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キャッシュレス決済の5%還元事業がしれっと終わって、レジ袋の有料化で始まった7月。ほんに会社というものは政策に振り回されるものよのぅ、と普段仕入れているレジ袋に3円、5円と適当な値段をつけてみました。

ついでにいくらで仕入れていたっけ、とカタログを引っ張り出したら、大きさと仕入れる量によって違いますが、1枚2.5円とか、3円とか。紙袋に至っては15円くらいしていました。

ほな、紙袋は30円にしとこうか~、と。

これで商売をするわけではないけれど、これからはお客さんが買ってくれはるんやわ、とちょっとほっとした気持ちになりました。

本の粗利は価格の2割。これに2円や3円の袋をつけて、ブックカバーも巻いて……ってあんた、どんだけサービスしてたんや。ブランド品やあるまいし、ちょっとはもうけを考えなはれ、と「じゃりんこチエ」のおバアはんが脳内でたしなめました。

プラスチックごみを減らすためと聞いておりますが、それだったらビニール袋よりペットボトルなんじゃないの、と思って、そういえば私が子供のころは、ジュースは缶か瓶だったような・・あの頃にはもう戻れないのかしら、と懐かしみながらスーパーでペットボトルの水を買っていて、レジ袋も買ったら、そこには「地球温暖化の防止のため」と書かれていて、え、ビニールの成分の話? とよくわからなくなっています。

街中で生活していると、ビニール袋が宙を舞っていたり、ごみはその辺に捨てられたりしているので、せめてそのなかでビニール袋が少しでも減るのはいいことかしら、なんて、環境問題に思いをはせると果てしない。

そしてレジ袋有料化を始めると、「金いるんやったらいらんわ」という人がけっこういて驚きます。そのたびに心の中で、「いらんかったんか~い!」と過去に向かって叫んでいます。

そうでしたか、あなたは「タダでくれるものは何でももらっとこ」星人でしたか。ティッシュ配りのアルバイトにのみ神になるひと……。

ついでに、雑誌やコミックに巻いていたビニールも回収することにしました。

これはウチで仕入れて、朝の入荷時に、手作業で巻いているもの。基本的には回収して使いまわしをしていたのですが、そのままくれという客も少なからずいて、これまではサービスであげていました。潔癖なのか転売目的なのかは知りません。

ところが、それを当然と思う客もちらほら出てきて、決まって態度も偉そうなので、どうしたものか、と悩んでいたところでした。

案の定、回収させていただくことになりました(って、もとはウチのもん)、とアナウンスを始めると、「そんなんやったら買わへん」とレジで不快感を示します。

ある若い男の子は、電子マネーで支払った後、その旨を告げられると、「じゃあ、いいです。買いません。気分悪いんで、もう来ないんで」と矢継ぎ早に言いました。

「では取り消しますねー」と電子マネーを返金する作業でわちゃわちゃしていたら、すんだとたんに足早に出ていきました。

気分悪いのはこっちやで、と腹が立つより先に、「あの子、あんなんで、この先、生きていけんのやろか」と心配が立ってしまいました。

まあでも、「もう来ない」「二度とお宅では買わない」に関しては、「すみませーん」と言いながら、「喜んで」と舌を出しています。

それにしても、ずいぶん傲慢にお育ちになった自意識ですこと。

「客は選んでええ」という行きつけのスナックのマスター(70歳)の言葉を思い出します、

「そうですか、じゃあ、来ていりません、言うたったらええねん。それよりも他の客を大事にしたるほうがよっぽどええわ」

「そうやな、それに店長の私がそれをせんと、働いてる人たちにストレスがたまるしな」

「せやせや」

みたいな。

と言いながら、今回は政策に便乗する形で、そのような「いんけつ」を店頭から駆逐していけたのはラッキー、という感じでした。

これを機に、サービスは有料、ていうか、タダに見えても手間暇かかってんねんで、という認識が根づけばいいのかしら、と思います。

中身に何が詰まっているのかは置いといて、本は紙でできています。

小泉今日子が「すいか」というテレビドラマで、文庫本をカーゴパンツの後ろポケットにクシャっと入れた場面。椎名誠がその昔、旅に文庫を持って行き読んだ後は焚火にくべる、と書いたこと。

時々、物質に対する距離感がおかしくなっているかしら、と思い出します。

実家のガレージにしまい込んだままの、20代のときにがむしゃらに集めた書籍を、たまに持ち帰りますが、タバコのヤニで汚れて、湿気と乾燥を繰り返したそれらには、「よく燃えそう」という感想しか出てきません。本は紙だから劣化するのよ! と慰めるように思いますが、姉が大切にしている、ベッドの下のケースに入った少女漫画を垣間見たら、30年はたっているのに美しいままで驚きました。

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茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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