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「尿漏れ事情」

茶屋ひろし2014.03.18

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仕事中に利用するトイレは、書店が入っているビルの中にあって、地下街とつながっているため、誰でも利用することができます。
そこの男子トイレの小便器は、底が床にくっついている縦長の便器ではなくて、膝のあたりまで上がっているタイプです。
朝、ビルのシャッターが開き、地下街とつながるやいなや、ものの一時間ほどで、便器の下はびしゃびしゃに濡れてしまいます。
それでも午前中は、清掃の人が何度か出入りしてくれるので、まだましですが、午後になると濡れ放題で、そのうち立つ場所がなくなってしまいます。
なぜ便器の下の床が濡れてしまうのか、お分かりでしょうか。
しかも、その液体をうっかり踏んでしまうと、靴の底がねちゃねちゃします。
その正体はもちろん尿です。
 

chaya140318.jpg

 
私は、隣でしているおじいちゃんのおしっこが、突き出た便器の底にも届かないで、すべて床に落ちていくのを見てしまったときから、このことを現実として受け止めてきました。
年月を経た形状のせいか、ほとばしる勢いを失ったことに気がついていないせいか、この濡れ具合を見る限り、同士が後を絶たないようです。
さぞかし靴やズボンのすそにも跳ね返っていることでしょう。
近所には、「もう一歩前へ」という貼り紙をしているところもあります。
 
 
それにしても、用を足している間、手元を一度も見ないのはなぜかしら。
そういえば、ずっと見ている人と、まったく見ないでむしろ顎を上げている人もいます。それどころか、両腕を三角にして腰に添える人も見たことがあります。
現場を見ようとしない人や、手も添えない人たちが年を取ると、「尿漏れ」に気がつかなくなるのかもしれません。いえ、気がついたとしても、気にならないのかもしれません。平気で、ねちゃねちゃの上に立つ人もいるからです。
 
 
今週の『女性セブン』の見出しに、「七割の男が手を洗わない。五割の女はハンカチを持っていない」というのがあって、なんだか笑ってしまいました。
確かに手を洗わない人が多い印象はあります。私の中では五分五分ですが、もしかするとその理由に、「だってさわってないんだもん」という開き直りが含まれているかもしれません。だもん、じゃねえよ、と自分で書いておきながら、イラっとします。
女性のスタッフに、その見出しを見せて話題をふると、「手を洗わない女性も多いですよ」と教えてくれました。「あと念入りに洗いすぎている人とか・・」と付け足します。
そうなんだー、と笑いながら、私の関心は、手を洗うか洗わないかではなくて、その先にある(?)、「尿漏れ」をいかになくしていくかだわ、と改まりました。
そのことを彼女に伝えて、「いっそのこと、この世から小便器を無くしてしまったらどうかと思うんだけど・・」と提案してみると、「そんなことしたら大の方が大変なことになりますよ!」と家で、座ってするかしないかで揉めている旦那との争いを思い出させてしまいました。
 
 
家のトイレでは、私は周囲を汚したくないので座ってします。というか、オナニーしたあとなんかは、狙いを定めたつもりでも、どのように出てきてどこに飛んでいくかわからないことがあるので、おいそれと立ってできません。
このタチション問題は、「男だから立って致すのだ、それに楽だし」という価値観が天敵であることはわかっています。となると、やはり「教育か」と、問題は大きくなっていきます。小便器をなくしておしっこは座ってする、ということをこの国の風習にしていくしかないのではないか・・、と気が遠くなるようなことを思います。
 
 
今年の始めに新宿に遊びに行きました。よく行っていたゲイバーでトイレを借りたあと、その次に入ったお客さんが出てきたときに言いました。
「茶屋くん、おしっこしたあとは便座を上げておいてよ」
はははー、と笑いながら、価値観の違う私はムッとしてしまいました。
この問題にセクシュアリティーは関係ありません。彼はまだ、飛ばす勢いのありそうな年齢です。
言ってなさいよ。そのうちあなたは公共のトイレの床を濡らすことになるんだわ。そしてそのことに気がつかないまま、ズボンのすそをアンモニア臭くして街を出歩くようになるのよ!
 
 
と書きながら、大変なことを思い出してしまいました。
私は酔っ払うと、よく、そこのトイレの床をびしゃびしゃに濡らしていました!
座ってしているにもかかわらず・・。
先の割れていない便座を下げたときに、便器の先端との間にすきまができるタイプをご存知でしょうか。
私のおしっこは時々そこをすり抜けてしまうのです。
「いいかげんにしなさいよ、あんた」と、そこのママにはいつも叱られていました。そのうちトイレに入るときには、「こぼさないでよ!」とカウンターの中から大声で呼びかけられるようになっていました。
「ということは、茶屋ちゃんのは、これくらいの大きさということだね」
と、他のお客さんには指で長さを示されました。その倍の長さがあれば、手で押さえなくても、座ったら自然に下を向くはずだからです。
「そうゆうことです・・」とうつむきました。
 
 
ということで、職場(近く)のトイレ事情はすぐに解決しそうにありません。
ある日は、小便器に「大」がこんもりと乗っていました。口を押さえて後ずさりました。清掃のおじさんに、伝える言葉が音になりません。私のせわしないジェスチャーに、怪訝そうな顔で見に行ったおじさんは、まもなく、「えげつな!」と叫びました。
便器の底が膝まで上がっているタイプだから、腰をかけやすかったのかしら? と私は混乱していました。その床に「大」は漏れていなかったと思います。
 


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茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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