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「同窓会は続く」

茶屋ひろし2014.07.15

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地元の大阪に帰ってきてから1年と半年が過ぎました。関西圏で暮らしている大学時代の友人たちとの再会を皮切りに、高校時代のワンゲル部のメンバーや、いつも一緒にいた同級生の3人に会って、年が明けると、年賀状のやり取りが続いていた小学校のときの同級生から同窓会に誘われて、25人くらいに一度に会いました。
そのつながりで、中学三年生のときのクラスメイトたちにも、先日会ってきました。どちらも担任だった先生が来られていて、懐かしい再会でした。


それにしても、短い間に、過去の人たちと立て続けに会っています。実際、誘いがあればできるだけ乗っかってみようと思って続けてみました。
ニューオータニで9,000円払う、高校の同窓会だけ行きませんでした。それは学年全体の、学校が主催する会だったので、違うクラスだった知らない人に会ってもね・・、と気持ちが動きませんでした。同じクラスだった人たちでさえ、思い出せるかどうかわかりません。
中学三年生の時のは、メーリングリストの名前の半数は思い出せませんでした。


それでもなぜ参加してしまうのか自分でもよくわかりません。こっちにあまり友達がいないせいかもしれません。そんなに気負っているわけでもなく、ふらっと立ち寄るような気分です。
どの時点の過去の人も、みんな同い年かひとつくらいしか年齢が違わなかったということに、なんだか驚きます。
そして、その9割が既婚者でした。女も男も、38、9歳の、40人くらい会ったなかで、どうやらゲイは私だけのようでした(ちょっとつまらない)。


大学、高校、までは、大人になってからも会っていた人が多いため、すでにカミングアウト済みでした。
小学校の六年四組の25人の前で近況報告をしたとき、言ってしまおうかと思いましたが、人数が多いから反応を把握できないとちょっと怖いな、と取りやめたら、幹事の女子が、事前にこのコラムに辿りついていたらしく、「はいはい! 茶屋君は東京で何をしていたんですか?」と意味ありげに訊いてきたので、笑ってしまって、全部言うことになりました。


お酒も進んでいたため、けっきょく把握も何もなかったのですが、後日、その彼女から、「みんなの前で言っちゃってごめんね」と謝られて驚きました。
「どういうこと?」と、ほとんど気にしていなかった私に、「ほら、あの時、男子が一斉に引いた感じがあったから。女子は盛り上がっていたんやけど」とそのときの状況を説明してくれました。「え、そうだったの・・」と、私はどちらの反応にも気がついていなかったことに気づきました。


そういえばナントカ君にそのあと、「みんなの前で言うには勇気が要ったやろ」と言われて、「平気。みんな、もう大人やもん。そやろ?」と返したわ、と思い出しました。
そうか、引いていたなら悪いことをしたな、とちょっと思いましたが、「男はそんなもんやで。しゃーないわ」と大上段に構えておきました。


カミングアウト自体は、しないよりはしたほうが、精神衛生上良いことなので、結果、彼女が話題を振ってくれたことに感謝していたくらいでした。


前に二丁目で、普段会わない人にはわざわざ言わなくてもいいんじゃない? と言われたことがありますが、私の場合は、だからこそ言ってしまいたい、という気持ちがあります。
それは今回の立て続けの同窓会のどの場面でもそうですが、既婚者がその場に多いと、結婚しているのしてないの、なぜしないの、と問われることになるからです。ゲイだ、と言ってしまえば、その手の話題はなくなります。まあ、それもどうかと思いますが、ミラクルというか、便利な封じ手ではあります。
普段会わない分、せっかくその短い時間を楽しもうと思ったら、ノンケのふりをしているほうがストレスです。
「ゲイ」に引いてしまった人とは楽しめないかもしれませんが、幸い、そこで引かない人もいるので、その時くらいは気の合う人と話せばいいと思います。


ただ、人数が少ないと、みんなが引いてしまったらどうしよう、と思わないこともありません。
中学三年生の同窓会は私を入れて8人で、男女比は半々、全員23年ぶりというブランクがありました。しかも、地元の住宅街にある居酒屋、駅から離れています。周囲は暗い。万が一のときのために、行きつけのスナックが一軒欲しいところです。
先生に促された近況報告で、まあいいや言っちゃえ、と(けっきょく勢いになる)、新宿二丁目で働いていた話をしたら、女性陣は、「店に入ってきたときの様子から、もしかして・・と思ってた!」とはしゃいでくれて、男性陣は、「気づかなかった」と当時まで戻って振り返り、「今はいい時代になったよな」とか、「初めて人に言ったときは勇気が要ったやろ」と、社会人のように共感してくれました。


皆、二人から三人の子どもがいる人たちで、この近所に住んでいるようでした。
もし、同性婚が当たり前になって子どもを持つカップルも増えたら、地元に残って、かつての同級生たちと同じような生活スタイルで生きていく、という選択肢も出てくるのかな、と思いました。そうすると、独身のゲイは、カミングアウトをしていてもやっぱり、なんで結婚しないの? と聞かれるかもしれません。でもそれは、別の問題として引き続き対応していかなくちゃいけないんだわ、と分けてみました。


同級生がゲイだったから何なんだ、ということで、とくに普段づきあいが始まるわけでもない、同窓会のその後ですが、とりあえず今月は、高校生のときに好きだった男(ノンケ、独身、近所に在住)をパレードに誘ってみました。


『 Osaka Against Racism 仲良くしようぜパレード 2014』が7月20日に御堂筋で開催される模様です。

 

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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