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 フェミニズムと天皇制、というテーマで座談会に参加する機会があり、このところ、ずっとフェミニズムと天皇制、について考えているのだけれど、考えれば考えるほど、だんだん自分が本当に考えていることなのかどうか分からなくなってしまっている。
 
 基本的には私は天皇制は、いやだ、反対だ。
 国民の一体感を天皇に求めるような感覚が生理的に理解できないのが一つ。(もちろん、これが天皇ではなくて、例えばヒノマルでも、君が代でも、鳩山民主党とか、そういうのでも、イヤです。一体感がイヤなのです。)
 あとはこれは先日、海外青年協力隊に行った人に聞いたんだけど、彼らは海外に行く前に皇居に呼ばれて、皇太子夫妻に会うらしいのだって。で、皇居に行く前に厳重に注意されるのが、「(高貴な人々とは)決して目を合わせてはいけない」ということ。驚くよね。目を合わせるな、なんて注意、どういうこと? 目でもつぶれる? 今でも神か? 権威を無条件に、そして理不尽に受け入れさせられることにはやっぱり反発したくなる。
 それから、天皇がタブーになっていることも、不気味。未だに天皇をパロディ化する美術作品が公開されない状況は異常。天皇に関する表現の自由が「自粛」されるのは、ねぇ、憲法で書かれている約束と違うんじゃないの? と思う。
 
 しかし。しかし。なのだ。困ったことに、私は天皇家の話を見聞きしたりするのが大好きで、雅子さんがどうなるのかが気になって仕方なく、美智子さんの知性や凄みのある使命感みたいなものには敬服する自分がいるし、今の天皇の”民主的発言”を聞けば「こういう人が天皇でよかった」と思ったりもし、皇室典範を変えて愛子さんが天皇になればいいのに、とヒッソリ願ったりする。
 さらに、ずいぶん前に女性天皇論が盛んな時にあるシンポジウムに呼ばれた時、同世代の女性が「私の目の黒いうちに、天皇制をなくす! それが目標!」と言っているのを聞き思わず「何歳まで生きるつもり!?」と聞いてしまうほど驚いたこともあった。
 つまりは。私は「天皇制は反対」と言いながらも、天皇制がなくなることを本気では信じていなく、むしろ、今の天皇一家の状況や今後の天皇一家の行方について、面白いっ! と見守っていることをなんとなーく選んでいるユルーイ自分がいるのである。
 
 座談会では、フェミニズムと天皇制の関係を中心に話した。
 皇室の女性差別について問題にすると、じゃぁ皇室が女性差別をなくせば天皇制をヨシとするのか? それでは改良主義だ! と左翼男が批判することがある。そんなことも話題に上った。フェミニストとして天皇制の差別の根拠をどのように理論武装するべきか、みたいな話にはなかなか決着がつかなかったけれど、面倒くさい左翼男を納得させようとしなくてもいいんじゃないか、なんて私はいい加減に思ってしまったりもする。
 
 だって。女性が天皇になれないことは明らかな女性差別だけれど、女性天皇が擁立されたとしても、世襲制であり、後継者の根拠が先代の遺伝子である以上、女性のリプロダクティブライツなんてないから。女性の人権と世襲制なんて、そもそも矛盾だから。女性のための天皇制なんて有り得ないでしょ、そもそも。
 だったら、今、皇室の女性の人権が奪われているのであれば、目の前の苦しい人を救う道をつくらなければいけないんじゃないの、って私は思うよ。雅子さんのあの顔をみたら、まずは、女が「産む機械」にならざるを得ないようなそんな皇室のあり方から、皇室の女を解放してあげてよ、って。だから、まずは改良でいい。大きな差別の前に、小さな差別は問題にするな、っていう左翼男(女)の態度にはうんざりだわー。
 平成の20年間で変わったのは、私。なによりも20年前「なに、この男イヤだ!! 生理的に、イヤだ」と思っていたはずの皇太子のことを前よりは嫌いになれなくなっている。「育ちのいい人の空気の読めない感じ」に笑いはするが、嫌悪はしない。なのに・・・左翼男がどんどん嫌いになっている。
 
 ってなことを悶々と考え、いろいろ話したけれど、なかなか着地はしない。
 
 天皇制って、考えると、だんだんと、なんで人んちのことをこんなに真剣に考えてるのかしら・・・と自分でもイヤになる気分に。所詮は他人の家の相続問題。無関心でいることが、天皇制が危機になる一番の解決、とはよく言われることだけどね。しかしあの一家は・・・あまりにも面白すぎて、興味深くて、目が離せないのです。・・・というようなことを左翼な人に話すと、「あなたはマスコミに洗脳されている」と言われました。
 そうかもしれません。
 テレビや雑誌の見過ぎには注意です。
 
※アグリーベティーへのメールありがとうございました!
 今週末放送予定の婆星で、アグリーベティー特集します~!!
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北原みのり

北原みのり

ラブピースクラブ代表
1996年、日本で初めてフェミニストが経営する女性向けのプレジャートイショップ「ラブピースクラブ」を始める。2021年シスターフッド出版社アジュマブックス設立。
著書に「はちみつバイブレーション」(河出書房新社1998年)・「男はときどきいればいい」(祥伝社1999年)・「フェミの嫌われ方」(新水社)・「メロスのようには走らない」(KKベストセラーズ)・「アンアンのセックスできれいになれた?」(朝日新聞出版)・「毒婦」(朝日新聞出版)・佐藤優氏との対談「性と国家」(河出書房新社)・香山リカ氏との対談「フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか」(イーストプレス社)など。

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