を再び戦場に送らない」に賛同して組合加入。北原みのりさんとは、10年以上前(ジェンダー・フリー・バッシングがひどかった頃)に組合女性部の学習会講師をお願いして以来の仲。

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