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9月に名古屋で開催された、日本性科学連合(JFS)主催の「性科学セミナー」「日本性科学会学術集会」に参加しました。
感想から言うと、おお~っと、ちょっとぶっとんだ感じの収穫がいろいろありでした! 2日間のセミナーと学術集会はほとんど休憩なし。講演、シンポジウム、テーマ別報告のほか、ランチタイムもランチョンセミナー。ギッシリたて続けのタイムスケジュール。全国から参集した報告者が続々と登壇しました。長年セミナーや研修、学会などに参加してきたと自負する身ですが、こんな過密スケジュールってあったかしら、と思う濃密な時間でした。

JFSは日本家族計画協会、日本思春期学会、日本性教育協会、日本性感染症学会、日本性科学会、日本性機能学会が連合する団体ということです。
実は私自身が「性科学」が何かをよく知らないで、今回初めて非会員の立場で参加しました。動機は、演題内容の多様さと産婦人科医の早乙女智子さんの話が聞けることでした。

テーマは1日目「今こそ活かそう!性科学の知識」、2日目「次世代につなぐ性科学」
会場は参加者がギッシリ。各分野の医師、看護医療や保健関係機関に従事する専門家、学生が全国から来ている様子です。
休憩コーナーには医療用性グッズ(と言うのかな?)の紹介ブースがありました。医療用潤滑剤ゼリーやダイレーター、膣保湿剤、コンドームなど。
ラブピで扱っているものもあるかと思いますが、私にとっては現物を実際に見たり、無料サンプルをゲットしたり、泌尿器科で射精障害治療に使うこともあるというTENGAの実物にお目にかかれるなど、いいおまけに出会えました。

ラブピでコラム書いているのに、そういうの、よく知らなかったのね~!?って、言われちゃうかな・・・。

「性科学」(sexology)
人間の性行為そのものに関する諸問題を研究する学問。英語ではsexual medicineということもある。
性に関する問題を扱う分野には種々のものがある。たとえば男性ホルモンであるアンドロゲンに関する研究すべてを包括するものとしてアンドロロジーandrology,すなわち男性科学というべきものがあるし,女性性器のすべての医学的問題を研究するものとして婦人科学gynecologyがある。また女性の社会学的な諸問題を扱うものとして女性学woman’s studyが最近盛んになってきている。
(出典:コトバンク 三省堂『大辞林』)


私は女性学Women’s studyから学びはじめて、今はフェミニストカウンセラーとして女性のこころや身体とつきあっている立場。人権とジェンダー平等が基本視点です。
軽い気もちで参加しましたが、2日間どっぷり「性科学」ワールドに浸りまくってみて、立ち位置が違う医療分野の「性」研究、「性」へのアプローチは新鮮でビックリものでした。

オープニングは北村邦夫氏による「性科学の知識を駆使して悩みを解決する」。
確かに、しょっぱなから「人間の性行為」の話です。北村先生独特の講談(!)のような話しぶり。ただ「セックスと汐吹き」には正直、私とあろうものがドン引き。う~ん、専門研究で学問の話なんだよね・・・。でも、会場の皆さんは真剣に食らいついて質問していましたから。
そっか、ここは「性」を扱うまじめなお医者さんたちの学会なんだった・・・。

続くテーマも報告者も、皆さん多様です。以下は主なテーマ。
学校現場での「性」の伝え方、世界の避妊の現状と日本の現実、急増する梅毒への対策、膣内射精障害、日常臨床で遭遇する性の問題、大学における性科学教育の現状、健康・開発とジェンダー、性暴力加害と支援などなど・・・どれも私たちのこころとからだのために必要な知識と情報が満載のセッションぞろい。
治療や教育の現場で扱ってこられた方々の「性機能」「性病理」「性障害」「性教育」など、医学的で、医療者としての知見での現状、症例、実態報告のほか、がん治療や発達障がいなど、内容は多岐にわたります。

タイトルはすご~く堅苦しい文字が並びますが、どれも私たちの日常に密着した「性」とからだ、医療的見地からの研究報告ばかりです。
面白いところでは「陰毛脱毛の捉え方と性」なんかも受けていましたよ。

