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No Women No Music 第9夜 ありのまま、自由気ままに…PUSSNBOOTS

ほんま えつ2014.10.13

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「長靴をはいた猫」(Puss in Boots)とカントリーミュージック界隈で女性たちがはくブーツという連想を掛け合わせた、愉快でおかしなバンド名のプスンブーツ(PUSSNBOOTS)。きどらぬ普段着のままで、女三人が中庭のようなところに腰かけて、ワイワイとおしゃべりに熱中しているような、楽しげな写真のジャケットに吸い寄せられた。メンバーはサーシャ・ダブソン、キャサリン・ポッパー、そしてノラ・ジョーンズ。ノラ・ジョーンズを中心にこの女性三人のメンバーで数年前からフラットにライブ活動をしていたが、CDとして発表されたのは今回がはじめて。『ノー・フールズ、ノー・ファン』No Fools , No Funは、 プスンブーツにとってはデビューアルバムなのだ。

 

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 バンド名の由来やジャケット写真のかもし出す雰囲気からして、アメリカのカントリーミュージックをベースにしたサウンドなのだけれど、気心の知れあった友達同士、自分達が自由に楽しくプレイしたいという気持ちが前面に現われて、聴いているこちらも本当にリラックスして楽しめるアルバムなのだ。ゆったり、しみじみとしたカントリーミュージックから軽快なロックまで、サーシャ、キャサリン、ノラそれぞれのオリジナル曲からニール・ヤングやザ・バンドのカバー曲などが、スタジオとライブハウスでのテイクがほどよく配され、そのどれもが、ふと近くを振り返ると彼女たちがそこにいると思わせるような温もりを感じ、こころ和み微笑んでしまう。


 「わたし」と「あなた」のちょっとした心模様の行き違い、そんなほろ苦さを歌った曲が多いのだけれど、三十数年生きてきて人生のまだ半分も行かないかもしれないけれど、いろんなことがあったよね?とこのプスンブーツの三人は演奏しながら心の内で語りあっているようなそんな気がしてしまう。メンバーのサーシャはノラの親友でありノラのアルバムやツアーにはギタリストとして参加している。ノラのエレクトリック・ギターの先生でもある。キャサリンも渋い有名ミュージシャンとのセッションで活動している腕利きのベーシスト。そんな彼女たちが、互いにボーカル、楽器を、曲に合わせて持ち替えて三人だけで作り上げた本アルバムには、完璧なものを求めるのでなく、荒削りでもいろんなものにチャレンジしたほうが楽しいよ、と背中を押される気分だ。


 ノラ・ジョーンズ、もう言わずもがなのシンガーだが恥ずかしながら筆者は彼女の音楽、昨年まできちんと聞いたことがなかった。猛省。ノラ・ジョーンを聞き始めたきっかけは、まったくマニアックな話で恐縮だが、キンクスという英国の長老舗ロックバンドの「ストレンジャーズ」Strangersという曲が大好きで、だが手元にCDがなかったためYouTubeで探していたらノラ・ジョーンズがこの曲をカバーしたものがアップされていた。キンクスの中でもベスト盤などには決して入らないような曲なのに。聴いてみて鳥肌がたった。キンクスより断然いい。即刻タワレコ渋谷店にノラの「ストレンジャーズ」が入ったアルバムを探しにいった。ラッキーだった。これは『ザ・フォール』というノラのアルバムのデラックス・エディション盤でおまけについている約二〇分余りのライブテイク盤にしか収められていない。それをゲットできたのだ。この「ストレンジャーズ」は泣ける。疲れ果て、生きるしんどさを少なからず感じたときに聞くと、曲がじわじわと浸み込む。そしていまある辛さや哀しさを受け止めてくれるのだ。


 プスンブーツからは、どこかコンサヴァティブで敬遠しがちなカントリーミュージックのイメージを払拭し、ポジティブな扉をひらくような心地よいパワーを貰い、そしてノラ・ジョーンズの歌う珠玉のようなカバー曲の素晴らしさ、のびやかなボーカルのさりげなさの中に滲み出る切なさやよろこびや渇きという表情が、k.d ラングに通じる素であることの美しさを彷彿させてしまうのは筆者だけだろうか。

 

 

 



 

 

 

ノラ・ジョーンズ Strangers


 

 

 

 

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ほんま えつ(ほんま・えつ)

音楽、映画、本をこよなく愛して生きる趣味人女。
小学5年生のとき同級生の友達宅で聴かせてもらった「クィーン」に感動。
以後、洋楽を貪り始める。初めて買ったLPレコードは「アバ」のベスト盤。
いまではこれぞと思った音楽はジャンルを超えてなんでもござれの雑食派。
本連載、約10年ぶりのカムバックです。

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