医師の立場で、医療機関で、治療する分野の専門家たちが、現実の生の「性」に向き合って治療やサポートに動いている人たちがいる。もしかしたら、こういう取り組みを積極的にしている医者は、メジャーな世界では少ないかもしれません。でも、セミナーや学会を開催して取り組んでいる人たちの世界を作っているし、そこに合流できたことはうれしかった。
「性」にまつわる問題は多様だからこそ、さまざまな医療分野でダイレクトに取り組む医療者たちが必要ですからね。リファー先や専門治療の相談先があってこそ、心強いし安心できます。

さて、お目当ての早乙女智子さんは、やっぱり期待を裏切らない。
日本と世界の中絶事情ギャップをズバズバ指摘。「日本のセクシズムは文化なのか?」と問いかけて、「日本はジェンダー後進国」(そうだ!)「今や中絶ピルが家に宅配で届く時代なんです」(そうなんだ~!)「スウェーデンのユースクリニックは200カ所以上あるの、匿名で無料で受けられる。日本でだって、100億あればできるんです、オスプレイ1機分よね」く~~っ!ほんっとに、そう!

そうやって2日間。「そうなんだ~、なるほど~」・・・目からウロコ!が何度も。おかげで「性」についての自分の医学的見識の足りなさを痛感です。ありがたいこと!

今回の研修を受けて、一番収穫だったことは、
私は、男性の「性」機能や性的身体問題に対してあんまり興味をもってなかったんだと気がついたことです。
女性のこころとからだにつきあう仕事とはいえ、男性の「性」や身体、そのメカニズムについて知らないだらけなんて、まずいですよね。

学校で生徒たちに会う時、話すとき、つい女の子たちに自分を守ろうと呼びかけていた気がします。女の子はもちろんだけど、男の子だって正しい知識をもって、自分を大切にすることを知らなきゃいけないのに。彼らが困ってること、実は悩んでいること、知らないから問題が起きていることに気がつけてよかった。

先日の朝日新聞(10月7日ココハツ)掲載の泌尿器科医の今井医師が言っていたこと。
「性の知識、勝手に覚え・・・ません」
男性の中には、「問題がないのに性器の形について悩んでいたり、大人でも射精の仕方がわからなかったりする人がいるそう」です。「自転車に乗れないまま大人になる人がいるのと同じ」に納得です。彼は男子への性教育で「射精道」なるものを提唱しているそうです。

「マスターベーションの間違ったやり方が問題だったり、床オナや壁オナに慣れていると、実際のセックスで射精ができない」
「勃起したまま、床をゴロゴロ転がって、無理に押しつけたせいで性器が骨折して救急車で運ばれてきた高校生がいる」
研修で泌尿器科医師から聞いたこんな話も、実際にあったことです。知らなかった・・・。

確かに私たち女性だって、まともに「性」について教わっていません。
先日、仁藤夢乃さんの講演で、生理の対処の仕方を知らない女の子がいると聞きました。
背景には、貧困や虐待もあるからだけど、私たちの身体のこと、性のことって、ほったらかされてきたんだなあと思う。教わってないのに、知ってて当たり前みたいにされてる現実。

私には思春期、青年期の人たちに出会う機会があります。知識や情報を伝えるチャンスです。彼ら、彼女たちが、自分の性のこと、からだと性のメカニズムなど、正確なことがわかれば、交際や恋愛のカタチも変わっていくに違いないと思えます。

フェミカンで出会った人たちのことも思い出されます。
交際中からセックスはなく、結婚後もセックスレスで悩んでいたAさん。
新婚旅行で性交ができなくて、旅行から戻ってすぐに離婚したBさん。
不妊治療に頑張っていたけれど、結果的に夫の無精子症が原因だとわかったCさん。
それぞれ、彼女たち個人の問題ではありません。
男性にも優しい相談、支援と治療が必要です。その受け皿が広がっていってほしい。

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具ゆり(ぐ・ゆり)

フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んで20年あまり。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。

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